「イコライザー」



レイトショーで「イコライザー」を観た。
デンゼル・ワシントンのアクション映画〜?」…と半信半疑だったのだが、「ムービーウォッチメン」で宇多丸氏がかなりホメていたのを聞いて興味が出てきた。
映画秘宝の12月号がアクション映画特集だったこともあって、またちょっとそういうのも観たいなというモードになっていたこともあって。
ただ、いくら平日の夜とはいえ、客が自分を含めて二人…(苦笑)。
話自体はごく単純なビジランテものというか。いわゆる「舐めてた相手が実は殺人マシーンでしたムービー」で。
今はホームセンターで働き慎ましい生活を送っているが、実は元CIAの工作員で、知り合いになった娼婦が酷い目に合っているのを見過ごせなくて、思わず手を出してしまったのをきっかけに、ロシアンマフィア組織と戦うはめになってしまう…というもの。
ストーリーだけ追うと、わざわざアカデミー賞俳優を起用して、132分もの長さで作ることもないように思えるのだが。
ただ、この作品が凡百のアクション映画とちょっと違うのは、凄腕殺人マシーンのマッコールさん(デンゼル・ワシントン)が、敵の数や所持している武器、部屋の間取りや物の配置などを冷静な目で見て把握し、脳内コンピュータで敵を倒す段取りとそれにかかる所要時間などをはじき出す、その「間」のタメがキモになっていて、どうする?やるのか?勝てるのか?とタメてタメて…からの、いざ動いたら超・速い!という、極端な緩急が見どころになっているところだ。
このタメがまどろっこしいと思う人には、退屈で冗長な映画と評されるかもしれない。
あまりもったい付ける演出は好きではない自分だが、この作品の焦らしは楽しめた。

いざ戦う前のタメもそうだが、作品の前半部分で、静かに暮らしているマッコールさんの生活ぶりが延々と続くあたりも、後半戦い始めたら、「おい、容赦ないな!」と笑っちゃうぐらいの徹底ぶりとの比較で面白いと思えた。
ネルシャツをジーンズにインしているが実はただものではないことが少しずつわかってくる感じ、不穏な空気がじわじわ迫ってきて、どうも避けられそうにないという状況に追い込まれていくところを丁寧に描いているからこそ、ロシアンマフィアをバッタバッタとやっつけるオジさんの姿が痛快に見える。
(ダイナーで一人静かに「老人と海」を読むマッコールさんの姿が印象的で、翌日自分も文庫本で「老人と海」を買ってみたw)
ただ、このマッコールさん…強過ぎです。いちおうピンチらしいところはあるけど、いくらなんでもやり過ぎな感じはした。
でも、それでシラけるかというと、なんか笑っちゃうんで…。なかなか面白い映画だったといえるとは思うけど。