「カンパニーメン」


以前「キラ☆キラ」で町山智浩氏が紹介していたのを聴いて、観たいと思っていた「The Company Men」。
ほんとは「ゴーストライター」を観るつもりで、ヒューマントラストシネマ有楽町に行ったのだが、ヒューマントラストシネマ渋谷の方の上映スケジュールと見間違えていて、着いた時にはもう「ゴーストライター」は始まっていた。あれ〜?
…まあ、その30分後に「カンパニーメン」が始まるところだったから、ちょうど良かった。こういう時に水曜がサービスデーだったのがありがたい。気軽に別の映画に変更できる。
この作品は、不況で突然のリストラに遭ってしまった男達の物語なのだが、その主役にベン・アフレックを起用したというのがヒットポイント。
一時は飛ぶ鳥を落とす勢いでハリウッド・スター街道を駆け上がり、大物女優と次々に浮き名を流し、最もモテる男とまで言われたベン・アフレックだったが、「デアデビル」での失敗やスキャンダルでのイメージダウンやズラ疑惑などもあって、近年はすっかり落ち目になってしまっていた彼が、リストラされて再就職活動を始めるが、それまでの自分の肩書きやプライドを捨てきれず、現実をなかなか受け入れられないという役をやっていたので、実にリアルだったのだろう。アメリカでは役とベン本人を重ねて観る、そのキャスティングの妙が当たってヒットしたところもあったようだ。
でも実際にベン・アフレックはいい演技で、すんなり感情移入できて、「明日は我が身かもしれない」と身につまされながら観た。
一発逆転で状況が好転するような展開にしなかったのもよかった。そうしなかったことで、映画的なカタルシスは弱まるものの、あくまでこれは今のアメリカの現状をリアルに描いた作品にするという姿勢は真摯に感じられた。
大げさな話ではないが、心に染みる一本になった。
上司役で出演するトミー・リー・ジョーンズは、缶コーヒーのCMで見せるいつもの困った表情で終始存在感を発揮。
こちらもすっかり過去の人になっていたケビン・コスナーも、ちょっとイヤな奴風な役を演じていたのが意外だったが、これも現状のケビン・コスナーだからいい味出せていたのだと思う。
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