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2010-09-18

胃瘻栄養に思うこと

| 22:01 | 胃瘻栄養に思うことを含むブックマーク 胃瘻栄養に思うことのブックマークコメント

酔っぱらいの戯れ言ですが、日頃考えている事などを何となく書いてみようと思います。

施設入所が適用となるような高齢者を考えた場合、胃瘻チューブを挿入する手術を行う決断をするのってなかなかに難しい問題だと思います。状況は様々だけど、家族が選択を迫られる時って、大抵は本人が意思表示できない状況だからですね。なのでその選択は家族の意志に掛かっております。

■病院での胃瘻

要するに、ある家族は胃瘻栄養を望んだから手術を行う事も有り、またある家族は望まないから手術を行わない事もあるのですね。で、問題は家族の選択に社会的要因が加わることです。例えば、これ以上ウチの病院に入院を望むなら胃瘻造設を検討して貰わないとこまります、というような選択を迫る場面が特定の病院に於いて実際に生じていると謂う事です。そして、胃瘻造設術が行われ、数週間から数ヶ月の入院生活を送った後、老人ホームへの入所が薦められるという流れがあったりします。

そんな病院が胃瘻を薦める理由の一つに、介護力の不足という面と、長期入院を好ましく思わない風潮や療養病棟の縮小といった流れがあったりします。簡単(簡単すぎますが)に謂うと、マンパワー不足の病院が食事介助に時間をとられる状況の高齢者に適切なケアを行えない為、胃瘻栄養で確実に栄養補給をできるようにして、体力回復を促し入院の必要性を無くし、老人ホームへの道筋を・・・そんな流れにのせる為に胃瘻栄養を薦めるという事があるのが問題なわけです。家族としては断ったら在宅介護しかないと謂われれば、断ることは困難です。

■老人ホーム入所者

老人ホーム入所者では家族に対して胃瘻を望むか望まないか事前に希望を伺う事があります。なるべく家族の意向を尊重したいので。

その時、色々考える事があります。

本人の意思確認が難しい高齢者になると、本当に家族の意志で決まってしまうことが多いのです。良い悪いという話ではなくて、本人の命の長さが家族の選択に左右されるのですね。哀しい話ですが、本人の年金受給額が入所に関わる費用を大きく超えている場合などでは、家族が強く本人の延命を望む場合があります。逆に費用の捻出が難しい家族の場合でしたが、全く延命治療を望まないケースも実際に目にしました。

このような話を見聞きして悩むことは、胃瘻栄養を行う事で本人の生活の質が向上した事例を何件か目にしているからなんですね。胃瘻造設手術を行うと、一生チューブからの栄養投与のままになると考えている方が結構いらっしゃいます。実際に、手術後は口からの食事を行う事のないまま一生を終えてしまう方も多いのですが、中には、十分な栄養摂取を行う事で健康を取り戻し、口からの食事が出来るようになった方もおりますし、口からの食事は出来ないまでも、体力が回復し、ベッド上の生活から歩けるまでに回復された方もおります。

■命って何だろう?

可能性があるから・・・そういってしまえば、重大な選択が出来なくなってしまう事も有ると思います。それでもヒトに命にかかわる選択って難しいと思うんです。だって正解なんて無いのだから。

若い頃の元気に溢れた命は大切だけど、自由に歩き回れない、ベッド上の命は大切ではないの?

こんな問に対して、明確な返答を行う事はできますか?

生まれたばかりの赤ちゃんに価値があって、年寄りには価値がない・・・そんな事なんて無いと思うんです。

自分の命を大切に思えば思うほど、答えが遠く離れていってしまうんです。

ぶちゃねこぶちゃねこ 2010/09/19 10:26 老人主体の療養型病床に勤務しています。
エントリー、大変興味深く読ませていただきました。

病院での胃瘻に関し、少なくとも自分が体験した限りにおいては介護が大変なので胃瘻を勧めるといったことは見聞きしたことがありませんです。
経口摂取した際に誤嚥性肺炎を頻回に繰り返したために全身状態が悪化傾向にあるとか、もしくはその病棟で対応困難な全身管理が必要になる状況を反復しているような時などに考慮するかな、といったことがほとんどですね。
そしてご家族の了解を得た上であっても、まずは身体に穴を開けない(侵襲が少ない)経鼻栄養チューブを利用して身体状態の回復を試みることが多いです。
経鼻栄養チューブがあるために喀痰吸引がうまくいかないとか、気道感染を繰り返すような場合は、やはり胃瘻に切り替えざるを得ないかな、ということも多いのですが、ご家族に説明した上で様々な理由で(これが必ずしも本人の意思を尊重した理由かどうかはまた別だったりしますが)希望されないご家族の場合は、胃瘻を造設することはありません。あくまで自分のいる病床では、ですが。

末期的な状況で胃瘻や経管栄養になる、というイメージを持たれている方は多いのですが、実際にはエントリーのように経管栄養(経鼻であっても)を行って十分量の栄養がとれるようになると、全身状態がさまざまな点で改善することもかなり多いです。
活気が出てきて顔色が良くなり、よく動くようになったり、話しかけへの返答がはっきりするようになった、とか。
皮膚があちこち褥瘡を作ったり剥離していたのができにくくなったとか。
ご本人の状況を見たご家族が非常に喜ばれ面会の回数が増えたりであるとか、「管については悩んだけれど、やっぱり長生きをしてもらいたい」というコメントをされることもあったりします。
栄養だけではどうにもならない要因もありますので、ご家族の願いがすべて叶えられるものではありませんが・・・。

自分がそういう状況になったとしたら、どうだろう?
でも本人としてその時がやってきたら、やっぱり自分の意志だけではなくその時の自分を取り巻く状況にもよるかな、と思います。
あまり長生き願望があるわけではなく、とくにひとりだけで生きているのなら全く望みません。しかし自分の周りにいる家族が存在していたら、それも変わってくる可能性もあるかな、と思います。

doramaodoramao 2010/09/21 08:26 コメントありがとう御座います。
>介護が大変なので胃瘻を勧めるといったことは見聞きしたことがありませんです。
この話しが一般論であると誤解を招きかねない書き方であったかも知れません。今でも胃瘻造設が適切でなかったと考える患者家族さんがそのように病院で説明された・・・という話しです。他にも似たような事例を数件聞いておりますが、全てこの病院の話しでした。
私の周りでもこの病院以外ではそんな話しは聞いていないです。もしかすると少数の事例が全体の印象を悪くしている可能性もありますね。

悪い印象を持たれるような理由の一つに、胃瘻造設を行った後に、口腔ケアや嚥下リハビリ、座位の保持など本人の状態に併せたリハビリ等を行わない場合などでは機能低下が進んでしまう事もあるかな、と思います。これは胃瘻栄養だから、という問題ではないですよね。
コメントにも書いてくださったような、丁寧な説明が実際の医療の現場の多くで行われていることをもう少し多くの方に知っていただければ、とも思います。

えいりあんえいりあん 2010/09/22 23:03  またまた遅いコメントですみません。

 母が胃瘻造設しています。
 本人がゾンビ状態の時に、私と弟が決めました。

 脳梗塞で意識がほとんどない急性期の3週間と、回復期リハの3ヶ月は経鼻チューブでした。回復期リハの最後の2週間ほどでようやく意識レベルが上がってきて、そこでのST(言語聴覚士)さんは「リハを続ければ経口摂取可能かも」との意見でしたが、次に行った医療療養型病棟のST(言語聴覚士)さんからはひとくちも食べませんでした。嚥下機能検査もじっとしていなくて無理。(当時、要介護5ですが、特に麻痺はなく動けました。)
 チューブ自己抜去しまくり。再挿入に抵抗しまくり。
 「すぐに胃瘻にしてください」と。
 ワーファリン服用だったので、チューブの抜去や挿入時の出血リスクも考え、胃瘻造設を選択しました。

 その後、その療養型病院に見切りをつけ、500kmを空輸して、拙宅近くの有料老人ホームへ移しました。
 実は肉体的な嚥下機能に障害はなく、食欲中枢が壊れたため、食べることを忘れている状態でした。

 胃瘻の要介護者に経口摂取させることを恐れるホームスタッフとのバトル2年半。
 最近は、おやつや少量の惣菜を口から食べています。(歯がないのでペースト食ですが・・・歯医者さんによる入れ歯なんて、絶対拒否なので)好物のあんこやコーヒーゼリーなどであれば、食のスイッチが入る/パーティーなど周囲の雰囲気に促されれば食べることを思い出す/・・・等々のエピソードを経て、ホームに誓約書を差し入れて人体実験をして見せて、スタッフのみなさんの理解と協力を得てここまで来ました。今、胃瘻造設からほぼ4年です。
 それでも経口摂取分は必要カロリーの20%くらいで、100%経口になることはないでしょうが。

 今はたまたま体調を崩していて食欲がなくなっているのですが、そういう時は胃瘻は本当にありがたいと思います。水分も薬も、問題なく入れられますから。(母は糖尿病のため血管がぼろぼろで、点滴ルートを確保するのも大変なのです。1週間も入院すると、使える血管がなくなります。胃腸炎など胃瘻が使えない病気が長引いたら、もうIVHしかないと言われています。)

 人間食べられなくなったらおしまい、とか、チューブで栄養を流し込むなんて虐待だ、とか、家族が勝手に胃瘻造設を決めるのは死から目をそらしたい家族の自己満足だ、とかいった議論はさんざん聞きました。
 母の胃瘻とつきあって4年、その間、上に書いたような母の変化を見てきた私としては、ただ
「この現場を見ろ」
と思うだけです。

えいりあんえいりあん 2010/09/22 23:07 訂正:
歯医者さんによる入れ歯 → 歯医者さんによる入れ歯調整

#原稿を2分割してコピー&ペーストした時に、抜けました。すみません。

doramaodoramao 2010/09/23 08:50 貴重な経験を紹介して下さり有り難うございます。
社会保障費、医療費などの観点で色々と採り上げられる事が多くなってきたように思います。
医療費高騰の一因に、医療の高度化があると思いますが、これは延命治療の成績が良くなったことと、医療の発展による高額な機械や治療薬を多くの施設で一般に提供されるようになった事が影響していると思います。
開発されていない治療法は誰も受けることが出来ませんので、その時点ではあきらめてしまわなければならない命が、新しい治療法が確立された後であれば、助けることも可能となります。
この助けることの出来る命は助けたい、長生きして貰いたい、こうした願いが医療を発展させ、現在私たちは素晴らしい医療などを享受出来ているのだと思います。それが、皆の願いだからここまで発展したのだとも思います。
無理な医療費削減はその流れに反する危険な考え方、生命軽視にも繋がりかねないものではないか・・・と心配になったりします。
新聞などの大手メディアなどで、胃瘻栄養など延命治療全体に疑問を投げかけるような見出しの記事を見つける度にそう思ってしまうのです。
・・・返信コメントがずれてしまったかもですが、問題点は色々有るけれど、『生命』というものにもう少し向き合って欲しいなぁなんて思ったりするのですね。
胃瘻造設することで、在宅生活が楽になり、家族で暮らせるようになったという話もあります。
丁寧な(多くの病院でそうだと思いますが)病院では、家族に長い時間をかけ必要性を説明し、同意のサインを貰ってから手術を行うと思います。
良い事例だけ採り上げて素晴らしさを訴える論調も勿論問題はありますが、悪い事例だけを殊更採り上げ、真剣に命に向き合う方々に辛い思いをさせるような事を書かないで・・・そう思います。
コメント有り難うございました。

えいりあんえいりあん 2010/09/23 09:19  自分のコメントを読み直してみると、母はまるで少し食べられるようになっただけで相変わらずゾンビかとも思えますね。

 有料老人ホームに入居して3年半たった今では、よしもとのテレビ番組に涙を流して笑い、風船バレーの達人で(若い頃バレーボールの選手でセッターだった)、失語症からは未だ回復途上にあって日々言葉が増えています♪

 胃瘻造設は、経鼻チューブによる栄養摂取ケアも嚥下リハビリもちゃんとできなかった療養型病院に迫られ、実質的に他に選択肢がない状況で行なったものでしたが、もし胃瘻にしていなければ母は餓死していたでしょう。(人員豊富な回復期リハビリ病院にあと1〜2ヶ月入院できていれば状況は違っただろうと思うのですが・・・、リハビリ日数制限制定の波をもろにかぶりました。)

doramaodoramao 2010/09/24 12:58 表情が良くなるのは見ていて嬉しいですよね。
このような状態にある人が切り捨てられない世の中を・・・と思うのですが、問題は山積みですね。

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