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2016-01-16

『「健康食品」のことがよくわかる本』を読みました

| 15:15 | 『「健康食品」のことがよくわかる本』を読みましたを含むブックマーク 『「健康食品」のことがよくわかる本』を読みましたのブックマークコメント

食品安全情報ブログでお馴染み、畝山さんの新刊を読みました。

前作「安全な食べものってなんだろう?放射線と食品のリスクを考える」については以前書評をかいておりますが、前作同様読み手をある程度選ぶ本だと思いました。

予備知識がない方がタイトルを見て手にとっても、あーわからないとすぐに戻してしまいそうな印象はあります。

畝山さん自身、薬剤師の方に読んで欲しいとおっしゃってますし、どらねこも栄養士の方に読んで欲しいというような、それぞれ食品や体内で生理作用を発揮するような成分と健康についてお話しする立場の人に読んで欲しい本だといえるでしょう。

なので、「健康食品のお話をする機会のある人が健康食品のことをわかるために読んでおくと良い本」といえるでしょう。


■本の構成

第1章では医薬品の安全性はどのように担保されているのかを解説します。ここでの解説は、後にでてくる食品の安全性に対する検査は医薬品に比べてどうなのか?という問題点への解答になります。

第2章では安全な食品とはどんなものかを考えます。完全にはわからないけれど、それでも食べないと死んでしまうわけですから、負担がかかりすぎない方法でリスクを管理していくことが提案されます。結果、いつもの解答にはなるのですけれど。

第3章では医薬品と食品の間にあるグレーゾーンについて、各国の実態を紹介しながら考えていきます。実例や対策などは日本でも参考になるでしょう。

第4章では食品の機能性表示の問題点を指摘します。アメリカやヨーロッパの取り組みをみると、昨年始まった日本の機能性表示制度の問題点が見えてくるでしょう。

終章ではそもそも健康食品って何だろう?という疑問を出発点に、畝山さんの考えが述べられます。

FDAかっこいい

私も一般の方へ食と健康の情報を伝える機会が多いので、お話しする際に根拠となる情報がたくさん載っていてとても参考になりました。

アメリカでは食品の健康強調表示について、FDAが評価した科学的根拠に基づいて表示できる文言がとてもシビアで、日本のトクホなどの制度とは大違いであると思いました。

カルシウムと高血圧のサプリメントでFDAが評価し表示できる文言はつぎのようなものです。


p140より

「カルシウムサプリメントが高血圧リスクをさげることを示唆する幾分かの科学的根拠がある。しかしながらFDAはその根拠は一貫性がなく決定的ではないと判断した」


科学的である事を前提とすると、業者が商品の宣伝に利用できないような身も蓋もない表現になっちゃうんですね。

身も蓋もない表現をさけると、科学からは逸脱するともいえるでしょう。日本の消費者行政は果たして科学的な視点と消費者視点を持ち合わせているのでしょうか?


食品表示や公衆衛生行政などに関わる人に読んで欲しい

本を読み終え、書評を書きながら思ったのですが、こうした本は行政で働く人に読んで欲しい本だなぁと思いました。

産学官連携で健康食品や地場食品の推奨を、という事例には本で指摘されているような虚構が前提となっているものが多く存在します。

また、出産育児に対する保健指導などでは、健康食品などに対する質問や利用法などへの問い合わせが多いそうなので、保健所勤務の保健師管理栄養士の方が読んでいただければたいへん参考になると思います。

なんだか魅力的な書評をかけませんでしたが、取っつきにくいけれど骨太の食品と健康の本だと思います。

itohitoh 2016/01/16 16:40 全く、doramaoさんの仰る通りですね。
私としては、特に行政組織で産業振興部門に携わり、「機能性食品表示」制度を活用して産業振興する組織・職員全員に、謙虚な気持ちで読んで欲しいと思います。
無責任行政にも、程がありますから。

養生サバイバー養生サバイバー 2016/01/17 07:23 コウノメソッドで見るサプリメントを活用した認知症治療
フェルガードなど保険薬より確実に効果を示すサプリメントを推奨する
この先生もトンデモ扱いにしていいのでしょうか

att460att460 2016/01/20 20:46 こんばんは。

ご存知かもしれませんが、ニュースを見ていたら、興味深い記事がありましたので。

抗酸化物質は癌に逆効果? | カルチャー&ライフ | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
http://www.newsweekjapan.jp/stories/culture/2016/01/post-4386.php

という記事がありました。

>同センターのショーン・モリソンやメアリー・マクダーモット・クックによれば、「抗酸化物質は体にいいという考え方は根強く、癌患者に抗酸化物質を投与する臨床試験も行われてきた」という。「しかし抗酸化物質を投与した患者がそうでない患者よりも早く死亡する事例が相次ぎ、そうした治験は中止された。なぜか。今回のデータが示唆するところはこうだ──正常な細胞よりも癌細胞のほうが、抗酸化物質のおかげで元気になっているのだ」

だそうです。

先月も、食品安全委員会より「健康食品」に関する情報が公開されていました。
https://www.fsc.go.jp/osirase/kenkosyokuhin.html

一部だけ引用します。
>「食品」であっても安全とは限りません。
>多量に摂ると健康を害するリスクが高まります。
>ビタミン・ミネラルをサプリメントで摂ると過剰摂取のリスクがあります。
>「健康食品」は医薬品ではありません。品質の管理は製造者任せです。
>誰かにとって良い「健康食品」があなたにとっても良いとは限りません。


ご紹介の本を私も読んでみようと思います。

itohitoh 2016/01/20 22:34 > att460さん
それは、約20年前に得られた知見です。確か、ビタミンAをサプリメントで摂取させたところ喫煙者において有意に肺がんの発症率が高かった、というものだったかと。かなりの大規模疫学調査で欧米別個に行われた2例でほぼ同様の結果が得られたはずです。
それでも、巷では抗酸化物質が健康に良いと宣伝されいるんです...。

その辺のことも、畝山さんは以前から指摘されていますね。

養生サバイバー養生サバイバー 2016/05/29 05:57 適度な飲酒ってどれぐらいなの? 飲酒と健康の関係のお話と
アルコールはエンプティカロリーだから太らないって本当?
アルコール記事関連で
鹿児島県民は本格芋焼酎を飲むと血糖値が下がり健康になるという画期的な論文が出回る(山本一郎) - Y!ニュース http://bylines.news.yahoo.co.jp/yamamotoichiro/20160527-00058136/

2015-12-13

「産婦人科医ママと小児科医ママの らくちん授乳BOOK」は妊娠中の方にオススメです

| 13:50 | 「産婦人科医ママと小児科医ママの らくちん授乳BOOK」は妊娠中の方にオススメですを含むブックマーク 「産婦人科医ママと小児科医ママの らくちん授乳BOOK」は妊娠中の方にオススメですのブックマークコメント

メタモル出版の「専門医ママシリーズ」待望の新刊を紹介したいと思います。

産婦人科医ママと小児科医ママの らくちん授乳BOOK

産婦人科医ママと小児科医ママの らくちん授乳BOOK

とらねこ日誌では同シリーズのロングセラーである森戸さん、宋さんの本をそれぞれレビューしております。


「育児の不安」解決BOOKはオススメよ(書評)

http://d.hatena.ne.jp/doramao/20140608/1402205507

「妊娠・出産パーフェクトBOOK」はやっぱりよいね(書評)

http://d.hatena.ne.jp/doramao/20140625/1403676922

このシリーズのテーマとして「お母さん、お父さんはもっと安心して良いんですよ」、「お母さん頑張りすぎなくて良いのですよ」というメッセージがある(と思う)のですが、今回も同様というか、頑張りすぎてしまう人が多い母乳の問題であり、本領発揮といえるでしょう。


■シリーズらしい授乳本

本の帯にはこうあります。

「母乳信仰」でも「粉ミルク信仰」でもない初めての偏りのない授乳本です!

 そうそう、母乳も粉ミルクも赤ちゃんを育てるための手段であって目的ではありません。手段が目的化してしまう変に無理をしてしまったり、結果的に子どものためにならないということもあり得ます。大事な子どものための栄養として母乳や粉ミルクについて考えるというのは本当に大切なことだと思います。

 現状を考えると「粉ミルク信仰」というのはあまり見かけませんので、どちらかというと母乳に偏っていることで生じる問題点についての言及が参考になると思います。母乳のことは悪くいってはイケナイ、という雰囲気が一部にあるという話を先日耳にしました。しかし、実際には母乳にはメリットも多いもののデメリットも存在します。赤ちゃんの栄養としての母乳、という観点で冷静に分析をして、対策を考えることはなによりも赤ちゃんのためになることです。

 本書は現役の産婦人科医、小児科医が自身の体験も参考に書いた極めて実用的な本に仕上がっております。栄養学的にみてどうなの、ということについても根拠を示しとても分かりやすく書いてありますので、その点でも今までの授乳本にあった不満点が解消されております。(母乳は完全栄養食なので栄養素が不足する心配が無い的なことを書いてある本があったりするのです)


■赤ちゃんにやさしければ母親にはやさしくなくてもよいの?

 母乳育児をキチンと達成するためには母親が苦労するのは仕方がない、これは「赤ちゃんにやさしい」産院で出産することを選んだ場合には「赤ちゃんにだけ優しく」て「母親には優しくない」こともあるので「赤ちゃんにもお母さんにも優しい産院」なのかは施設を選ぶ目安にすると良いですよ、と宋さんは述べています(p37)。

 お母さんやお父さんも大変すぎて追い詰められた状態になれば子どもに優しく向き合うのも難しくなりますし、つらすぎて病気にでもなってしまえば、本人だけでなく赤ちゃんにも良くありません。お母さんやお父さんの健康も赤ちゃんのためには大事な要素なのです。

 こうした有用なアドバイスは妊娠中にこそ求められますから、授乳で悩んでいる人だけでなく現在妊娠中の人にもオススメです。


■おわりに

 本のあとがきにもありますが、母乳ではなく粉ミルクを与えていたり、併用していることに後ろめたい気持ちを持ってしまう人がいらっしゃいます。母乳の良さを伝えたいあまり、母乳でなければならないと思い込んでしまいつらい思いをする人がでてしまうのは不幸な話だと思います。

 森戸さんの「みなさんと大切な赤ちゃんがなるべく笑顔で楽しく過ごせることを願っています。」というメッセージが形になった一冊です。授乳指導をする行政保健師さんに読んで貰いたいなぁ。

五條五條 2016/01/02 16:34 最後の「本で貰いたいなぁ」は「読んでもらいたいなぁ」ですよね?

doramaodoramao 2016/01/11 10:16 ご指摘箇所、修正しました。
有り難うございます。

2015-10-02

イベントのお知らせ

| 18:18 | イベントのお知らせを含むブックマーク イベントのお知らせのブックマークコメント


どうも、どらねこです。

管理栄養士パパの親子の食育BOOK



朝日新聞の書評欄に取り上げていただいたり、購入してくださった方がお友達に紹介してくださったりと、どらねこの宣伝力不足を補っていただいております。


さて、出版を記念イベントとして、毎日メディアカフェにてトークショーを行うことになりました。

えるかふぇとコラボ企画で、かわいいイラストで知られる小児科医の森戸先生や翻訳者のナカイサヤカさんとわいわい楽しい話をさせて頂く予定です。どらに興味のない人もきっと楽しめると思います。

申し込みは下記の告知を参照してください。

モフニャン!



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まるもったんまるもったん 2015/10/03 15:51 遅ればせながらご出版おめでとうございます!
読ませてもらいましたが、悩める親の心にすっと入ってくるようなわかりやすい文章で、実にいいですね!絵もかわいいし、早速友達にも勧めています。
朝日新聞の書評も読みました。大好評で、ホント嬉しくなりました。これからますます話題になることを願っています。

そうそう、この本を読んで涙がでそうなほど感激した、というブログを見つけたので紹介します。「タミアのおもしろ日記」http://blog.goo.ne.jp/ptamia というところです。「食の欧米化で沖縄の寿命が縮んだ」説の批判なども載っていて、結構おもしろいです。

それに限らず、あちこちのブログでもこの本が話題になっているようで、嬉しいです。これからも陰ながら応援しています。

doramaodoramao 2015/10/04 14:00 >まるもったんさん
読んで頂き、有り難うございます。
このコメントを、苦しんで書いていた頃の自分に聞かせてあげたいです。
ご紹介頂いたブログも先ほど読ませて頂きました。本当に嬉しい感想を沢山頂いて感激です。
有り難うございました。

arrowarrowarrowarrow 2015/10/24 22:58 本日の講座に参加させて頂きました!大変興味深い内容であると共に、子育てまっただ中の人に沁みる言葉をたくさん頂き「また明日から頑張ろう」と思いながら帰路に着きました。駄文で申し訳ないのですが、本日のブログの感想を記載しましたので修正点がありましたらご連絡いただけましたら幸いです。お手数をお掛けいたしますが、どうぞ宜しくお願い致します。本日は貴重なお話をありがとうございました。http://blog.arrowarrow.org/entry/2015/10/24/223629

doramaodoramao 2015/10/26 12:53 >arrowarrowさん
記事読ませて頂きました。
大変嬉しい内容で、東京行ってよかったなぁと思いました。
とても美味しそうなお弁当の仕込みで、羨ましいかぎりです。
どうもありがとうございました。

モグモグ 2015/11/09 09:08 偉大なる学者 新谷弘美博士が東洋経済オンラインに
「死んだ食品があなたの老化を加速させる」(11月6日付)
という記事を書かれたのを読んで
毎日毎食、白魚の踊り食いにしていますが
お財布にもお腹にも結構きついです

どらねこさんは「生きた食品」として何を食べてますか?

2015-09-01

○○何個分の栄養が詰まった食品は△△何個分なの?

| 16:03 | ○○何個分の栄養が詰まった食品は△△何個分なの?を含むブックマーク ○○何個分の栄養が詰まった食品は△△何個分なの?のブックマークコメント

ネタ記事です


■マグロ9皿分

先日、なんとなくテレビを眺めていたらいわゆる健康食品の宣伝が流れてて「またいつものやつかぁ」なんて思っていたら、あんのじょういつものパターンなんだけど例えがあまりにもアレだったので感心をしたのでした。

内容はこんな感じです。


私たちの体を若々しく保つのにたいせつな栄養素DHA、1日の必要量1g*1をとるためにはマグロのお刺身だと9皿分も食べなければなりません。

それが「○○」(いわゆる健康食品の商品名)なら1日わずか6粒で、1日に必要なDHAをとることができるんです!


なるほど、9皿分も食べるのは難しいからサプリメントでとりましょう、というわけだ。納得、納得・・・していいの?

ここで納得しては業者さんの思うつぼです。

マグロはDHAが豊富な食品であるというイメージ*2がありますが、DHAは多価不飽和脂肪酸に分類される油であり、赤身のような脂肪の少ない部位にはあまり含まれておりません。マグロであればトロの部位に多い事が知られております。赤身100 gに含まれるDHAは食品標準成分表によれば、120 mgですが、トロ100 g にはなんと3200 mgも含まれております。トロだとわずか0.3皿分でOKです。いやぁ、余裕ですね。

 え、財布が余裕でない? いえいえ、イワシでしたら一匹およそ80 g を食べるだけで宣伝で謳っている量を確保*3できてしまいます。財布にも優しくて助かりますね。


■○○何個分をつくってみた

こういうのはレモン3個分のビタミンCとかレタス1個分の食物繊維という表現で既にお馴染みですが、ウソはつかないで消費者に沢山入っているだろうというイメージを与える技術としては巧みであると思います。

どらねこも架空の健康食品を考え、○○何個分ごっこをやってみたいと思います。

f:id:doramao:20150901160215j:image:w560


牛乳瓶50本分ですって、コレぜったい飲めませんよ。

やっぱりこのサプリを飲まなきゃダメなんですかねぇ・・・



f:id:doramao:20150901160216j:image:w560


いやぁ、それぞれの栄養素が豊富な食べものを探してみるものですね。

やっぱり食べものの栄養価を知っておく事はとても大事だと思います。

*1:食事摂取基準ではDHAのみの基準値は示されていない

*2:あるよね?

*3:季節により異なります

山口(産婦人科)山口(産婦人科) 2015/09/07 07:45 全くです。いつだったか「ダイエットしようと思えば簡単。栄養を考えなければ1000キロカロリーでキャベツ1個丸ごと食べられる。問題はバランスなのだ」という言葉を見て、うんそうだよねえと深く頷いた記憶があります。なのに未だに「これさえ食べれば痩せられる!」というのに飛びつく人がたくさんいるんです。

doramaodoramao 2015/09/11 19:53 キャベツが売れても健康食品業者さんは嬉しくないですよね。
釣った魚に餌をあげる人は少ないように、飛びついた人に優しくない社会のようです。

養生サバイバー養生サバイバー 2015/12/17 16:17 質問よろしくお願いします
完全栄養飲料COMPやソイレントで「手軽に健康な食生活を送りたい」というのは間違いですよね。
kibi-dango.jp/info.php?type=items&id=I0000190
500円以内で作れるバランスの良い一人暮らし1日分の食事レシピ
togetter.com/li/757827
時間を削らないように10分以内で作れる簡単なものとの比較して。

2015-08-15

食育はだれのため?

| 16:02 | 食育はだれのため?を含むブックマーク 食育はだれのため?のブックマークコメント

管理栄養士パパの親子の食育BOOK』も発売から3週間、読んでくださった方からは概ね高評価をいただいており、嬉しいかぎりです。

子育て中の親御さんに役立つ本、というコンセプトで書いておりますので、ニセ栄養学的なものや食育の問題点を追求するような内容はあまり入れないようにしております。

そこでブログでは補足として、本の性格上入らなかった、栄養や食育の問題点などにも言及してみたいと思います。


■なんのための食育?

今回は『第1章 Q4 1日3食とらないとダメ?』で説明した、子どもの食事と栄養の特徴について、今の食育ではあまり配慮されていないことについて考えて見ました。

 このQ&Aでは、どうして子どもはキチンと3食をとる必要があるのかを述べていますが、だいたいこんな理由です。


成長するために、子どもはたくさん食べる必要があります。体の大きさの割に栄養をたくさん必要とするのですが、消化吸収するために必要な消化器官はまだまだ未発達です。

一度に食べられる量は少なく、蓄えておく機能も十分でないので毎食の食事をきちんと摂り、おやつも楽しみだけでなく栄養面に配慮した食事の補食として考えることが大事です。


 本の中では、十分な栄養をとるための工夫や、朝食が十分に食べられない状況を改善するためのアドバイスをさせていただきました。

 しかし、家庭の工夫や努力だけでは改善するのは難しい問題はいくつもあります。それを補うためには社会全体で子どもの栄養と健康について配慮して欲しいところですが、子どもにとって家庭の次に長い時間を過ごす、学校内での配慮がまだまだ不足しているようにどらねこは感じております。

 食育の目的の一つは、子どもの心身の成長ですが、それを支援するための学校なのですから、もう少し融通を利かせてあげてもよいと思うのです。


■朝食たべてる?

 小学校の食育でよくみかけるのは、朝ごはんの重要性を謳うものでしょう。中には文字通り、ご飯は良くてパンはダメというなんだかなぁ、というものもありますが、好きな方を選べばOKです。

 「毎日しっかりと朝食を食べましょう」というのは簡単ですが、休日が少なく労働時間が長めのお国柄ですので、どうしても家庭での生活時間は夜型になりがちです。そうすると気持ちよく朝早く目覚めるのはむずかしくなり、お腹もあまり空いていない、という状況がつくられます。

 これを家庭レベルでなんとかしなさい、というのが今の食育にありがちな問題点です。食育を推奨する側が社会に対して配慮を求めていくようでなければいけません。小さい子どもがいる労働者に対しては、夕方以降の労働を免除とか、家事のヘルパーさん無料券の配布(浅はかな思いつき)とか、子どもに朝食をしっかり食べて貰いたい親が、朝早く活動を開始できるような取り組みをして欲しいものです。状況をちゃんとつくってあげないと、ムリが生じて長続きしなかったり、無理がたたり体をこわす可能性もあるでしょう。そんな状況で食育もクソもないですからね。

 では、学校レベルで出来ることってなんでしょう? どらねこなりに考えてみました。


■栄養補給や食事環境にも配慮を

 「朝食をしっかり食べましょう」という文言は、毎食たべないと十分な栄養摂取が難しい子どもの体の特徴を考慮したもので、子どもの健康と成長を願うような意味合いであるはずです。もし、朝食を食べなくても十分な栄養が摂れて子どもが元気なのであれば、朝食を摂らないことを問題にする必要はなくなることでしょう。食育を行う目的はなんであるのか、というのを見失ってはいけません。食育は子どもや子どもを持つ親を自分の考える理想に沿って行動させるためのものではないはずです。

 この視点で考えると、朝食を十分にとることが難しい子どもに対する学校側の援助や環境作りは違ったものになりそうです。

 そんなわけで、どらねこが学校に期待する「食育」と「食事と栄養確保の支援」です。

 



その1:始業開始時間前に「飲み物・軽食タイム」を設ける

 早起きが苦手で、朝食をしっかり食べることが難しい子どもであれば、飲み物や軽食を家から持参するのもありじゃあないでしょうか。でも、その時間で食べてね、という感じ。栄養確保が大事だというのならそのための配慮は必要だよね。


その2:牛乳タイムは給食の時間に限らない

 子どもの栄養を考えると、牛乳などの乳製品は成長に必要なカルシウムを手軽にとるのに優れた食品だといえるでしょう。給食に合わないという理由で拒否をするのはもったいないと思います。お腹が空くような時間帯に牛乳や飲み物を補給する時間をつくったら如何でしょう。


その3:給食は子どもの意思を尊重しよう

 子どものためにといいながら、子どもの意に沿わないことを強要するのはよくありません。ましてや給食は個人の嗜好には配慮しきれないものですから。嫌いな物を残す事を非難しない。早く食べろと急かさない、残しても叱らないは基本でしょう。


その4:快適な環境で食事を

 極端に蒸し暑い環境では食欲が落ちるのは当然です。学校だからといって過酷な環境を子どもに強いてよい理由はありません。環境改善については前向きに考えて貰いたいですね。


その5:お米偏重にならない

 パンが好きな子はパンを提供しましょう。ご飯じゃなきゃ力が出ないとかアタマが良くならないとかそんなデータはありません。必要な栄養素を充足できるのなら給食として問題ないです。


その6:部活動など学校での活動時間が長い日にはおやつタイム

 夕方までいるような場合でも学校での給食以外の飲食はダメ、というのは子どもの生理を無視した拘束ともいえるでしょう。おやつを提供するなどの配慮があってもいいのでは?


 どらねこの提案は如何でしたか? 現状では難しい項目も多いと思いますが、食育が大切だというのなら考えて欲しい問題であると思います。


■おわりに

 残念ながら、子どもの栄養状態も家庭環境によって差がついてしまうという現実があります。自分で環境を選べない子どもにスタート地点の差をつけないために、子どもに対する公的な援助はとても大切な物であると思います。親が家庭が、という食育に憂慮するのはその辺りなんですね。

 何度もしつこいですが、食育は子どもの健やかな成長のためにあるのだという基本は忘れてはいけないと思います。

 

 

えのきえのき 2015/08/15 21:28 子供の自然な食欲は、もっと研究されてもいい。大人は、平均的な栄養学でもいいんだけど、成長期の子供って、平均的な栄養を与えるより、本能のままの方が、本当に必要としている栄養を多く食べようとしているみたい。どちらかというと、本能をおかしくする、依存性のある食べ物を極力与えないってことの方が大切だと思う。そういうのを食べてしまうから、必要な栄養が不足してしまうから。

日本の給食のダメなところは、同じものを同じ量を食べさせて、子供に選べないようにもなってること。そうしないと、提供できないなら、やめた方がいい。少数の子供が医学的にも傷つくだけだし。

大人の栄養学は、日本人の飲酒率の高さがあって、飲酒を解決しないかぎり、たぶん、無駄、笑。飲酒していて、ダイエットするとか、ありえないし。もともと、アルコール代謝が悪い人ほど、多く飲むしね。

山口(産婦人科)山口(産婦人科) 2015/08/20 07:29 結局食事の問題も医療過誤と同じで、システムの改善を行わないと根本的解決にならないということですね。
我々も昼頃しか起きられなくて受診できない妊婦とか、叱って早く来いとか言いますけど、夫の帰宅が遅い事実をなんとかしないと解決しませんよね。

doramaodoramao 2015/08/20 17:59 >山口(産婦人科) さん
そうなんですよ、ほんと。ですけど、個人レベルで働きかけたり行動を変容させるのには方法が限られてますから、目先の対応ばかりになってしまうのはしょうがないんですけどね。
行政が似たようなことをやってちゃダメということで。