産経の坂本鉄男記者の外信コラムがひどい

みなさん明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。さて、本年一発目のエントリーは産経新聞のローマ 特派員・坂本鉄男記者の記事についてです。なんでもイタリアに比べ日本は祝日が多いから日本人は働かない「怠け者」だ、なんだって。んなアホな。

1/4 【外信コラム】イタリア便り 怠け者の国?日本 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/world/europe/090104/erp0901040235000-n1.htm

 私の年末行事の一つは、日本から送られてくるカレンダーにイタリアの祝日の印をつけることである。先日も日本とイタリアのカレンダーを並べ比較して、毎年のことながら日本の祝日のあまりの多さに驚いた。

 両国ともに土曜日は会社や学校は休みが多いから、土、日曜に祝日がぶつかるものを除くと、2009年の1年間に限っていえばイタリアの祝日は7日。これに対し日本は倍以上の15日もある。イタリアは祝日がない月が7カ月もあるのに、日本で祝日がないのは6月と8月だけだ。

 それだけではない。土曜日を含めた3連休を比べると、イタリアは年間3回しかないのに、日本では3連休が5回、5連休が2回もある。これに加えて、日本の官公庁や会社では年末と新年の三が日の休日も慣例になっているが、イタリアにはこんな習慣はない。もちろん、イタリア人は自分の有給休暇はフルに取る。しかし、これは自分の権利で、祝日とは関係ない。

 昔のイタリアでは、カトリック教の祭日を含め祝日・連休が多かったが、1977年に当時の経済危機を打開するため、政府が祝日の大削減を行い今日のようになったのである。
 日本人は、かつては「勤勉な国民」として世界に知られた。ところが、国が率先して祝日を乱造し「ハッピーマンデー制度」などという、他国民が知ったらあっけにとられる制度まで作り上げ、国民を「怠け者」にしたのである。(坂本鉄男

いくらなんでもこんなおかしな比較はないでしょう。イタリアでは祝日以外にも、復活祭前後、クリスマス前後、そして、夏期のバカンス(夏期は1ヶ月近くで、しかも有給)と長期休暇があり、休暇 (週休と年休) は、憲法において放棄できない権利として保障されていて、民法典では、年休は連続で取得することが原則とされているんだそうですよ。
参考:イタリアから バカンスとストライキ 法制度と文化 神戸大学教授 大内伸哉
(PDF)http://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2005/10/pdf/091-092.pdf


どうみたって年間の休日で比べればイタリアの方が多いし、労働時間にしてもブログのサイドバーにもリンクしてある『社会実情データ図録』のデータ(ただしイタリアの年間実労働時間の統計はありませんが)をみると、日本人の方が働きまくりだろこれ。


■年間実労働時間の国際比較
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/3100.html


長時間労働者比率の国際比較
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/3130.html


上の表をみて、韓国の労働時間の長さが突出していることや、90年代までの日本がかなり長い労働時間であったことに驚いたりもするんですが、自分がこの坂本記者の記事で一番驚いたのは、いま日本では仕事や住居を失った派遣労働者のことが社会問題となっていて、「派遣村」のことなど大きく報道されているわけです。そんな時にこの記事ですよ。産経はよく掲載したなぁと呆れるばかりです。