Hatena::ブログ(Diary)

金山中士の日記

2017-02-26

中野信子さんのトランプ”占い”

10:07

 文藝春秋3月特別号に、脳科学者の中野信子さんが『−豹変するアメリカ−トランプはサイコパス』という、興味深い内容の論文を寄せている。この論文で、まず中野さんはトランプさんが大方の予想に反して勝利したのは、人間の二つの意思決定システムの一つである”早いシステムが働いたからだという。”早いシステム”というのは、「感覚器官が受容した刺激が脳を介さずに伝達され、瞬時に行動に移る」もので、一方の”遅いシステム”は「脳を使ってじっくり考えてから判断する」ものであるとされる。要は、前者は感覚的・感情的思考。後者は論理的思考と言っていいであろう。端的に言ってしまえば、今回のアメリカ大統領選挙では、有権者の論理的思考が働かずに、感覚的・感情的思考が優ってしまったということになる。そして中野さんによれば、トランプさんは選挙において「大衆が”遅いシステム”ではなく、”早いシステム”で意思決定するということを理解していた」とするのだ。

 ではトランプさんはどこでそうした能力を身に付けたのかと言えば、それは生得的なもので正体は”サイコパス(psychopathy)”。日本語訳では”精神病質”。これには冷酷な殺人者とのイメージを抱きがちとなる。だが近年、劇的に進歩した脳科学の成果によれば、サイコパスは決して”冷酷な殺人者”ではないというのだ。これは一般人の中にも多数存在する人格で、各種統計によれば100人に1人はサイコパスとも言われているということだ。これは政治家大企業CEO弁護士、外科医など、時に冷酷な判断が求められるリーダーにこのタイプが多いということでもある。彼らは周囲の人々を強く惹きつける力を持ち、巧みに他者を利用する。実際の人物を例示すると、驚くことにジョン・F・ケネディビル・クリントンマザー・テレサなどもそうだと言われる。また日本人の典型例としては、織田信長が挙げられている。

 こう見ると、トランプさんのサイコパスの実体が何となく分かって来る。サイコパスは冷酷な合理主義者ということである。脳科学的には、一般の人の言動を決めるのは”眼窩前頭皮質”という部位であり、「この部分は人間の共感性を司り、それによって他者を慮ったり、温かな振る舞いが出来る」。一方、サイコパス言動を司るのは”背外則前頭前皮質”という領域で、ここは「合理的で冷酷な判断を下す時に使う」。加えて言えば、一般人は後者の部位はあまり使わないということなのである。ここがサイコパス一般人の分かれ目となる。

 トランプさんの言動を分析すると、a.根拠のない自信がある b.既存メディアを嫌う c.人をモノとして扱う d.女性に蔑視的に接する e.人間関係は利害関係の5つが指摘されるとする。翻って、J・M・ケインズ師匠筋に当たるA・マーシャルは経済学には"Cool head but Warm heart"が必要であることを説いた。”冷酷な合理性”を”Cool head”と読み替えても、”Warm heart”の問題が残る。つまり、この中野さんの論文は、彼女によるトランプ”占い”ということであろう。彼女の占いが正しいとすればするほど、トランプ”占い”に見る片肺飛行ぶりが気になって来る。時に、わが総理は如何であろうか。


 

2017-02-24 巨匠の慧眼ー米国、北朝鮮、メキシコ繋がり

巨匠の慧眼ー米国、北朝鮮、メキシコ繋がり

10:40

 トランプ大統領の誕生、北朝鮮の暗躍など、またここへ来て国際情勢が一段ときな臭い。翻って、国際インテリジェンス小説の巨匠トム・クランシーが亡くなったのは、2013年10月1日のことであった。そのクランシーの人気シリーズに”ジャック・ライアン”シリーズがある。このシリーズには、”レッド・オクトーバーを追え””今そこにある危機”など映画化されたものも多いので、小説を読まないでもご存知の方は沢山いらっしゃると思う。長年のフアンである私は彼が亡くなったときは心底落胆した。しかし幸いなことにクランシーの松明は、最後の三作を手伝ったマーク・グリーニーに引き継がれた。そのグリーニーの第一作が米朝開戦である。この内容を新潮文庫の紹介に従って眺めて見よう。

 「北朝鮮が何の前触れもなく、最新鋭のICBM銀河3号を日本海に向けて発射し、世界に衝撃が走った。核弾頭の開発が、いよいよ最終段階に達したのか−−−。折しも、元CIA工作担当官がベトナムホーチミン市で何者かに殺害され、北朝鮮に関する極秘書類が奪われた。ジャック・ライアン大統領と〈ザ・キャンパス〉の工作員らが捜索を開始。新たなアジア危機を回避できるか。」(第1巻)

 「アメリカ海軍艦船〈フリーダム〉は、韓国沖を北進している不審な中型貨物船を発見した。間もなく北朝鮮海域に入ろうとするこの船を、無線で呼び出すも応答はない。停船命令も無視したため、特殊部隊が吸収し、船内から驚くべき物を押収した−−−。一方、米国家情報長官府は、さらなる情報収集のため、さらなる情報収集のため、極秘作戦を練っていた。その遂行に大統領は、意を決してゴー・サインを出すが−−−。」(第2巻)

 「北朝鮮の若き指導者はアメリカの臨検でICBMの部品を押収されたことに激怒し、ジャック・ライアン大統領の暗殺を企てる。その計画はライアンのメキシコ訪問中に地元の麻薬カルテルとイラン人爆弾製造専門家を使って進めることに。一方、米情報機関は北朝鮮レアアース鉱山に関する情報収集のため、スパイを送ることを決断。中国アメリカ人のCIA工作員が潜入するが−−−。」(第3巻)

 「メキシコに到着したジャック・ライアン大統領。彼を乗せた大型リムジンの車列が、建設中の駐車場ビルにさしかかった瞬間、耳をつんざく凄まじい爆発音が轟き、濃い灰色の煙が、全てを包み込んだ−−−。折しも、アメリカの情報機関は北朝鮮のある重要人物が、中国への亡命を望んでいることを知る。潜入していたCIA工作員が、その人物と接触するが−−−。」(第4巻)

 以上である。この小説のなかでは、米国北朝鮮メキシコと話題の国がそろい踏みしている。そして大変怖いことに北朝鮮の謀略は、東南アジアを中心にメキシコをはじめとする全世界に及んでいる。加えて、メキシコを舞台に米大統領の暗殺を企てるのだ。”米朝開戦”は勿論小説である。荒唐無稽な部分もあるが、大筋のプロットは如何にもありえそうである。当地で不人気のトランプさんが仮にメキシコを訪問とした場合、もし何か不穏な動きがあったとき、メキシコの影に隠れて北朝鮮の暗躍があるとすれば、一体全体世界の秩序はどうなってしまうのだろうか。金正男事件を目の当たりにして、怖さも怖しということである。それにしても、巨匠の慧眼=想像力には改めて脱帽である。

2017-02-13 対米黒字を深読みする

 安倍さんとトランプさんのランデブーは一先ず成功したとのことだ。日本国民としてご同慶の至りである。トランプさんに関してメディアは強面の側面ばかり強調してきたが、ここで彼のまた違う顔が全世界に向けて発信されたわけだ。トランプさんがハード・ネゴシエーションばかりでのし上がって来たのではないことが、これではっきりした。場面に応じて、様々な顔を使い分けることが出来るということであろう。ビジネスマンとしては当たり前のことではあるのだが。

 それはさておき、今日はトランプさんが問題視する貿易問題について考えてみたい。基本的なことであるが、貿易黒字はGDP上プラスとなり、逆に赤字はマイナスとなる。これは、

     GDP内需国内需要)+輸出ー輸入 (1)

の簡単な式で確認される。初歩的経済学である。この(1)式を単純に消化すれば、「輸出は善、輸入は悪」という構造が導き出されるであろう。トランプさんが盛んについてくろのはこうした発想である。しかしこれを変換して、

     内需GDP+輸入ー輸出 (2)

と表すと、また別な側面が提起される。この(2)式からは内需の構成上、「輸出はマイナス、輸入はプラス」となる。要は、アメリカのように稼ぎ出した所得(=GDP)以上に旺盛な内需を持つ国は、輸入超過(貿易赤字)の状態でなければ、国民の需要を賄いきれないということなのだ。一方、輸出超過(貿易黒字)の国はその分だけ内需リークしてしまう。もう少し議論を矮小化すると、貿易赤字国は自国で作り出したもの以上に消費を行ういわば”キリギリス”国、また、貿易黒字国は作り出したもの以下の消費しか行わない”アリ”国ということになる。せっせとアリ国が生産する余剰物をキリギリス国が召し上げているわけだ。世界観にもよるが、個人ベースで考えて、稼いだ以上の消費が出来るのであればそっちの方がいいのではないのか。

 まさしくアメリカはキリギリス国の代表である。本当はアリ国から見れば、キリギリス国は羨ましい存在と言っていい。勿論問題はある。稼いだ以上の消費をするためには、借金が必要となる。この借金が貿易赤字である。アメリカは、この借金が膨らみ過ぎて叶わないということなのだ。ただ並みの国ならそれも納得がいく。しかしアメリカは世界で唯一の基軸通貨国である。いくら赤字を抱えてもドルを刷り増しすれば理論的にはこと足りる。アメリカ貿易赤字問題は達観すれば、そんなところである。現に毎年多額の赤字を垂れ流しながらも、アメリカが破綻しなかった基本的理屈はそこにある。

 したがってトランプさんがアメリカ・ファーストと言うのであれば、それを実行してもらへばいい。脆弱な国内製造業では国民の旺盛な需要を賄えないことははっきりしている。困るのは、トランプさんとアメリカ国民である。ただそう突き放してばかりいては、新たな世界恐慌を招きかねないのも事実だ。アメリカが貿易決済にせっせとドルを刷り増ししても、未来永劫には続かない。いずれ限界が来る。よしんばドルの増発が可能であったとしても、例えば為替市場は黙っていない。赤字が続けばドルはいつの日か大暴落に襲われる。そうなれば輸入物価は暴騰し、国民を苦しめるだけではなく、一層の赤字拡大に繋がることとなる。あとは貿易赤字とドル暴落スパイラルである。

 以上少々へそ曲がりの議論をして来たが、私の本音は相手がアメリカであろうとも、極端な貿易不均衡は放っておいていいとは考えるわけではない。2015年の貿易統計によれば、同年の対米輸出額は15兆0935億円、輸入額が7兆8698億円、〆て7兆2237億円の黒字であった。このうち自動車本体(完成品)だけで4兆4916億円と輸出全体の三分の一、黒字額に対する比率は62%を超える。如何にも目立ち過ぎである。これに加えてトヨタアメリカ市場を睨んで、新たにメキシコに工場を建てようとしているわけだ。トランプさんならずとも怒って当然である。

 貿易は所詮ゼロサム・ゲームである。マクロ的には均衡が望ましいはずだし、国民経済的にも、輸出同等の輸入を図ることによって経済厚生はいっそう高まる。今問題であるのは、現状の対米輸出を絶対に守らなければならないという風潮である。それも詰めて見れば、トヨタをはじめとする自動車産業の輸出をなりふり構わず死守しなければならないという発想でしかない。自動車産業が輸出を稼ぎ収益を確保したとしても、それが国民経済的厚生のアップに繋がらないのだとしたら、それは意味のあることか否か、じっくり議論しなければならないであろう。安倍さんにそこまでの深考があればいいのだが、どうもそうではないのが心配だ。トヨタという角を矯めて日本国という牛を殺すのでは元も子もないということだ。

2017-02-10 安倍さんは自分ファースト ―一将功成りて万骨枯るー

 安倍さんがトランプさんに会いにまた渡米した。日本時間の11日未明から会談が始まるそうであるが、何を話し合うのか? 報道によると、お土産として「50兆円の投資で70万人の雇用創出を図る」という案を持って行ったとのことだ。それもその原資は年金基金。安倍さんははよほど海外がお好きなのか、時間が出来るとこまめに外遊される。そしてその度に、血税で集めた資金であることなどはなから忘れたように大盤振る舞いでお金をばらまく。

 三本の矢も、それこそ矢折れ刀尽きてしまった。そうした惨状を目の当たりにするなかで、なけなしの年金基金までつぎ込んで、大国アメリカになぜ経済援助しなければならないのか。途上国と違ってアメリカにはふんだんにお金はある。そのお金がもっぱらマネーゲームに向かって、投資に向かわないから十分な雇用が確保されない。トランプさんが何と言おうと、アメリカ経済不振は経済政策が無策だからである。今回の投資話は無能なアメリカ政府に代わって、有能な日本政府が有効な手立てを提供するというものである。少しおこがましすぎはしないか? アメリカ・ファースト主義のトランプさんである。こんな案を提示されれば、烈火のごとく怒り出さないのがおかしい。

 しかし安倍さんという人は実に不思議な人である。祖父岸信介、大叔父が佐藤栄作、父が安倍晋太郎であること以外に、売りがないにも拘わらず、どうしてここまで力を持ってしまったのであろうか? 人物として優秀か否かと言えば、微妙である。昨年の伊勢志摩サミットではリーマンショックの再来懸念をきわめて幼稚な論法で持ち出し、メルケルさん以下の失笑を買ったのは記憶に新しいところである。彼を見ていると、目いっぱい背伸びして「僕ちゃん偉いでしょう」と折にふれて頭をなでてもらいたがる小学生を彷彿とさせる。その好例が、「美しい国、日本」。これも中身がなさすぎて、話題にするのも憚られる。

 昨年亡くなった永六輔さんは、文芸春秋に『テレビが日本人を恥知らずにした』(2016年9月号追加再録)という一文を寄せ、そのなかで、きわめつけは「美しい国、日本」。すごく上滑りな感じがして恥ずかしい。でも、あれが恥ずかしくない人も沢山いるらしいんです。実際これをスローガンにしている総理大臣自身は、何度も演説で引用しているのに、ちっとも恥ずかしそうじゃありません。少し照れてくれるとホッとするのに。そう喝破している。

 安倍さんは識者から見れば、とっくにネタバレしているのに一向に恥ずかしがらない。そうしたところが非常に違和感を感じるところである。安倍さんという人は大変真面目で真摯な人柄なのかもしれない。だが国の中枢に君臨するリーダーでありたいならば、表層的な小学生の俄か勉強ではなく、とても剃刀では切れない骨太の教養を身に付けるべきである。これは単なる知識と言うことではなく、当人の生き様、人生哲学に関わる問題である。

 安倍さんが盤石の基盤を誇れば誇るほど、その危うさが心配になる。安倍さんはどこへ向かおうとして、何がしたいののだろうか? 一向に見えてこないのだが、彼の行動原理を自分ファーストと理解すれば、少しは分かるような気もする。彼の怨念は祖父、大叔父、父にあると仮定して、彼らを何とか凌ぎたい。そうすることしか、積年のコンプレックスを拭うことは出来ない。この仮定が正しいとすれば、安倍さんは大変な危険人物である。安倍船長のもとの日本丸では、一将功成りて万骨枯る状態になって少しも不思議ではない。馬鹿を見るのは、こんなリーダーを冠してしまった無辜の国民である。 

2016-11-20 安倍さん、本当にご苦労様です

 安倍さんはニューヨークでトランプさんに会ったあと、ペルーで開催されているAPECに飛んだ。今年これで何回目の海外出張か分からないが、大変な精勤ぶり。本当にご苦労様です。ところで安倍さんは、潰瘍性大腸炎と言う難病に冒されており、前回はそれが原因で辞職を余儀なくされた。昔の私の同僚がこの病に罹患しており、その苦しみを傍で見ていただけに安倍さんの大変さは想像がつく。今回の再登場に際しては、確か、この病に対する特効薬が出たため心配ないという説明がされたと思う。とすればご同慶の至りである。いずれにしても、身体を張っての献身。まったく頭が下がります。

 しかし安倍さんは何のために、体を張っているのであろうか。昨日たまたま妻の85歳になる友人を自宅に送る車中で、安倍さんの話題になった。彼女曰く。「安倍さんの政権運営は不安でならない。アフリカに対しても、ミャンマーに対しても湯水のごとくおカネを使う。来月のプーチンさんとの会談だって、北方領土のためにまた大金が出て行くのだろう。その一方で、年金のカットが懸案とされ、駆け付け警護もなし崩し的に了解事項となってしまった」。そして最後に、「税金を払うのが嫌なのではない。使い道の筋道を立てて欲しいだけだ。それに国民の命。自衛隊員だって国民だ。納得の行かない形で死地に派遣することなどあっていいはずがない」と口を噤んだ。

 不思議でならないのだが、私の周りにはこのように安倍さんを諸手を支持する人たちはいない。だが選挙をすれば自民党が勝ち、内閣支持率は高水準を維持。これはどういうことなのでか。私の周りの人々がみんなおかしな人ばかりということなのかもしれない。