「地方からの発信」ワークショップ報告

ヌエックでの、「地方からの発信」という視点で女性センターを考えるワークショップを行いました。その中でわたしの感想をつらつらと書いてみたいと思います。ごいっしょに参加した方たちにはまたそれぞれどんな感想を持たれたか、またこの狭いコメント欄ではありますが、忌憚なく書いていただければそれこそ議論を継続できるということで喜ばしきことかなと思います。

早くから部屋に人が集まってこられていたので、10分前からマイクを会場に回し、参加の弁を語って自由に語って頂いた。マイクを握ってくださったのは、鳥取、沖縄、静岡、北海道、秋田、、と言う具体に「地方」からの方が多かった。またみなさん、開始前だったのに躊躇なくマイクをとって熱心に語っていただけたので、幸先のよいスタートを切ることができました。この点は、さすがヌエック、ワークショップ参加にも意気込みが違うなと思った。参加されていたのは、市民の立場からセンターに関わって来られた年季の入った方から、行政職員で今度男女共同参画担当になったので勉強に来ました、、という方、NPOで指定管理者になり実際にセンター運営に熱意をもって携わっている方など。さまざまな立場の方がおられ今の女性センターをめぐる状況を写していました。


最初と最後に多彩な参加者のみなさんに話して頂いたおかげで、今全国の女性センターはどうなっているのか、についてわたしなりに実感をもつことができました。
また、ワークの報告では、センター職員さんたちを中心に実際のセンター運営について突っ込んだ議論が中心となりました。わたしには、以下のようなことが印象に残っています。誤解があればご指摘下さい。
・行政が基金を元に財団をつくると、行政が実質的に指示をしても、責任をとるのは財団である。
・財団をつくれるのは財政基盤がしっかりした都道府県あるいは政令指定都市であり、財政状況が厳しい市町村は基金を準備できるところは少ない。そのため、指定管理者制度により、NPOや企業に任せる。
・財団だったところが指定管理者になると、現行の職員の給与が減る場合が多いこと。役所から出向で来ている管理職の給与は変わらないので、指定管理者導入は、女性センターの現場では女性職員の給与が下がるということに等しいこと。
・新たな制度導入により、結局、給与カットされたり、首切られたりするのが女性ということが多く、現場では、これでは何のため、だれのための女性センターかという疑問がますます募っていること。

これらを聞いて、女性センターは本来、不公正を糺す場所だったはずなのに、女性の非常勤をますます増やし、不安定雇用を増やす場所になっているなあと思いました。ヌエック行くときに、今話題の雨宮処凛の『生きさせろ! 難民化する若者たち』を読んでいったから余計にそう思ったのかもしれません(この本はおススメです)。OECDの調査では、日本の貧困層比率はなんと先進国で2位だそうです。また貧困層は、15.3パーセント、1,800万人にも達するんだそうです。
このような状況下で、女性センターが貧困や不安定雇用、少数派を守る砦どころか、安定した公務員が天下り先確保のために陣地取りをする場所に成り下がっては困ります。それだと女性センターは「一億総中流時代の遺物」、格差社会には不要の箱物、と言われても仕方ありません。

女性センターは、非正規雇用の問題に積極的に取り組み(女性パートを放置しておいたから若者にまで非正規雇用が拡大した)、また移住外国人の雇用や生活の問題を解決する場となり、トランスジェンダーレズビアンなどより困難な生を生きている少数者のための駆け込み場となってほしいと思います。それができず、単に中高年市民の意識啓発の場になっているのなら、この財政難のご時世に莫大な人件費をかけて管理運営している女性センターなんてもったいないと心底思いますもの。
もちろん、当日参加された中には、積極的な事業を進めて成果を上げておられるセンター職員さんも来ておられて、そういう方にはいいアイディアやモデルになる事業を進めていただきたいと強く願うものです。


今日のエントリー「地方からの発信」というタイトルとの関係ですが、地方ではより財政難なので、女性センターに対してもより厳しい目で見ているということなのかもしれません。わたし自身の情報誌分析の報告については、また改めて書きます。