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読書する Barman

のろまな牛は鞍をほしがり、駄馬は耕作したがる(エセー)
PV  自2010年08月01日
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2011-10-05

マグマ / 真山 仁

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2005年に書かれた本書は、地熱発電による電力ビジネスを舞台にした経済小説だ。使命感、成功や利権あるいは後悔など様々な思惑を抱えた主人公たちの前に強大な既得権を持つ政財官のトライアングルが立ちはだかる。その中心は、今では言うまでもないが原子力発電をめぐる利権である。


ストーリー中に巨大地震は発生せず、したがって原発は津波に洗われることなくメルトダウンも起こさない。しかし驚くべきことに、本書は6年後の危機到来の蓋然性を告発する内容になっている。あの日以来、ぼくらの上に停滞し続ける目に見えない黒雲の出現を予想しているのだ。そして起こった事実は小説より途方もなく大きく深刻だった。


原発の安全性やもっとも低コストな発電方法だとする神話への疑問を発するやりとりが随所に出てくる。
"…一番安いのが原発で、5.9円。…ただ、原発の5.9円というのは大嘘で、電力各社は大体9円程度だと言っています。ところが、それでもまだ原発で使用した高放射性廃棄物の処理費用が含まれていなかったり、…我々は、せいぜい15円がいいところじゃないかと見ています。ある学者の計算では、100円しても驚かないと言っています"(1キロワット/アワーの発電コストについて)


NHKでドラマ化され映画にもなった「ハゲタカ」の著者による本書は、横糸の設定や描写も巧みで小説としても十分に楽しめると思う。ラストがメロドラマ風味で管理人には少し厳しかったが、そもそも描写を味わう小説ではない。著者が徹底的に調べた上で示唆するぼくたちの未来について、読みながら考えたい小説だ。


最後に。
充実した仕事をするのも楽しく酒を飲むのも良い仲間や知り合いに恵まれてこそだと思うが、それは読書にも当てはまるようだ。いつも興味深い1冊を紹介してくださるMさんにお礼申し上げます。


(すでに「専門家のあいだでは常識」だったとある。★★★★★)




マグマ (角川文庫)
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真山 仁
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もりもりもりもり 2011/11/13 16:23 はじめまして。
素敵な本の紹介有難うございます。
自分も真山仁氏の作品が好きなのでトラックバックを送らせて頂きました!
宜しくお願い致します。

do_dokusyodo_dokusyo 2011/11/14 13:17 > もりもりさん
力のこもったブログ拝見しました。お互いにがんばりましょうね!

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