2012-04-09 Steins;Gate
■[2010年][game][music][阿保剛][志倉千代丸][★★★☆]巨大な不安感

STEINS;GATE Original Soundtrack+Radio CD(仮)
- アーティスト: いとうかなこ,阿保剛,ゲーム・ミュージック
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2010/02/03
- メディア: CD
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想定科学ADV「Steins;Gate」サウンドトラック。
使用しているフレーズ自体は多くない中で、硬軟入り交ざった場面の多方向への音楽展開は見事であるが、計算のうえに成り立つクールさが印象として残り、熱は薄い。その熱を「スカイクラッドの観測者」などのボーカル曲で埋め合わせるという構成になっている。Youtubeの動画に見る広告でのこの曲との親和性は反則レベル。販促力はんぱない。
劇伴から受けるクールさの中で特筆すべきは、空気感。弛緩した空気から緊迫した空気まで。この空気の緩急と振幅っぷりがすばらしい。フレーズの多様性ではなく、速度と軽重の二段構えによる表現力によって世界観を作り上げている。
巨大な不安感の表現は「The universe」「Suspicious eyes」「Hack」などテーマを豊富にそろえている。一方で、この系統のゲームに欠かせない平和な日常的テーマの「Laboratory」「Cycle」もきれいにまとまっている。
2012-04-08 千年女優
■[2002年][animation][music][平沢進][★★★★☆]芸術は○○だと言った芸術家がいた

- 出版社/メーカー: 千年女優オリジナルサウンドトラック
- メディア: CD
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平沢進の音楽には情熱がある。ありあまるほどに。
こじんまりとまとめることが芸術なのではない、伝えることにこそあるのだと。そんなむき出しの情熱と感情を最も強く感じさせてくれる平沢作品、その中でも鮮烈な印象を残す千年女優のサウンドトラックを聴きながら思う。
テーマは、シナリオをわずかでも知る人にとっては、あまりにも明確過ぎるほどに的確だが、そうでなくても序盤からアルバムとして構築として隙がなく、豊かなテーマ性に満ちている。
回想から浮かび上がる記憶を捉える「Lotus Gate (Landscape-1)」、鮮やかによみがえる時代の色彩を「千代子のテーマ MODE-1」が描き出し、青春の焦燥とともに疾走する「希求の門」、重大な危機を想起させる「Circle in Circle」、さらなる激動の渦へと「縦列風」が描き出す。
ただ、こうしてテーマ性の高さや情熱的な面を強調したくなる一方で、やはり音の一つ一つはきわめて緻密に構築され、音の厚みはかなりのものなのに無駄な音が少なく、聴き心地良くまとまっている。
このアルバム、賢者のプロペラのインストアレンジ*1とされるが、こちらは未聴。そのさらに前の作品である剣風伝奇ベルセルクからも、音楽の方向性をほとんど引き継いでいる。ベルセルクからの平沢劇伴音楽の最大の特徴は、ヴォーカル代用の楽器音の洪水と同居するこの音の粒子感のひとつひとつにある。
今敏監督の死去で、今後新たな平沢劇伴の音楽を聴く機会があるのか、いまだ気がかりだ。音楽から情熱がもっとも伝わってくる作曲家、平沢進の音楽はあまりに替え難い。
2012-04-02
2012-03-24 お題:再開
■更新停止につながった病

更新停止に至る経緯というのは、モチベーションが最たるものになると思う。
ただ、モチベーションを削ぐものがどこにあったか、というのを分析してみるのもありかもしれない。
2010年は、指に違和感を感じ始めた時期でもあった。それは夏に入ってより具体的なもの、痛みとして感じられるようになった。キーボードを打つだけで痛みが走る。特にキーボードの打鍵は左指に集中する傾向があるため、左、特に小指に出た。筋力が弱いことも、左手には弱点となったのだろう。腕時計の緩み具合は、ピアノを弾かなくなってからの年月を雄弁に物語っており、筋力の低下は骨へのクッションの低下を意味していたのかもしれない。
パソコンを駆使する技術者にとって致命的ともいえる病であり、相当にぞっとした。技術者としての人生を棒に振る羽目になったとして、会社は世話をしてくれるだろうか。否。会社は、指に良いキーボードを用意することすらしてくれない。そんなものだ。
打鍵しなくても痛みが慢性化するにいたって、検診を受けたが、異常なしの判断だった。ただ、そこには検診の結果に関係なく、痛みというものは純然として存在し続けていた。処方された痛み止めの塗り薬は凄まじく効いたが、痛みを無視して悪化することはより恐ろしかった。
自分にできる予防策は、キーボードをなるべく打たないことだった。その予防策としては、早打ちの禁止、マウスの多用、コピペ、キーボードマクロの使用、などを徹底した。個人的に気になっていたカルシウム不足対策で、サプリメントの服用も開始した。まれに弾いていたピアノは完全に禁止した。携帯電話も指を使うため、使用回数を押さえ込んだ。
結果的に、指の痛みは2010年の冬に入るころに小康状態になった。自宅のパソコンのキーボードを高いものに変えたことも奏功しただろう。ただ、もう以前のような無頓着なキーボードの打鍵はできなくなった。打つときの指の感覚を無意識にチェックしながら。もう無理は利かないのだ。一線は越えてしまった。
最近聞いた大リーグでの調整で、肩は消耗品だから投げ込みは制限されるとかがあったが、指もやはり消耗品なのだろうと思う。予防としては、やはり筋力、であるが、検診で引っかからないようでは、実際の原因がどこにあるかは結局わからないままだ。
ともあれ以前と同じ気持ちでキーボードを打つことは不可能になった。それは当然、パソコンを介するすべての活動、ダイアリーの更新にも影響を及ぼすことになる。
■更新停止を継続させた病

趣味的な要因としては、2010年夏から投資活動に情熱を注ぎ込んだ。本を読み、実践し、心を揺さぶられながら。心理学から会計学に経済学、チャートのパターンマッチングと、軽いものが中心とはいえ学んだことはたくさんあった。音楽やカメラと同様、一生ものの趣味となることは確定した。正直、ここでちょっと書いて言い表せるようなものではない。
投資活動は、時価総額の変動(つまり損得)によって心が揺れるものだが、2012年にもなると平常心を保つことが当たり前になってきた。この平常心を保てるようになるには半年、安定した運用ができるようになるには1年半を要した。
指の状態も回復し、平常心を保てるようになった半年後には更新を開始できてもおかしくなかったが、一方で仕事上の危機はますます深刻化した。
人員の絞込みに、退職者。人が減ることで、さらに状況は悪化した。ただ、それ以上にひどくなってきたのは、サービス部門のサポートのまずさで仕事が振りまわれるようになったことだ。仕様を理解していないサービスに技術的な内容を説明する程度ならともかく、サービスの要求で取引先の工場に常駐したり、サービスと開発が同席する取引先の席で不具合ではないものをサービスが堂々と不具合と発言、さらに開発が説明したことに取引先のお客様の目の前でサービスが反論、etc
会社内に敵がいるという事実は精神を疲弊させたが、その状況で上司はというと客先対応でのやり取りを叱責した。上司は心配しているように見せかけてはいるが、結局は説教する側であり、会社における保身が優先だった。取引先を相手に、会社内に上司とサービスという敵がいるという状況は、心の糸を1、2本切ってしまうには十分な効果があった。
現在の職場は、どの部署も個人商店を体現した状態になってしまっている。取引先との関係について上司は「(取引先との件は)俺は関係ないから。お前が解決することだから、どうでもいいんだけど。」という有様だ。これが外回り部隊ならばまだしも、開発にこの状況が押し付けられているのだ。だが、開発の本来の仕事は、外回りではない。開発が外回りをするなら、サービスの存在価値はどこにあるというのだ。
この状況下において強く想ったのは、もっと技術者らしくありたい、ということだった。人に説明することは上手くないし、コミュニケーションも得意ではない。だから技術者として生きていくことを決めたはずだった。が、いつの間にかサービスの仕事をやり、説明が下手だと上司に叱責される。こんなはずではなかった、と。
■更新停止による病

更新停止による病は、あったような気がする。
説明下手が、輪をかけてひどくなったような気がしてきたのだ。
いや、もともと、面接でも説明するのが下手だったし、輪をかけてひどくなったというより、もともとこんなだったような気もするのだが、下手になったという気もしなくもない。
ただ、このままでは転職を考えたとしても、新卒のときと同様、面接で返り討ちということになる。
思考をまとめるスピードと、それをリアルタイムに言語化する能力というのは、訓練してどうこうなるものではないとは思う。会話は運動神経みたいなものだ。それは苦手な自分自身が最も良くわかっている。
ただ、思考をまとめるスピードやわかりやすく伝えるための言語化の実践という意味では、このダイアリーや、今までのウェブ上での活動も、そう無駄ではなかったのではないか。なにせ、日常はさしてコミュニケーションを取っていない。使用しない技能は、脳から自動的に抜け落ちていくものだろう。
■更新再開を恐れる病

今から見れば、昔の活動している文書を読むなど、恥ずかしくて読み返せるものでもない。羞恥で体を焼かれるような感覚。知らないことでも、臆することなく、恥をさらして堂々と語る。
でも、それとて、今書いたことも、数年後にはそのようになってしまうのだろう。
ブログメディアは、もう衰退が始まっている。SNS(mixi, Facebook)、ミニブログ(Twitter)へと移行、さらにアクセスが取れるウェブサイトへの集中。情報の洪水は、ここ数年でさらに蓄積され、いまや弱小サイトなど別に誰も気になどとめはしない。
現在、今おかれているサイト環境は公開されているようで、もはや公開されていない状態だ。ここ数年の環境の変化は、それを推進するのに十分な時間があった。将来恥に思うことがあっても、今の精一杯を書いてみよう。
こんな状態だからこそ、書こうと思う。将来のことを恐れて、書かない理由なんてない。
■今後のコメント対応について

心が弱いので、攻撃されると傷つきますが、頓着しないことに決めました。いや、頓着していないふりをすることにしました。
コメントは見ています。反論があっても、すると疲れるので、もう反論しないでそのままだと思います。無視すんなと思われるかもしれませんが、無視してません。構う気力がないと思ってください。
リアルで前からも後ろからも刺されて心が折れた状態なので、ネットはどうするかというと、リアルのように黙って謝ってやり過ごす(反論すると疲れる)と似たようなもので、黙ってやり過ごすのです。
リアルでもネットでも、戦う気力なんぞ、もはや私は残っていないのです。察してください。
って、コメントを書く方が、この記事を読むことはないのでしょうけれど。
2010-03-22 ソウルキャリバー
■[1999年][game][music][中鶴潤一][矢野義人][遠山明孝][大塚隆功][★★★★]臨む

- アーティスト: ゲーム・ミュージック,遠山明孝,矢野義人,中鶴潤一,大塚隆功
- 出版社/メーカー: バンダイ・ミュージックエンタテインメント
- 発売日: 1999/10/21
- メディア: CD
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勇ましく、それでいて情熱的。怒涛の打楽器の連続と華を添えるシンセサイザーの旋律という一本のスタイルで統一されたアルバムだ。
溢れんばかりに音場を埋め尽くす様は、眩むほどのエネルギーを持ち合わせている。そのエネルギーの凄まじさの中には、打楽器や管楽器に日本・中華風の表現が盛り込まれ、アジアンな活気に満ち溢れるかのよう。
基本スタイルは、吹奏楽っぽい表現を目指すシンセとドラムのダイナミックな融合にある。打楽器の圧倒的な存在感、それに負けないほどに強烈な個性を持つシンセの旋律は、どこか悲壮的。それでいて不屈の闘志を連想させるほどの迫力と壮大さをも持ち合わせている。
Track24以降に入るSE集3曲のバランスの悪さと、極端なまでのアレンジの統一、繰り返し現れるテーマが、変化に乏しいかと思わせる点はある。それでも、ゲーム史に残したいと思わせるほどの重みが作品としてあった。徹底したテーマの操作の試みと、徹底したスタイルという点で、聴き所は多い。
作曲担当の基礎情報*1を見ると、中鶴、矢野、遠山の曲風は、ほとんど基底の部分で吸収されている。チーム作曲術の凄まじさを見る思い。1999年時点でなお、ナムコサウンドチームがこれほどの力を残していたことは、結構衝撃だった。
2010-03-21 時空転抄ナスカ
■[1998年][anime][music][斉藤恒芳][★★★]キャッチ

サウンド・オブ・ナスカ?テレビ東京アニメーション番組 時空転妙ナスカ
- アーティスト: TVサントラ,THE ECCENTRIC OPERA,相良奈美,苦楽健人,斉藤恒芳,斎藤恒芳,書上奈朋子,葉加瀬太郎
- 出版社/メーカー: エピックレコードジャパン
- 発売日: 1998/06/20
- メディア: CD
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クライズラー&カンパニー解散後のデビュー作ということもあり、クラシック編曲という作曲スタイルはほとんどそのまま引き継がれている。一曲目「愛のフーガ」のバッハ小フーガからの編曲などは典型的。その他、モチーフとは記していなくても、強い影響を感じさせる曲が大半を占める。
特徴的なものとして、いかにも葉加瀬が弾くために作ったのではと思わせるようなヴァイオリン曲「恭資」、斉藤らしい速い展開のピアノ曲「逸る心」、タイドライン・ブルーまで引っ張られるテーマを含む「ヤワルの覚醒」「時空転抄」など、ソロ活動から抜け切れていないものと、過渡期へと踏み出す内容との融合がこの作品の特徴なのかもしれない。前半部の楽曲は勢いもあり聴きごたえがある。
テーマの使い回しが多い上に一発でわかるほど分かりやすいアレンジになっているところは気になる点。そして、前半部の勢いがまるで続かないところ、テーマ性の低さなどはこの作品の弱点。さらに、ヴォーカルのクオリティの低さがひどい(音痴)点がさらにダメ押し。細部の詰めがどうにも甘すぎる。
■[1998年][anime][music][斉藤恒芳][★★★]流麗

- アーティスト: TVサントラ,斉藤恒芳,葉加瀬太郎,エキセントリック・オペラ,天野清継,相良奈美,亀淵友香,Voice of Japan
- 出版社/メーカー: エピックレコードジャパン
- 発売日: 1998/04/01
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オリジナルに先行したイメージアルバム。プレミア度は低いが、完成度はこちらが上。
クラシカルな表現に磨きをかけたイメージアルバムは、しっかりとしたテーマを持ったゆえに安定感を持ち合わせている。管楽系の音が主体となる「ひたぶるにうら悲し」は独特の世界観。いかにも葉加瀬な弦楽といかにも斉藤なピアノの融合が美しい「NAZCA〜神秘の鳥」の完成度はかなりもの。
足りないものはあるが、それを言葉で表すのは難しい。あるとすれば、熱さや激しさといったものに加えた何かがあるが、スパイスみたいな何かが足りない。惜しいなと思わせるほどの作品だった。
