複数の通過連絡となる乗車券

[広]広島市内から[阪]大阪市内への片道乗車券です。
経由欄は「山陽・上郡・智頭急線・智頭・因美・山陰・豊岡・タンゴ線 以下手書き 福知山・山陰・東海道」とあります。


経路は以下の通りです。
広島(山陽本線)上郡(智頭線)智頭(因美線)鳥取(山陰本線)豊岡(宮津線)宮津(宮福線)福知山(山陰本線)京都(東海道本線)大阪

智頭急行線、北近畿タンゴ鉄道線はJR6社各駅相互間との通過連絡運輸を行っていますが、このようにJR〜社1〜JR〜社2〜JRの形態となる通過連絡運輸は、マルスシステムが対応していないこともあり、JR各社で扱いが異なっていました。
JR東日本は不可、JR西日本はJR部分が自社線完結となる場合は可としていた(※)ようですが、現在ではJR西日本も経路によらず不可としているようです。
したがってこの乗車券は購入当時は発売可でしたが、現在では発売できない乗車券ということになります。発行駅は伏せておきます。運賃は消費税率5%当時のものです。
西日本旅客鉄道株式会社 旅客連絡運輸規則別表・旅客連絡運輸取扱基準規程別表(以下、連規・連基別表)、連絡運輸の取扱いに関する基本事項の第7項「通過連絡となる場合の発売できる範囲」として、「当社管内の連絡会社に限っては、何社(複数の通過連絡となる形態)であっても、連絡運輸契約を実施したものとして取扱う」としていました。ただし最近の連規・連基別表にはこの記載がありません。

連規・連基別表の解釈上では例えば、
(201) 青い森鉄道株式会社線では「盛岡駅を接続駅とする東日本・東海・西日本旅客会社線及びIGRいわて銀河鉄道線盛岡・目時間」
→JR線〜盛岡接続 IGRいわて銀河鉄道線〜目時接続 青い森鉄道線
※ただしこの形態の三社連絡運輸は行っておらず、JR線〜IGRいわて銀河鉄道線〜青い森鉄道線〜JR線(盛岡・好摩接続、目時経由)の通過連絡に限られます。
(201)の2 IGRいわて銀河鉄道株式会社線では「八戸駅を接続駅とする東日本・東海・西日本旅客会社線及び青い森鉄道線八戸・目時間」
→JR線〜八戸接続 青い森鉄道線〜目時接続 IGRいわて銀河鉄道
IGRいわて銀河鉄道線においては八戸線(長苗代〜鮫間)〜青い森鉄道線IGRいわて銀河鉄道線(各駅)の三社連絡運輸を行っています。八戸線青い森鉄道線IGRいわて銀河鉄道線〜JR線の通過連絡の乗車券も発売可能です。
の連絡運輸(通過連絡運輸)をそれぞれ定めており、会社線2社にかかわる連絡運輸を想定したものとなっています。


一方で、(419)の2 北近畿タンゴ鉄道株式会社線の経由運輸機関は東日本・東海・西日本旅客会社線のみで智頭急行はなく、北近畿タンゴ鉄道智頭急行の間では連絡運輸は扱わないことになっています。JR→北近畿タンゴ鉄道、JR→北近畿タンゴ鉄道→JRは可能であってもJR→北近畿タンゴ鉄道→JR→智頭急行、JR→智頭急行→JR→北近畿タンゴ鉄道→JRは発売できないと解釈しているようです。(421) 智頭急行株式会社線についても同様です。
かつてJR西日本ではこのように会社線を2度通過する区間について発売可能であるとし、マルスシステム非対応のため出札補充券での発売を行っていました。POS端末では端末での発券が可能です。

営業キロ・運賃は以下のとおりです。
智頭急行:上郡〜智頭、56.1km 1260円(現行1300円)
北近畿タンゴ鉄道:豊岡〜福知山、89.3km 1750円(現行1800円)

JR西日本営業キロを通算し運賃を計算します。幹線、地方交通線区間ごとに分けると以下のようになります。
広島〜上郡(山陽本線) 幹線215.1km
智頭〜鳥取(因美線) 地方交通線31.9km(換算キロ35.1km)
鳥取〜豊岡(山陰本線) 幹線81.9km
福知山〜大阪(山陰本線東海道本線) 幹線131.3km

合計で営業キロは460.2km、運賃計算キロ463.4kmです。運賃は7350円(現行7560円)です。
JR西日本7350円と智頭急行1260円、北近畿タンゴ鉄道1750円を合計すると10360円となります。もし現在も発売可能であれば、現行運賃は10660円です。

一方で営業キロJR西日本智頭急行北近畿タンゴ鉄道と合算すると605.6kmですので、5日間有効となります。


この乗車券はJR西日本のPOS端末設置駅で購入しました。券面着駅上の[西]がJR西日本POS端末で購入したことを示しています。
POS端末では今回のような複数社の通過連絡となる経路においても運賃計算に対応していますが、マルスシステムでは「要求区間誤り」を回答し、発券できません。

今回の乗車券の経路は、上郡・智頭・豊岡・福知山で接続駅コード4個です。POS端末においても5個以上は運賃計算できないようです。
マルスシステムにおいては接続駅コード3個が運賃計算できる上限のようです。
例1:東京都区内→新青森東北本線IGRいわて銀河鉄道線、青い森鉄道線奥羽本線)、接続駅コードは盛岡・目時・青森。
例2:東京都区内→宇奈月温泉(新幹線、ほくほく線北陸本線富山地方鉄道線)、接続駅コードは六日町・犀潟・富山。
例3:越後湯沢→春日山上越線ほくほく線信越本線えちごトキめき鉄道線)、接続駅コードは六日町・犀潟直江津

JR線と北近畿タンゴ鉄道線、智頭急行線の連絡範囲は以下のとおりです。
北近畿タンゴ鉄道
(1)宮津天橋立の場合、JR6社各駅
(2)宮津天橋立以外の場合、
JR東日本:東京(都区内)、横浜(市内)
JR東海東海道新幹線 東京・新横浜・小田原・熱海・三島・新富士・静岡・掛川・浜松・豊橋三河安城・名古屋(市内)・岐阜羽島米原・京都・新大阪
JR西日本:各駅
JR九州:小倉(市内)・博多(市内)
北近畿タンゴ鉄道:各駅

智頭急行
JR東日本:東京(都区内)
JR東海:東京・名古屋(市内)・京都・新大阪
JR西日本東海道本線 米原〜神戸(市内)間、福知山線 塚口新三田間、山陽本線 朝霧〜糸崎間・広島(市内)・新山口播但線 京口〜福崎間、姫新線 播磨高岡〜津山間、赤穂線宇野線本四備讃線伯備線山陰本線 浜坂〜赤碕間、因美線鹿児島本線 小倉・博多
JR四国予讃線高徳線土讃線
JR九州:小倉(市内)、博多(市内)
智頭急行:各駅

北近畿タンゴ鉄道(福知山・西舞鶴・豊岡)、智頭急行(上郡・佐用・智頭)とも接続各駅でJR6社各駅相互間と通過連絡運輸を行っています。