7月の知恵熱

 はい、今年も鮮烈に7月の到来です。サッと夏篭りでもしたいなああ。
 ということで、大道芸人ギリヤーク尼崎。先日の旭川での舞踏公演を2日間とも観た。1日目は西武前にて。この日は集中するべく写真は撮らず。公演時刻になってギリヤークさんが颯爽と登場。そこから既に芸は始まっている。ここは街のど真ん中の路上。街行く若者に「祈りの踊り」はどう映っているんだろう、嘲笑混じりの視線と罵倒は否が応でも付きまとう。去年、私はそれをネガティブに捉えた。けれど今年はそれを含めてこそ路上であって、路上が成り立つように思えた。尚更に世界各地の路上を舞台にほぼ40年も踊り続けているギリヤークさんの芯の強さを感じとった。コンクリートを割いて咲き続ける一輪の花のような人だと思った。青空と夏の風を浴びて舞い、祈る。迫真過ぎる表現力。私は見終えてしばらく放心した。
 2日目、三番館前にて。この日は最初の方だけ写真を撮った。演目は両日とも同じで「夢」「白鳥の湖」「じょんがら一代」「よされ節」「念仏じょんがら」の5演目。十八番であるじょんがらも当然凄いけれど、序盤のピエロ姿で一輪の薔薇を片手に踊る「夢」や「白鳥の湖」も素晴らしいと思う、叙情的。最後の「念仏じょんがら」は神々しすぎて涙が出た。ノイズ交じりの三味線に蓮如上人の「白骨の御文章」の一文を朗読といった音楽をバックに絶叫しのたうち回り、観客の中をすり抜け疾走し水を自ら全身に浴びる。最後は母の遺影を片手に「おかあさーん」と叫び、倒れる。圧巻の終演。
 ギリヤークさんは鬼気迫った踊りから一転、喋ればとてもチャーミングな印象でそのギャップも相俟って素敵な人だと思う。去年の暮れから肺気腫を患っているようで年齢も年齢だけあり(現在76歳)とても心配。来年は街頭公演40周年。いつまでも迫真の踊りを続けてくれることを願う。
 そして私は知恵熱を出す。
「夢」

白鳥の湖
 
「じょんがら一代」