第445回 OZROSAURUS『ROLLIN’ 045』

ROLLIN’045

ROLLIN’045

  1. INTRO
  2. CHECK ME NOW
  3. WHOOO
  4. KOCO KOCO
  5. AREA AREA
  6. VILI VILI feat. SHALLA
  7. SKIT feat. MASTA SIMON from MIGHTY CROWN
  8. ROLLING ROLL UP
  9. RULE feat. F.U.T.O / JANBO-MAN from 風林火山
  10. 少女A
  11. SKIT
  12. TELL ME feat.MAY
  13. ROLLIN' 045
  14. 045 BB
  15. YOUNG GUNZ feat. M.O.S.A.D. / MAGUMA MC'S
  16. しかけ feat.TWIGY
  17. 追い越し可


最近の熱帯夜。寝るときに何か聴こうと探していて、このOZROSAURUSの『ROLLIN’045』にしました。決して、眠くなるほどつまらないアルバムというわけではありません。
聴けばわかると思います。眠れない熱帯夜に聴きたくなる、と(特に、アルバム中のある一曲)。


アルバムは、主にDJ TOMOとDJ PMX(DS455)の二人によるプロデュースかと思っていたのですが、調べてみると、他に、INOVADERや、DJ CELORY、Mr.DrunkTWIGY(枯枝楽団)もプロデュースしています。


OZROSAURUSについては、このブログでは再三再四書いてきました。私もいろんなことを言っているようですが(その日その日の気分で書いているので、時に説得力がないことをお許しください...)、やはり、現在のところ、この『ROLLIN’045』が好きだし、最高傑作だと思っています。どの曲も合格点以上なのですが、一曲ずばぬけて素晴らしいのです。後に出てきますが、他の曲は聴かずとも、この一曲だけは聴いてほしいのです。



私が考えるに、このアルバムには流れがあります。まず、「INTRO」から「ROLLING ROLL UP」まで、DJ TOMOとDJ PMXのトラックに乗って、MACCHOがノセてくれます。この辺りは、この時期の”いかにも”OZROSAURUSらしい曲が続きます。
そして、中盤「RULE」から流れが変わります。このF.U.T.O.とJAMBO MANとMACCHOによる「RULE」では、地球に起きているさまざまな問題(環境問題、戦争、人権、アメリカ批判…)を挙げ、今の地球を嘆いている社会派な曲です。MACCHOとF.U.T.O.とJAMBO MANの連携も良いです。
次に、MACCHO一人で、若い女性の性事情を切り取っています(「少女A」)。MACCHO得意の押韻術と若干ユーモアの入ったシニカルなリリックはさすがです。さすがに、表現が生々しいものもあるので、放送できないような感じもしますが。


「SKIT」を挟み、ここから耳に優しい曲が続きます。前の流れを多少踏んで、閉塞している時代状況をもっと俺に”教えてくれ”という「TELL ME feat. MAY」は、PMXトラックとMAYのボーカルが心地よいです。
そして。
タイトル曲にもなっている「ROLLIN' 045」が、私がオススメする曲です。むしろ、このアルバムは、この曲をどうしたらうまく聴かせるかを考えて、他の曲を配置したのではないかと思ってしまうくらい、「ROLLIN' 045」はずばぬけています。
リリックは、ただ地元・横浜の風景、地理を紹介しているだけなのです。しかし、事実だけを書いているのに、どうしてこんなに心が動かされるのでしょうか。それは、リリックがMACCHOの横浜への想い、愛情が込められているからでしょう(そもそも、045は横浜の市外局番のこと。地元を指す言葉として、その街の市外局番で表すことはよくあります)。
そして、トラックもいい。DJ PMXかと思っていたら、DJ TOMOプロデュースでした。MACCHOとDJ TOMOのコンビ(これこそOZROSAURUS!)では、最高傑作だと思っています。
私は横浜には数回しか行ったことがありませんが、この曲を聴くと「なんて横浜は素敵なところなのだ」と思い、横浜に行きたくなります。私の中での「横浜市歌」です。地元・横浜で、もっと大々的に評価されてもいいんじゃないかな、と思ってしまいます。


さて、すっかり気分が良くなったところですが、まだアルバムは続くのです。むしろ、アルバムはこれで終わってもいいのではないかと思うのですが、眠るために聴いているのであれば、ここで眠っておくことを勧めておきます。
ここから、また流れが変わります。


「ROLLIN' 045」の後は「045 BB」です。プロデュースは意外にも、Mr.Drunk(a.k.a.Mummy-D)。実は、坂間兄弟は横浜出身ですが、その作品にはあまり”横浜色”はありません。ただ、つながりはあり、『BAY SQUAD』みたいな作品もあります。
眠る最終ラインは「045 BB」までです。このあと、しばらくは眠ることはできません。
次は、「YOUNG GUNZ feat. M.O.S.A.D./MAGUMA MC'S」です。
豪華なマイクリレーで壮絶な曲なのですが、アルバム全体から見ると、浮いています。シングルCDで出しておけば、また印象が違ったでしょう。やはり、TOKONA-Xインパクトあるのですが、サンプリングでもTOKONA-Xの声が使われており、また、それがやたらに”乱用”されているので、絶対眠れません。
ちなみに、「YOUNG GUNZ」には別バージョンがあり、それぞれ、M.O.S.A.D.THE GREAT SENSATION』とMAGUMA MC'S『MASSIVE』に収録されています。


続いて、「しかけ feat. TWIGY」。TWIGYとMACCHOも意外な組み合わせな感じがしますが、「GO!NIPPON」(『セヴン・ディメンションズ』収録)で共演しています。TWIGYは1ヴァースと、hookに登場しますが、hookの長い押韻が巧みで、そこに気付くとニヤリとする作品です。


ここまで内容が盛りだくさんなので、最後のDJ CELORYプロデュースの「追い越し可」は、どこか「OUTRO」な雰囲気で少々もったいないですね。こういう辺りも、曲順の今一度の検討を考えたいところです。


久しぶりに長いこと書きましたが、私の伝えたいことは「ROLLIN' 045」が素晴らしいので、ぜひ聴いてみてください、ということです。もう一つあるのですが、それは次回にあわせて書こうと思います。