母乳への圧力

母乳育児や親へのプレッシャーなどについて考えたりしてます。今日は、厚生労働省が公表する『平成17年度乳幼児栄養調査結果の概要』を見て思ったことなどをデータを引用しながら書いてみます。
尚、データの解釈はどらねこが独断で行ったモノでありますので、まるまる信じてしまわないようにね。

調査の概要
1.調査の目的
この調査は、全国の乳幼児の栄養方法及び食事の状況等の実態を調査し、母乳育児の推進、乳幼児の食生活の改善のための基礎資料を得ることを目的とする。
2.調査の対象及び客体
調査の対象は、平成17 年国民生活基礎調査において設定された単位区内の世帯の世帯員で、平成17 年5 月31 日現在で4歳未満の子ども(平成13 年6 月1 日から平成17 年5 月31 日までに生まれた子ども)とした。
調査の客体は、平成17 年国民生活基礎調査において設定された単位区から、無作為抽出した2,000単位区内の4歳未満の子どものいる世帯(約3,000 世帯)で、その世帯員である4歳未満の子ども(約3,500 人)とした。
3.調査客体の概要
無作為抽出された2,000 単位区内の世帯のうち、調査協力が得られた世帯数は2,330 世帯、4歳未満の子どもは2,755 人であり、このうち年齢等の必須情報が得られなかった33 人を除外した2,722 人(2,305世帯)を解析対象とした。<略>
6.調査の方法
調査員が被調査世帯を訪問し、子どもの母親(もしくは、子どもに食事提供を行っている養育者)に調査票の記入を依頼し、後日調査員が回収する方式により実施した。
7.調査の系統
厚生労働省都道府県、政令市、特別区−保健所−調査員−被調査者

調査目的の1つは母乳育児の推進
人工栄養は子供に悪影響がある、母乳を与えると賢くなる、母乳を与えないとガンになりやすいとか謂うトンデモ言説で脅すことを母乳育児の推進と勘違いしている人もいるかも知れないが、もしそんな理由だけで無理矢理にでも母乳育児を実行し、完全母乳率が高くなったとしてもそれは別の問題を生んでしまうことが予測されます。
母乳育児の実行を妨げる要因は何か、そこら辺をキチンと理解し、環境を整えずに無理矢理進めてしまうことは大変危険である。その意味でもこのような調査は大変意義があると思います。
授乳について困ったこと

『特にない』
どらねこが着目したのは、特にないとした人の割合です。言葉をかえれば、母乳栄養実施者では授乳に困難を感じて居る人が約6割なのに対し、混合栄養、人工栄養群では8割の人が不安を感じている事になる。(人工栄養、混合栄養実施者は母乳栄養実施者の2倍不安を感じている人が多いと書くともっと多そうに見えるよね)
母乳栄養を実施出来ている人には困ったことが少ないから母乳栄養を実施できている人が少なからずいると言うことですね。信念で混合栄養や人工栄養を行いたいという人は少ないと思いますので、アンケートで答えにあがった困ったことを育児支援等でサポートできれば、母乳栄養に移行できる人がいるはずです。
また、困ったことが特に無いのに、混合栄養や人工栄養を実施している人に対しては、従来通りに母乳の有用性を根気よく語っていく事が大切になるでしょう。
『母乳が出ない』・『不足気味』
混合栄養・人工栄養の半数以上の人が困ったことに挙げております。母乳の有用性を認識しつつも、十分な分泌量を確保出来ないため、仕方なく人工栄養を利用している母親が少なからずいる事を示唆しております。この中にはいろいろな事例が含まれていると思いますが(次回言及する予定)、努力してもどうしてもでない人もいらっしゃる事が知られており、母乳教とも謂われるような過度な母乳指導は、母親に対するプレッシャーにもなりかねません。そういった面に対するフォローは十分すぎるほど気を遣いながら行われなければならないと考えております。
『赤ちゃんの体重の増えがよくない』
これは母親の主観で答えたものであり、実際は問題の無い範囲であるのかも知れませんが、体重の増えが良くないのに母乳に拘り続けるというのも赤ちゃんの為にならないかも知れません。柔軟に対応して欲しいところです。体重は他の重要な栄養素欠乏の指標にもなっているのです。
『授乳が苦痛』・『面倒、母親の仕事(勤務)で・・・』、『外出の際に・・・』
母親に対する周囲のサポート体制が整っているかどうか、ですね。現在は不況で、育児休暇を長くとれば仕事に戻れないのでは・・・とか、現金収入を確保するためには働かなければ、というような事も有るかも知れません。また、父親の育児サポートは欠かせないところです。授乳中に家事を進めておけば母親の心の余裕も保てるというモノです。勿論、育児熱心な父親に対し、企業もサポートして貰いたいところです。授乳しているところを温かく見守る夫がいれば、苦痛を感じる人の割合は減るかも知れませんモノね。

次回に続きます。(たぶん)