中世の歴史を勉強する意義

昨年末から刊行が始まった、岩波講座日本歴史を読んでいます。とても勉強になります。2年間頑張るぞ!一方で、中世史を学ぶ意義に関し、気になる記述がありました。

歴史学が・・・失った最大のものは一般の読者層であろう。・・・とりわけ中世のような、現代にはかならずしも直結してこない遠い過去のできごとに・・・

中世1 (岩波講座 日本歴史 第6巻)

中世1 (岩波講座 日本歴史 第6巻)

あらゆることのの動きが速い現在、今後どういう世界になっていくのか、見極めていく必要があります。それを示唆するものとして、2冊の本を挙げます。



未来の働き方を考えよう 人生は二回、生きられる

未来の働き方を考えよう 人生は二回、生きられる

大組織から個人へのパワーシフトが起きるとして、以下が述べられています。

個人や小企業、NPOなどのコミュニティでも、国家や大組織に対抗できるほどのパワーがもてる時代になりました。・・・個人や企業が国境を意識しない動きを活発化させれば、国家には、企業や国民に選んでもらうという視点が必要になるのです。

ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉

ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉

本書にも、「大企業や政府に対する不信感」として、同じような記述があります。

政治家や司法制度、大企業に対して私たちがいだく信頼は弱まっている。

国家の縛りにとらわれず、自由な活動ができる素晴らしい世界が訪れるのか、国家の保護がなくなり、「暗黒の中世」が再来するのか、どちらなのか、考えていくためには、中世の歴史を学ぶことが必要と考える。もう1冊紹介したい。



地中海世界の歴史―古代から近世 (放送大学教材)

地中海世界の歴史―古代から近世 (放送大学教材)

こちらの本には、以下のとおりあります。

グローバル化の特徴ともいえる国家の規制力の弱化や国境を越える人的流動性・経済活動の高まりは、人類の歴史の中においてみれば少しも珍しい現象ではない。19世紀に国境内に強力な支配力をもつ近代国民国家が生まれる以前、地域・国による偏差は大きいとしても、国家がその成員である国民をコントロールする力は今よりはるかに弱かったといえる。

グローバル化が進展している今こそ、日欧双方の中世史を学ぶべきと考える。現代ほど国家の力が強くなかった中世はどうだったのか、日本とヨーロッパはどう違うのか、過去を遡ることは有益だろう。