2007-06-07
■[日々の雑感]☆やっぱり夏はよる、か?

日中は風があったりして何となく爽やかな気配も混じっているが、どうかすると夜になってぴたりと風が止んでしまう。重湯のような空気が、狭い庭の木の陰にねっとりと沈みこんでいる。
空には薄い雲が一面に広がり、少しだけ千切れた隙間から青黒い夜空が覗き、そこに星がひとつだけ寂しげに光っている。この時期の夜の闇はいっそう深いような気がする。街の中から闇はすっかり追い出されてしまったが、それでも、路地の奥にある大樹の陰になった生垣あたりにひっそりと潜んでいて、そんな闇を見ると妙に懐かしさを感じたりする。
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今頃になると田んぼのあちこちから聞こえる蛙の鳴声を思い出す。重く淀んだ闇の中から、いくつもいくつもの鳴声が重なり合い、響きあって闇深い虚空に溶けこんでいく。美しい鳴声とは決して思えないけれど、なにやら耳に懐かしく不快な感じはしなかった。それどころか、それはどこか哀調を帯びた響きにも聞こえ、思わずしんみりと聞き入るようなところがあった。
田んぼも畑も山も川も、あらゆるものがくろぐろと闇に沈み、ただ空だけが薄ぼんやりと白く浮いていたような気がする。風もない重い空気がもったりと辺りに立ち込め、声高に話す人もいなかった。夜はそんなふうに少しづつ少しづつ深くなっていったが、このまま重い闇がいつまでも続いて、夜が終わらないような思いに囚われていた。
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夏はよる。月のころはさらなり、やみもなほ、ほたるの多く飛びちがひたる。また、ただひとつふたつなど、ほのかにうちひかりて行くもをかし。雨など降るもをかし。 【枕草子・岩波文庫】
たった二行でこのとおり。こういう光景を目にしたものならば、この二行で「うん、うん、わかるよなあ」と頷くに違いない。ただ、人によっては「うんにゃ、夏はあけぼのだあ!」と言うかも知れない。それはそれでまた捨て難い様な気もするのだが、それでも、四季折々の特質を、極めて短い文章でぴたりと決めたこの人のすごさも判るのだろうと思う。
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ところで、梅雨というのは夏の一部なんだろうか。
それとも、四季のほかの五季目なんだろうか。
また、眠れなくなりそうな。


「五月闇、蛍飛び交い…」月のない夜は、本当に暗いですね。