トモダチ・アメリカのひどい演説、など

一期限りで終わるとの予測も多いオバマ大統領ですが、次期大統領選に向けた遊説の直前にアルカイダのウサマ・ビンラディン容疑者殺害を決断しました。


直後に以下の演説を行ったホワイトハウス前には人々が集まり星条旗を掲げ「USA! USA! USA!」と歓喜の声を上げました。世論調査では大統領の支持率は上がったといいます。

オサマ・ビンラディンについてオバマ大統領声明・全文(gooニュース) - goo ニュース オサマ・ビンラディンについてオバマ大統領声明・全文(gooニュース) - goo ニュース
(キャッシュ)http://megalodon.jp/2011-0504-1359-45/news.goo.ne.jp/article/gooeditor/world/gooeditor-20110502-01.html
動画


現実ははるかに複雑だというのに、オバマ大統領の演説は、開戦当時のプロパガンダそのままです。これが「今のアメリカなるもの」を体現している価値観なのかと思うと頭が痛くなります。


ここではアメリカが打ち立ててきた「対テロ戦争」は、「正義」の戦争という聖戦意識によって強固なバリアを作りだし、海の向こう側への視線はまったくありません。


2001年の9・11テロ事件の約一ヶ月後に開始された「対テロ戦争」ではアフガニスタンイラクで9・11テロ事件の犠牲者をはるかに上回る民間人の死者が出ているというのに、10年という月日が経っていてもアメリカではいまだに一人ひとりの命の重さは同じではないようです。外部の出来事として無視されているのです。


そして「団結」が強調されます。団結が強けれ強いほど敵を殺す(殺した)罪悪感は薄められ、自分たちを正当化する力にもなるからです。


さらに、「アメリカの人々は好んでこの戦いに臨んだのではありません。向こうが私たちの国にやってきて市民を無意味に虐殺したことから、この戦いは始まったのです。」と、元々アメリカがソ連に対抗するためにビンラディンを生み出したという事実は都合よく無かった事にされています。


「私たちは神の下、分たれることなく、全ての人に自由と正義を与える一つの国の国民なのです」「皆さんに神様の祝福を。そして神がアメリカ合衆国を祝福してくださいますように」


最後のこの一文にいたっては、どちらがアルカイダのジハードをおこなっているのかわからなくなってきます。

asahi.com(朝日新聞社):ビンラディン容疑者殺害 国際法上の問題、指摘する声も - 国際 asahi.com(朝日新聞社):ビンラディン容疑者殺害 国際法上の問題、指摘する声も - 国際


「国際法に背く」批判の声/ビンラディン殺害 各国の反応 「国際法に背く」批判の声/ビンラディン殺害 各国の反応


アメリカはこれまでも自国と自国民には治外法権があるかのごとく国際法の理念を無視するような戦争(捕虜への拷問、パレスチナ問題、イラク戦争など)を行なってきました。ブッシュ政権時には国際刑事裁判所ICC)の署名を撤回しています。


アメリカにたてつく者には国際法も適用されず裁判なしに殺害しておkなどという「アメリカ単独の正義」に基づく行動には当然、批判の声が上がっています。


上記の2つの記事より抜粋

・オランダ・アムステルダム大学のジャン・ダスプレモン准教授「米側の行動がすべて国際人道法上の手続きにのっとったものだったのかどうか、今後、検証が必要だ」
・ベルギー・ルーバンカトリック大学のピエール・ダルジョン教授「本来は生きて拘束されるべきだった。国際法上、認められる殺害だったかどうかは微妙だ」
・国連の旧ユーゴスラビア戦犯法廷で判事を務めた法政大学の多谷千香子教授「米国にとって危険人物なら、誰でも殺して良いことになってしまう」
ウルグアイアルマグロ外相「司法を通じて罪を償うべきだった」
・チリの上院外交委員会のトゥマ委員長「国際法の有効性をないがしろにするもの」
ベネズエラ外務省「暴力を暴力で根絶することも不可能」


さらに

ビンラディン容疑者殺害:暗号名は「ジェロニモ」 - 毎日jp(毎日新聞) ビンラディン容疑者殺害:暗号名は「ジェロニモ」 - 毎日jp(毎日新聞)
 国際テロ組織アルカイダの最高指導者、ウサマ・ビンラディン容疑者を殺害した米国の秘密作戦の詳細が米メディアによって明らかになった。同容疑者を暗号名「ジェロニモ」(白人の侵入に抵抗した先住民族アパッチ族の戦士)と呼び……


米軍という組織はどういう意識でこういうネーミングを付けているのでしょうか(呆)
まさか自分たちを侵略者だと自覚してこのようなネーミングを付けているわけではないでしょうから……


【追記】

暗号名「ジェロニモ」は不快 先住民が大統領に謝罪要求 ― スポニチ Sponichi Annex 社会 暗号名「ジェロニモ」は不快 先住民が大統領に謝罪要求 ― スポニチ Sponichi Annex 社会


 米オクラホマ州先住民族(インディアン)は3日、米海軍が国際テロ組織アルカイダの指導者ウサマ・ビンラディン容疑者を殺害する際、同容疑者の暗号名に先住民族の指導者ジェロニモの名前を使ったのは不快などとして、オバマ大統領に公式謝罪を求める書簡を送った。

関連動画

アフガニスタンのヘラートで市民90人を殺害した米軍誤爆の映像
http://www.youtube.com/watch?v=9qsDtnAdjz8