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2007-06-09

[]☆思出は早川の谷間に ☆思出は早川の谷間に△魎泙爛屮奪マーク ☆思出は早川の谷間に△離屮奪マークコメント

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今年の4月に山梨県早川に沿った「南アルプス街道」を歩いた。


今頃になって、そのときの情景を思い出したりしている。早川の谷筋を歩いた印象を、そのときブログに書いたりしたが、なんだか面倒になって途中で中断してしまっていた。


その中途半端な気持が、今頃になって思い出させることになっているのかもしれない。印象に残ったことを一つ二つ、思い出すままに記録しておこうと思った。旅行の印象などは、旅行した後しばらく寝かせておいて、それでも印象に残ったことを書き残すのがいいと思っているが、何しろ世は速攻の時代、何ヶ月も寝かせたあとでは気の抜けたビールで、美味くもなんともないような気もする。

南アルプス街道は二車線の立派な県道なのだが、その谷筋は他の地域と隔絶されているため、小さな集落が街道に沿ってぽつりぽつりと存在するだけで、田んぼや畑は開けていない。周りは山また山、自然だけが色濃いところだ。いまこの街道のトンネルは新しく掘りなおされていて、ここへ行ったときもまだ造られたばかりと言うような真新しいトンネルを2本通り抜けた。


しかし、最後に通ったのは古いままのトンネルだった。脇に新しいのを掘りつつあったが、まだ工事が完成してなく、人も車もこの4,500mほどの長さの、古いほうを通らざるをえなかったのだ。そのトンネルは人力で掘削されたようなでこぼこの壁面に、コンクリートが吹き付けられていたが、天井や脇壁から容赦なく水が染み出して、傘が必要だと思ったぐらいだ。


トンネルの幅は5,6mほど、車一台分しかない。だから向こうから車が来ればこちらはトンネルの入口で待ち、こちらが入れば向こうが入らずに待つ、という按配に使われている。もちろん人など歩いていない。ここを歩くのは大分勇気を必要とした。向こうの出口は見えているものの、中は真っ暗で路面状態も定かでない上、天井から水が滴り脇壁から噴出し、脇を車が走る。車の方だってこんなところを人がとことこ歩いているなんて思ってもいないだろうから、ヘッドライトの光に浮かぶ当方の陰を見てびびったに違ない。ようやく抜け出たときは、ほんとうにほっとして暫く早川の岸に腰を下ろして休むほどだった。

早川の谷筋も大分奥まで入ってきて、麓では萌え出した若葉が美しかったが、このあたりの山はまだ枯れ色一色という状態だ。早川の流れも沢のように細くそして急流になってきた。ほんの少し開けたところにでて、右側に大きな駐車場があり、まわりに幟がたくさんはためいていた。『湯島温泉、源泉賭け流し』という看板も見える。奥のほうに山小屋風の建物あるが、あれが温泉施設なのかもしれない。


さてと、ここが思案のしどころだった。いま時刻は3時、これから更に奥の奈良温泉まで歩きたいがまだ5kmも先、帰りのバス奈良温泉を出るのがたぶん4時半ごろ、奈良田にようやく着いたらバスが出ていた、では目も当てられない。この先の西山温泉までは2kmほど、そこから引き返してここの温泉に浸かり、ここからバスに乗ろう。ここから最終バスが4時47分に出る。

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そんなわけで、西山温泉目指してただひたすら、歩く歩く歩く。道路の傾斜もいくぶんきつくなってきて、なかなか着かない。ようやく着いたところは、山陰の狭い谷あいにホテルが3,4軒、そのほかは何も無い。もう少し開けたところを想像していたのだったが、大分違っていた。この奥はこの渓筋のどん詰まりの集落奈良温泉だが今回はここまで、またくる機会もあるだろう。ホテルの窓辺に人が写り、夕方が迫ってきている。


奈良田まで行けなかったのは少しばかり残念だが、無理をしてバスに乗り遅れ、あまつさえ泊まる宿も無かったりしたらこの山の中で往き暮れてしまう。もしそうなったらどうするか? 麓からタクシーを呼ぶ? あまりにも馬鹿らしい。通りかかる車を止めて三拝九拝、何が何でも載せてもらう? あまりにも情けない。夜っぴてあるいて戻る? あまりにも疲れる。

湯島温泉に戻って山小屋風の建物に入ってみると、簡素な板張りの小さなホール、その脇に番台(?)があってお婆さんがぽつねんと座っていた。誰も居ないらしい。貸切といっていい。中に入ると細長い洗い場で、目の前の木製の樋にお湯が流れている。これが温泉の湯らしい。桶で汲んで体を洗って周りを見渡したが、湯船が見当たらない。中庭のようなところに露天風呂が見える。どうやら湯船はあっちだけらしい。

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中庭に出て石で畳んだ露天風呂に浸かる。ぬるめの湯だが注ぎ口から透明の湯がじゃばじゃばと溢れ、湯船からひたひたと流れ去って行く。かすかに硫黄のにおいがする。貸切であるから、手足を充分に伸ばし、湯船の縁に頭を乗せて空を仰ぐ。薄い雲がいちめんに広がった空はまだ明るいけれど、周りにそっと夕暮れの加配がする。お湯の流れる音だけでまったく静かだ。

湯から上がってバス停の前の石に腰を下ろす。夕暮れが濃くなった。

桜は葉桜になって散り残った花びらが風に舞う。向こうの満開の赤白の桃がぼううっと霞んで見える。

爺さんが軽トラックで番台のばあさんを迎えに来た。二人仲良く座席に並んで家路を急ぐ。

バスが来た。4:45、3800歩、25,5km。

yatsugatakeyatsugatake 2007/06/10 03:29 甲斐駒ケ岳の山梨県側には、行ったことがありません。随分と秘境なんですね。今は、その辺りは「南アルプス市」ですか?
「湯島温泉」も、鄙びた秘境の湯ですね。「貸切」とは、羨ましい…。

donitidoniti 2007/06/10 07:02 前々から地図を眺めて、一体どんなところだろうと興味深々でした。立派な道がありますので、秘境というより山ばかりの自然濃いところと言う感じです。県道を歩かなければならないのが辛いですが、大変いいところでした。温泉の看板はいたるところにあり、という感じでもあります。

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