文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記1(1) 』です。

「小沢一郎は無罪だ」という前田恒彦元検事の「爆弾証言」を、何故、日本のマスコミは隠蔽・黙殺するのか。たとえば小沢裁判を論じる朝日新聞の社説は「前田証言」を完全に無視している。この前田元検事証言の「無視」は明らに政治的無視である。日本国民に前田証言を知らせたくないのである。何故、日本の新聞・テレビは、前田証言を知らせたくないのか。新聞もテレビも「小沢一郎暗黒裁判」の「グル」だからだろう。そこで、あらためて前田元検事の証言を再確認しておこう。


小沢一郎裁判において、昨年12月16日、第10回公判が開かれた。第10回公判には、大阪地検特捜部の証拠改竄事件で実刑判決が確定した前田恒彦元検事が出廷した。前田元検事は、陸山会事件で大久保隆規秘書の聴取を担当し、虚偽記載を認める調書を作成した検事である。ところが、前田検事の作成した調書は、任意性が問題とされ証拠採用されなかった。さて、その前田恒彦大阪地検特捜部検事は、昨年12月16日、第10回公判で、どのような証言をおこなったか。あまりにも重大な証言なので、つまりこの証言内容の詳細とその重大性が日本国民に知られると都合が悪いというわけで、朝日新聞を初めとして日本のマスコミは、この証言内容を隠蔽・無視したわけだが、そうであるとすれば、ここで、あらためて前田元検事の証言を再確認しておくことの意義は大きいと思われる。まず「日刊ゲンダイ」の記事を引用しておく。

(「日刊ゲンダイ」から)
■検察の追認機関にすぎない正体不明の組織
 「ゼネコン献金は夢物語。検察幹部の妄想だ」
 16日の小沢裁判に証人として出廷した前田恒彦・元検事(44)は冗舌だった。赤裸々な捜査批判や暴露話の連続に、法廷の小沢一郎も思わず身を乗り出したほどだ。
 前田が証拠隠しの例に挙げたのは、検察幹部の「夢物語」に関する現場検事の「捜査メモ」だ。
 例の土地購入費4億円について、「妄想」を抱いていたのは当時の佐久間達哉特捜部長と大鶴基成次席検事、木村匡良主任検事のみ。佐久間部長が現場の陣中見舞いに訪れ、「4億のうち、水谷建設から5000万、○○社から1億、××社から2億」と持論を展開するのを聞き、前田は「何だそれ、夢を語っているのか」と思ったという。
なぜなら、当時は地方から20人近くの検事が東京地検へ応援に駆り出され、小沢の地元・岩手の胆沢ダムム工事を受注したスーパーゼネコンや下請け業者を総がかりで聴取した。ところが、水谷建設以外から全く供述は得られず、「小沢側に現金を渡していない」と語る業者ばかりだった。
 「特捜部は想定と違う話は調書にせず、(証拠にならない)取り調べメモとしてワープロでまとめ、捜査班内で配って共有する。当時は『金を渡していない』という建設業者の供述メモが大量に出回っていた」(前田)
 5000万円を受け取ったとされる元秘書の石川議員もかたくなに否定。石川を調べた吉田正喜副部長(当時)でさえ、「アイツ、受け取っていないんじゃないか」と前田に漏らし、前田は「妄想ばかりで、現場は厭戦(えんせん)ムードが漂っていた」と証言した。
 小沢の裏金捜査は、現場レベルでは「シロ」という判断だったのだ。

「佐久間達哉特捜部長と大鶴基成次席検事、木村匡良主任検事・・・」とは、懐かしい名前である。彼らは今、何処にいるのだろうか。まだ現場で、「小沢一郎暗黒裁判」の仕掛け人として、必死で頑張っているのだろうか。というのは、冗談である。噂や情報によると、ほとんどが現場を張られているらしい。デッチアゲ捜査、国策捜査の実態が暴露され、その責任を取らされて「左遷」されたり、退官に追い込まれたのだろうか。それとも、「小沢一郎潰し」の功績を認められて栄転、出世の階段を駆け上ったのだろうか。冗談はともかくとして、「佐久間達哉特捜部長と大鶴基成次席検事、木村匡良主任検事・・・」等が、とんでもない失態を演じたらしいことは、前田証言からも明らかである。おそらく、彼らは、日本の歴史の上に、「政権交代潰し」と「小沢一郎潰し」のための冤罪事件の仕掛け人としてその悪名を記されることになるだろう。キャメル男・佐久間達哉に至っては、部下に、こんなことを証言された以上、もうおしまいだろう。

佐久間部長が現場の陣中見舞いに訪れ、「4億のうち、水谷建設から5000万、○○社から1億、××社から2億」と持論を展開するのを聞き、前田は「何だそれ、夢を語っているのか」と思ったという。

「穴がむあったら入りたい・・・」気分とは、こういう時の気分なのではないだろうか。それはともかくとして、この前田証言を、たとえば産経新聞は、どう伝えただろうか。産経新聞の記事を、参考資料として引用する。

■【小沢被告第10回公判】
前田元検事 「社会的に死んだ身」も取り調べの正当性主張 
2011.12.16 11:28 (1/2ページ)[刑事裁判]


大善文男裁判長(中央)の前で証言する前田恒彦元検事(左)と、証言に耳を傾ける小沢一郎民主党元代表(イラスト・井田智康)
 「死人に口なしだが、あまりに違う」。東京地裁で16日に開かれた小沢一郎被告の第10回公判。証人として出廷した前田恒彦元検事は、大阪地検特捜部の証拠改竄(かいざん)事件で受刑中の立場を「社会的に死んだ身」と表現しつつも、「不当な取り調べを受けた」とする大久保隆規元公設第1秘書の証言を一蹴し、取り調べの正当性を訴えた。
 大善文男裁判長に促され、入廷した前田元検事はオレンジ色の上着に青のジャージー姿。付き添った職員が手錠と腰縄を外すと、落ち着いた様子で証言台の前に立った。
 大善裁判長が「ご承知と思いますが」と前置きした上で、偽証罪や証言拒絶権について説明すると「はい」と、はっきりとした声で答えた。
 元秘書らの公判では、検察側が前田元検事作成の調書の証拠請求を撤回。その経緯について指定弁護士が尋ねると、「任意性が問題となる取り調べをやったことはない」とした上で「私の起こした事件のことで色めがねで見られる。法廷に出るとさらし者になるから、(証人出廷するのは)嫌だ。私の調書を使わないでくれと言った」と検察側に求めたことを明かした。
 一方で、小沢被告の公判に出廷した理由を問われると、大久保元秘書の証言などから、うその事実を告げて供述を引き出す不適切な「切り違え尋問」を行ったと認定した元秘書らの公判の判決に言及。「絶対にやっていない。私の取り調べに問題はないと思っている」と説明した。
 また、「当時の特捜部の捜査には確かに問題があった」と繰り返し、「検察の有利不利を問わず、証言する」と宣言した。
 早口で持論を展開する前田元検事を、傍らの小沢被告はじっと見つめていた。

産経新聞は、前田証言に出てきた肝心な四億円の問題、つまり水谷建設からの裏献金疑惑には触れていない。次に朝日新聞の記事を見てみよう。

■前田元検事「特捜捜査は妄想」 小沢氏公判で証人尋問2011年12月16日13時58分
小沢一郎民主党元代表の前で証言する前田恒彦元検事(右)=東京地裁、絵と構成・小柳景義
 

資金管理団体陸山会」をめぐる土地取引事件で、政治資金規正法違反(虚偽記載)の罪で強制起訴された民主党元代表小沢一郎被告(69)の第10回公判が16日、東京地裁で開かれた。元会計責任者を取り調べた元検事・前田恒彦受刑者(44)=証拠改ざん事件で実刑が確定=の証人尋問が始まり、「自分の調べは問題ないが、特捜部のゼネコン捜査は見立て違いの妄想だった」と述べた。
 前田元検事は昨年1〜2月、大阪地検特捜部から東京地検特捜部に応援で入り、大久保隆規元秘書(50)の調べを担当した。大久保元秘書は、政治資金収支報告書の虚偽記載への自らの関与を認める内容の供述調書に署名したが、小沢氏の公判では「威迫や誘導があった」と主張した。「前田元検事の取り調べは適切だった」と、検察官役の指定弁護士が立証するため証人として呼んだ。
 前田元検事はまず、「私は社会的に死んだ身で、死人に口なしで言い返せない立場にあるが、大久保さんの公判での証言はあまりにでたらめ」と語り、「実際は大久保さんは調書を何度も読んだうえで署名していた」と強調した。
 そのうえで、特捜部の捜査には「問題があった」と言及した。「検察の有利不利を問わずお話しするのが、一般国民による検察審査会の議決への、私の対応だと思う」と切り出し、捜査の「内情」を暴露した。
 前田元検事は応援入りした初日に、主任検事から「この件は特捜部と小沢の全面戦争だ。小沢を挙げられなかったら特捜部の負けだ」と言われたという。 問題の土地購入の原資となった小沢氏の4億円の出どころについて、特捜部長ら一部幹部と現場の検事らの間に認識の違いがあったと指摘。「特捜部長の頭の中では、胆沢(いさわ)ダム(岩手県奥州市)工事で各ゼネコンから小沢氏側に裏金がいくらずつ渡った、という筋を描いていた」という。

 「水谷建設が提供を認めた5千万円以外の話を出せ」という捜査方針に対し、現場の検事らは「話は全然出ず、難しいと考えていて、だいぶ疲弊していた」と証言。「特捜部長らは妄想を抱いて夢を語っていた。小沢氏の立件に積極的だったのも特捜部長、主任検事、最高検検事の3人だけだった」と述べた。

 特捜部は結局、水谷建設以外から裏金の供述を得られず、秘書らも授受を完全否定。ゼネコン捜査の不調は、小沢氏の起訴を断念する最大の要因となった。

 大久保元秘書らの公判では、検察側が前田元検事の調書をすべて撤回し、証人申請もしなかったため、前田元検事は今回、陸山会事件で初めて法廷に立った。

朝日新聞は、「さらり」とではあるが、一応、肝心な水谷建設からの「献金疑惑」の証言にも触れている。しかし、この部分の証言が、小沢一郎裁判において重要な意味を持つことになるとは書いていない。むしろ、記事の前半の「前田元検事の取り調べは適切だった」という部分を強調したがっているように見える。記事のポイントは、「前田元検事はまず、『私は社会的に死んだ身で、死人に口なしで言い返せない立場にあるが、大久保さんの公判での証言はあまりにでたらめ』と語り、『実際は大久保さんは調書を何度も読んだうえで署名していた』と強調した。」 という部分にある。つまり、「前田元検事の取り調べは適切だった」と言いたいだけで、後半の記事内容は、オマケでしかない。この後半の部分に注目し、強調したとすれば、「日刊ゲンダイ」の記事のように、この小沢一郎「裁判そのものの不当性」「冤罪の可能性」「小沢一郎無罪」という結論が導き出されるはずであるが、そうならないのは、後半の記事内容は重視していないということである。それは、小沢一郎証言後に書かれた朝日新聞の社説が、前田証言をまったく無視・黙殺していることからも明らかである。たしかその社説には、「 『小沢氏は検察にはめられたのだ』と主張してきた人々は、これでもなお小沢氏を擁護するのだろうか。」などと、呑気なことが書かれていたが、この社説の筆者(朝日新聞記者)は、「冤罪の可能性」を知りつつ、つまり前田証言の重要性を認識した上で、それを隠蔽・無視・黙殺しながら、素知らぬ顔で書いているのである。ここまで小沢裁判のデタラメが暴露されているにもかかわらず、それでもなお、朝日新聞をはじめとする日本のマスコミは、小沢一郎バッシング、小沢一郎裁判支持を続けるのだろうか。日本の巨大マスコミは、自分で自分の首を絞めているのに気付かないのだろうか。



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