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とらねこ日誌

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2013-10-09

ニセ科学を検証する一冊「謎解き 超科学」が発売されます

| 20:22 | ニセ科学を検証する一冊「謎解き 超科学」が発売されます - とらねこ日誌 を含むブックマーク ニセ科学を検証する一冊「謎解き 超科学」が発売されます - とらねこ日誌 のブックマークコメント

彩図社から、『謎解き 超科学』という本が10月25日頃発売されます。

価格は1400円+税で、全国書店及び一部コンビニエンスストアでも販売されます。

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こちらの表紙を目印に、見かけたら是非手にとってやって下さい。


■どうしてどらが宣伝?

ニセ科学問題を憂うから、みたいな立派な心がけではなくて、今回取り扱う31項目の超科学(本に於けるニセ科学の表現)のウチ4項目の執筆をどらねこに担当させてくださいましたので、渾身のチカラを込めて(込めたから内容の良さを保証するモノでは無いが)書かせて頂きました。

内容はこのブログの愛読者の方にはおなじみのものですが、過去記事の焼き直しなどではなく、新たに調査しなおし、背景なども存じ上げない方を想定したものとしたつもりです。ニセ科学は社会のリソースを奪うだけでなく、社会的弱者を食い物にするものも存在します。そうしたものが実態を認識されないまま広がってしまう事を放置するのは望ましくないと考え、少しでも拡散を防ぐ切っ掛けとなればと願いながら仕上げました。自分が関係したと謂う事を差し引いてもどらねこがこの本を薦めたくなる理由は、今まで書籍等で採り上げられる事がほとんど無かったニセ科学にもスポットライトが当てられていることです。生活に密着するあのお話しが実は科学的には妥当なモノでは無かった、という驚きの気持ちで本書を読んでくださる方もいるんじゃないかと思います。

一度信用してしまえば疑う事が難しくなるものです。ワクチンのように予防できる一冊として、多くの方が手にとって頂ければなあと思います。読んで納得頂けたら、周囲の方にもオススメ頂ければ幸いです。


■どんな内容?

さて、気になる内容ですが、次のようなラインナップです。どらねこ担当項目を図々しくも赤字で紹介させて頂きました。

第1章 日常に潜む 超科学の真相

電磁波健康被害を引き起こす!?【浴び続けるとガンになる恐怖の波長】 14

サブリミナル効果は存在するか?【潜在意識に訴え、相手を意のままに操る】 20

牛乳を飲むと不健康になる?【ベストセラー本に書かれた衝撃の事実】 27

「磁気がコリをほぐす」は本当か?【磁気治療器は効果があるのか?】 34

ゲルマニウムで治癒力が上がる?【身につけるだけで効果が期待できる?】 41

デトックスで毒素を排出できる?【フットバスや足裏樹液シートで体内洗浄】 47

水からの伝言」の不思議【ありがとうの言葉が水の結晶を美しくする】 53

マイナスイオン」とはなにか?【浴びるだけで効果がある大気イオン】 58


第2章 自然界に潜む 超科学の真相

万能細菌「EM菌」とは?【あらゆる分野に効果がある奇跡の細菌】 68

ポールシフトは起きるか?【かつて地球を襲った大異変ふたたび?】 74

フリーエネルギーは実現するか?【エネルギー問題はこれで解決?】 83

隕石落下はどれぐらい危険か?【ロシアを襲った脅威はまたくる?】 96

百匹目の猿現象は本当か?【ある群れの行動が他の群れへと伝播する?】 106

動物の地震予知はあてになるか?【動物の行動から地震が予測できる?】 111

キルリアン写真はオーラを写す?【生命のオーラをとらえた奇跡の写真】 119

相対性理論は間違っている?【物理学界を揺るがす大スクープ】 124

「ID論」とはなにか?【アメリカの科学者たちが提唱する新しい科学】 134


第3章 人体にまつわる 超科学の真相

血液型性格判断は信用できるか?【人間の性格は血液型で決まる?】 144

ゲーム脳の恐怖』の真実【ゲームをやりすぎるとゲーム脳になる?】 155

逆行催眠でよみがえる記憶【潜在意識から記憶を取り出すテクニック】 166

母乳神話の真相【乳幼児の食事で母乳にまさるものはない】 176

千島学説は信用できるか?【ガン細胞は汚れた血液から生まれる?】 185

死者の網膜写真【網膜に残された死者の記憶】 195

人間は真空中で破裂する?【世間にまかり通る科学の俗説?】 201


第4章 美容と健康にまつわる 超科学の真相

サプリメントの効能と効果の錯覚【効果の裏側には大きな錯覚が存在した】 210

健康食品の広告トリック【広告に張り巡らされた巧妙な罠】 218

ホメオパシーで病気は治るか?【日本でも静かに広がる“代替療法”】 225

マクロビオティックの真実【現代病を退ける奇跡の食事療法】 238

酵素栄養学の誤解【酵素が健康で病気知らずの体を作る】 249

「オーリングテスト」とはなにか?【筋肉の反応でなんでもわかる診断法】 257

手かざし療法の危険性【手をかざすだけで病気が消失する】 268


実はどらねこも、自分の項目以外はまだ読んでいなかったりします。一読者として発売が楽しみでなりません。

passerbypasserby 2013/10/10 10:14 存じ上げない方→ご存じない方 (存じ上げる、は謙譲語)

doramaodoramao 2013/10/10 10:47 ごしてきありがとうございます。

fgqr225fgqr225 2013/10/10 15:24 あのー、磁気療法はニセ科学ではないのですが。きわめて高い有効性があり、他はニセ科学であることを同意できますが、磁気療法についてはできません。有効性を認めない現代医学が間違っているのです。

tukiroutukirou 2013/10/10 17:47 出版おめでとうございます。
内容も装丁も興味をひく本ですね。
疑似科学には興味があるので、ぜひ手に取ってみようと思います。

便乗して、こちらの記事に対して言及させていただきました。何か問題ありましたらご指摘ください。それでは。

doramaodoramao 2013/10/10 19:50 >tukirouさん
有り難うございます。
個人的には科学は有用なツールと思ってまして、再現性により信頼されており、このツールで検証しましたというのが信頼のマークとして通用するというイメージでしょうか。
そこに、「科学」という名前若しくはイメージを持たせた、その中身は「ボクの考えた科学」という他の人のルールとは違う独自ルールで調べた(調べてもいない)商品が並んでいたらそれはどうなのかしら?
そんな感じでしょうか。
だからどうだととかそんなたいそうな話ではないですけれど。

ゼットゼット 2013/10/11 05:54 神経質で小心でストレスを溜めこみがち
実は自信家なのに実社会(対人関係)ではうまくやれないから
それを隠し、他人からの攻撃を極端に避けるために言いたいことを言わない、相手のためじゃなくて自分のために。

自分の能力を活用しての成功に挑戦したりする勇気と根性が足りなく、その代り
誰かと対決する心配が無い土俵で「専門家」の体で、反撃される心配の無いターゲットを見つけて勝つことが決まってる時代劇のように身に着けてきた知識を振り回して、動かない的をボコボコに殴りつける「社会に役に立ってる」と思いながら。
あなたは、それで、結構なお年になる今まで無難、堅実、生活の安定に逃げ込んでチャレンジしてこなかった自分への自慰行為と催眠を行っているわけです。

肩書で信用を得るからには実名でないと責任の担保が無いので、素人ですと言って書いてるより読者に不親切でありニセ科学的手法ですが、そんなことはわかっててやってるでしょうからそれはいいとして

そのコンプレックスと思い切りの無さが文章ににじみ出てしまってるのは致命的です。どんなに正しくて論理的でも残念ながら醜悪なんです。太宰治を出来損ないにした感じです。周りに苦言を呈してくれる人はいないんですか?
長い人生でリングの上に立ったことが一度も無いのが伝わってしまいます。リングサイドで周りに聞こえないように小声でブツブツ批判してたことしかないんでしょう。
ただ、それも見ず知らずの他人に読ませる上ではの問題ですけど。

自慢できる経歴や恋人もない、リアルで上手くやるのを自分から諦めたような人たちが大した縁も無くネットでお互いの「俳句」を褒め合うのはそれなりにニーズがあるので、そこの層には響くでしょう。似た者同士ですから。

大通りで(誰もあなたなど見ていないのに)周りの目にビクつきながら裏庭で人形を袈裟切りにしてる、あなたのしてきたことはただそれだけのことなのでそこに本物の自尊心を見出したり、本当に(イイネ返しを狙ってない普通の)人から敬意を受けることはあり得ません。
ゼロ円ならいいですが、人から対価を受けて文章を書く資質がありません。毒にも薬にもならないよう、ならないよう、やっているようでは。
資質は実社会以外では身に付きませんよ。こんなところで褒めあっても。

fgqr225fgqr225 2013/10/12 12:03 ニセ科学批判は科学を進歩させることに役立ちませんよ。ニセ科学とされているもの中から未科学を選別し、真正科学として確立することによって、正しいと思われていたが実は間違っている正統科学を打破することができ、そこでニセ科学論争は終結する。磁気療法は、現代医学をはるかに上回る効果があり、真正科学になり得るものであるからコメントしたのです。虚実を嗅ぎ分けることができずに、疑似科学批判の快感に浸ってはいけません。

ういろうういろう 2013/10/14 13:23 「こんな所で褒めあっている」という表現が事実に合っているかどうかは別として、《ブログとそのコメントで相互に相手を評価している》事と、《実社会のリングに立っていない》という事は、ぜんぜん別の次元の事なんですけどねえ。
《お金を貰ってモノを書く資質が云々》に至っては、それこそ大きなお世話で、「おカネを払う価値が無い」と思ったヒトはおカネを使わなければ良いだけの話です。そう思っているヒトのフトコロにまで手を突っ込んで、おカネを巻き上げるわけでは無いのですから。
「お金を払う価値が有る」と思う人たちが、(少なくとも採算が取れる程度には)居ると判断されたから、出版が決まったのだし、《お金を貰ってモノを書く資質》がある人だと出版社が判断したから執筆依頼があったのでしょう。
大げさにいえば、それが資本主義下の市場経済システムで、自分が納めた税金の中から、支持してもいない政治団体に、強制的におカネを払わされるシステムよりは、よほど健全というものです。

ゼットゼット 2013/10/20 04:44 そうやって暇な時間にネットで知り合っただけの間で馴れ合い擁護とかしてるから駄目なんだって。

小学生の喧嘩みたいに頼まれても無いのに他人のブログやツイッターに首突っ込んで刀振り回してヒーローぶりたい自分を客観的に見れてない深夜アニメオタクですな。

自分のこと言われてるみたいでイラついたんだったら、雑音が気にならなくなるまで名古屋で自分の仕事の実績つめば?お金とってるんでしょ?

ああいう企画本の売り上げの趨勢は100%編集者の企画力で決まるから、記事の内容やディテールや論証なんてどうでもよくて著者は素人でいいから安く書いてくれる駒を選ぶのがセオリー。そこで抑えた経費は自分が使えるし。

金をとれる資質がいらないわけ。大した評価も受けられずに功名心が燻ってる中年とか適役だからよく選ばれる。自費出版ビジネスと似たようなもん。もっとも大したことしてないからその評価なわけだけど。

ういろうういろう 2013/10/20 21:59 出版の企画と執筆依頼の背景についての御高説は、それはそれとして承っておきます。私の理解に対して、「そういうモンじゃない」というのなら、そのことだけをご指摘いただければいいわけで、私が自分なりの見解をコメントすることそれ自体にまで「そんなことしてるからダメなんだ」と言われる筋合いはありません(ブログの管理者から「コメントしないでくれ」と求められるなら仕方ありませんが)。
ういろうが「頼まれてもいないのに」「擁護する」コメントをするのはケシカランが、自分がブログ主をクサすのは問題ないというのは、見事なダブルスタンダードでありますな。

ゼットゼット 2013/10/28 07:45 あ〜やっちゃんてんなー
ブログ主が早くスルーしたがってんのに、引き留めて絡んでくるとかw 
気持ち悪い擁護ですらなくて、出来るだけ辛辣なこと書いてこの野郎を叩きのめしたいっていう、あんたの個人的な欲望だけじゃん。
そういう濁った動機が根本にあるから、最初から駄目なんだって。
普通、腹立ってもお友達の利益考えて抑えるでしょう。あんたの怒りなんて、ブログ主助ける目的に何の関係も無いじゃん。

活躍の場欲しさにこんな調子で何十回とネットで知らない人に絡んでんだろうけどさー勝ったつもりで相手にされてないだけだよー相手からしたら、え?誰こいつ。。。だもん。
自分がヒマだと相手もヒマがあると思っちゃうんだろうけどさ。
絡むのがネットの仲良しさんだけに抑えきれないなら、頑張って包容力ある旦那でも見つけたらいいよーネットでの活躍なんてどーでもよくなるから。

2013-09-23

「白砂糖は危険な魔薬?」トンデモ食育の罠

| 17:06 | 「白砂糖は危険な魔薬?」トンデモ食育の罠 - とらねこ日誌 を含むブックマーク 「白砂糖は危険な魔薬?」トンデモ食育の罠 - とらねこ日誌 のブックマークコメント

(この記事は2008年11月に今は無き旧ブログどらねこ日誌に掲載したものを元に新規に書き起こしたものです)


■砂糖の食べ過ぎやめさせたいけど

砂糖は甘くて美味しいですよね。ですけれど、食べたあとに口をゆすがなかったり、そればっかり食べれば虫歯になる危険性が高くなりそうです。また、砂糖を食べた後の満足感から食事を控えてしまえば、身体を成長させるための栄養素が十分にとれなくなってしまう可能性もある事でしょう。

何事もほどほどに・・・なのですが、美味しいがゆえについつい手が伸びてしまうわけで、子供の健康を心配する親御さんとしてはビシッと明確な理由で子供の砂糖摂取を止めたいと思うのはごく当たり前な心情なんじゃないかなと、どらねこは思います。そうしたニーズのせいか、砂糖については危険性を過剰に煽る系の言説が未だに教育現場や子育てママさんの間に出回っている現状があります。

学校で行われる食育にも、砂糖の危険性を訴える授業案が存在します。


TOSSランド「砂糖は体も心もぼろぼろにする」

http://www.tos-land.net/teaching_plan/contents/7706#


授業案「砂糖は体も心もぼろぼろにする」より

イギリスに、「マイケル」という小学生がいました。この子は、すぐに喧嘩をする子でした。兄弟や学校の友達をつねったりひっかいたりなぐったりしていました。勉強や遊び等を集中してできず、落ち着かず手が震えていました。いつもイライラして怒りっぽく、 自分の爪をよくかんでいたそうです。お母さんが心配してお医者さんに相談しました。お医者さんは、その子が毎日食べているものを調べました。すると、毎日、アイスクリーム、ケーキ、チョコレート、お菓子、甘い飲み物をご飯代わりに食べていました。お医者さんは、お母さんと相談して「甘いもの」を全く食べさせないようにしました。数週間すると、マイケルは前とは全くちがった、穏やかな「よい子」になったそうです。

関連エントリ→http://d.hatena.ne.jp/doramao/20121212/1355308178

子供を怖がらせることで食べ過ぎの歯止めになるかも知れませんが、教育の現場で栄養学的に根拠のないデタラメを教えるというのは問題があると思いますし、不必要な不安を煽り、おやつの時間を楽しめなくさせてしまうというのもどうかと思います。

今回の記事はこうした主張の中でも極端な事例を紹介し、砂糖有害論のオカシサを伝えてみたいと思います。


■真弓先生の食育冊子

一時期はてな界隈で話題になった、美健ガイド社刊の真弓先生監修食育漫画シリーズの『白砂糖は魔薬!?』引用*1しながら砂糖有害論を見ていきたいと思います。

最近イライラ気味の主人公「仁くん」カッとなって友達に暴力を振るおうとして自爆してしまいます。ママは病院に行ったら?というのですが、そんなママのほっぺも虫歯で腫れております。ケガを心配して訪問してくれた担任の先生も最近太り気味でニキビが気になるそうで、忘れ物を届けに来てくれたクラスメイトもカゼをひいてばかりだそうです。

みんなの不調の原因はいったい何? そんな時は真弓先生に相談だ!と、みんなで「真弓小児科医院」に向かいます。


p11より

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「それは白砂糖の摂り過ぎだ!」


皆の不調の原因を一目で看破してしまいます。


p14より

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砂糖は太るだけじゃ無くて様々な病気の原因になるんだよ、と真弓先生。こんな病気もそうなんだ〜と皆びっくりです。


そうした問題点はちゃんとデータにも現れているのだと砂糖の害が一目瞭然なグラフを示す真弓先生。


p16より

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やっぱり砂糖摂取量が増えると生活習慣病で死んでしまう人は増えるのかしら・・・

と、心配してしまう前に、こうしたデータの切り取り方は特定の食べものや習慣を悪者にするようなお話しの中で使われる典型的な方法なので、こうしたデータが出てきた時にどういうところをみたら良いのかマスターしておくと良いでしょう。

一つ一つの統計そのものはおかしくなくても、関係ないデータを2つ並べたり、都合の悪い部分を切り取って貼り付けたりと、統計だから正しいだろうと考えてしまいがちな心理を利用して両者に関係があると思わせてしまうテクニックがあるのです。

この元データでいうところの生活習慣病が示す範囲は不明ですが、「悪性新生物」、「脳血管疾患」、「心臓病」を生活習慣病の死因に含めていると考えます。これらはつい数年前まで日本人の3大死因となっておりましたが、特に悪性新生物については寿命が長くなるほど、死因に占める割合が大きくなります。また、生活習慣病自体、若い人ほどその割合は少ないわけですから、人口の高齢化が起こればそれに伴い増加するのは当たり前の事です。

こうした人口構成の違いによる影響を除外するために、「年齢調整死亡率で見る」という事が行われます。逆を謂うと、こうしたグラフを示すときに年齢調整死亡率で見るグラフを持ってこない時点で「誠実でない可能性が高い」と考えてしまって良いかも知れません。


平成7年 都道府県別にみた死亡の状況 図7年齢調整死亡率(三大死因)の年次推移より

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真弓先生の示したグラフで見られる昭和35年頃からの急激な上昇は、年齢調整したグラフでは見ることができませんね。つまり、砂糖摂取量と死亡率にはどうやら関係はなさそうだ、ということがわかります。

さらに、マンガで右側に示したグラフを見ると、一年間の砂糖摂取量が数百キログラム単位になっている事に気がつきます。g単位では少なすぎますし、kg単位では毎日1kgほど食べていることになりどちらにしてもオカシイですね。もう一つおまけに、2006年発行のマンガで引用されてるデータが昭和58年のものというのもちょっと古すぎますね。

このように色々とヒントがありますので、わぁ〜こわ〜いとすぐに納得してしまう前に、ちょっとびっくりするような主張については批判的に検討するクセを持っても良いと思います。


■砂糖の陰謀?

真弓先生の教えに従い、白砂糖は敵だ!もう食べないと誓った仁くん一行。そこにスイーツの魔の手が忍び寄ります。


p20より

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次々とせまりくる巧妙なワナに、さっきの誓いはどこへやらママをはじめ全員が謎の美女集団(笑)スイーツの前に屈してしまいます。

砂糖を食べたことにより仁くん達は体調を崩し、真弓先生の元に駆け込みます。


p26より

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さて、「スイーツ」の陰謀というのはともかく、砂糖販売を促進する団体が行う、砂糖の良さをアピールする冊子*2には行きすぎた宣伝が見られるのは確かです。「脳のエネルギー源はブドウ糖だけで、効率よく摂取できる砂糖を食べてアタマが働く」*3みたいな事を宣伝していては逆に信用を失いかねないと思います。厭くまで砂糖は嗜好品なのですから、健康に良いみたいな事を謳うのはどらねこは望ましくないと思います。

この冊子に登場する「スイーツ」はおそらくそれら団体のパロディで、だからこそ変に信憑性を与えているように思います。


つづいて砂糖の恐ろしさは、?潜在性 ?習慣性 ?増量性 にあると述べる真弓先生。そして飛び出す決めぜりふ!

p28より

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p29より

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なんと砂糖は化学方程式で現すことのできる薬品なのだそうだ

いや、食べものだって・・・としか謂いようがありませんが、試薬瓶を持ち出されてしまうと説得されてしまうのかも(そうか?)しれません。

というか、化学方程式ってなんぞ? 化学式ならまだわかりますが・・・というツッコミも無駄になるぐらい変なところがこの絵には存在します。

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この化学方程式(?)の計算結果(?)はC12H24O10となると思うのですが、砂糖(ショ糖)の構造はブドウ糖と果糖が2つくっついたもので、両者ともC6H12O6と同じ化学式であり、これが脱水縮合という形で結びついて、この2つの合計から水のH2Oが抜けた形になるのですね。

つまり、C12H22O11がショ糖であり、真弓先生が持っている試薬は砂糖ではない別ものという事になります。

もしかしたら本当に恐ろしい魔薬である可能性*4は否定できません。だから、仁くん達は具合が悪くなってしまったのかも知れません*5

架空の物質を持ち出して危険性云々というのはいただけませんね。


■本当のところはどうなの?

本性を現したスイーツ達は真弓先生と仁くんたちを分断し、全員砂糖漬けにされてしまいます。スイーツ達が語る恐ろしい砂糖のヒミツとは?

p49、51より

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危ういところで真弓先生に助けられた仁くんたち、これからはもう砂糖は食べないでごはんをよく噛むから大丈夫。これからはおにぎりがおやつだよ、めでたしめでたし・・・なの?

ここに挙げられているような有害性は、食品(食品成分)の1つとしての砂糖を日常口にする程度で現れるとはとても考えられないものです。これらについて、考察した記事がありますので、興味のある方は参照して下さい。


砂糖についてちょこっと語ってみた

http://d.hatena.ne.jp/doramao/20120608/1339122588


とはいえ、こうして詳しい解説を見なくても落ち着いて考えればオカシサに気がつくことは可能ではあります。

砂糖は何からできているといえば、ブドウ糖と果糖であり、真弓先生が推奨するような、黒砂糖やはちみつの主成分もほとんど同じです。少しだけ別の物質が含まれているから性質がまるっきり変わってしまうというのなら、砂糖を料理やお菓子に入れるのは全く問題ないと謂う事になります。そうならないで、砂糖自体がどんな使い方をしていてもダメというのは信憑性の乏しい話と判断することも可能でしょう。こうした判断を妨げてしまうようなインパクトを如何に相手に与えるのか、これが長けているからこそ、このようなトンデモがある程度広がってしまうのかも知れません。なので、簡単な話ではありません。

不安を煽る典型的なヤリ口というのを学ぶ機会をもう少し用意した方が良いのではないかと思います。

もし機会があれば、トンデモ食育マンガで学ぶ、健康不安商法の手口、みたいなカフェをやってみたいですね。モフモフっ!!

*1:真弓定夫監修 白砂糖は魔薬!? 美健ガイド社

*2:こういうのhttp://www.sugar.or.jp/book/

*3:脳のエネルギー源は基本的にはグルコースであるが、不足する場合には脂肪酸からつくられるケトン体も利用できる。また、脳による情報処理に糖質が必要とされるのは当然だが、それが砂糖である必要はなく、消化吸収の良いデンプンであってもよい

*4:実際のところ、よく性質が知られた物質でこの化学式のものはなさそうです

*5:勿論冗談だが

abdallahabdallah 2013/09/24 07:51 ,,((( アッラーのほかに神はなく、ムハンマドはアッラーの使者である)))


(私はアッラーのほかに崇拝に値するものがないことを証言します。)

( そして私はムハンマドがアッラーの使者であることを証言します)

イスラムの紹介

http://alslamjp.blogspot.com

Doraneko1986Doraneko1986 2013/09/24 09:53 初めましてこんにちわ。初めてコメントさせてもらいます。
へぇ〜、そうなんだ。砂糖の取り過ぎって身体に悪いんですね。
でも、今は砂糖より合成甘味料の方が医学的には危険だって証明されてるのにすごい漫画ですねw
ところでこのブログのタイトル、驚きました。
以前は「どらねこ日誌」だったんですね。わしは今、一字違いで「ドラねこ日記」を書いています。パクったわけではないんですけど、同じようなタイトルになってしまってすいませんm(_ _)m
もしよろしければ一度覗いてみて下さい(*´∀`)

マナスルマナスル 2013/09/24 16:35 「砂糖摂取量と死亡率にはどうやら関係はなさそうだ」

これは上記の分析からは帰結できないんじゃないですかね。
砂糖摂取量と死亡率の関係を示す上記グラフは無効であるっていうことが言えるだけであって。

doramaodoramao 2013/09/24 18:21 >Doraneko1986さん
いえいえ、とんでもありません。
素敵な旅行写真が盛りだくさんですね。

doramaodoramao 2013/09/24 18:25 >マナスルさん
はい、そう思います。帰結できないと思います。
元主張の述べるような関係はないという意味で用いておりますが、そうした誤解を招きかねない表現ではありますね。

mimonmimon 2013/09/27 23:20 あまり知られていませんが、実は砂糖を摂ると、体内でフルクトースという、怖い「化学物質」になるんです。

doramaodoramao 2013/09/29 19:03 その片割れのブドウ糖は体内で利用されるために、これまたオソロシイ名前の化学物質、焦性ブドウ酸になることもあまり知られておりません。まさに陰謀です。

スクロース/DHMO溶液スクロース/DHMO溶液 2014/03/12 02:19 スクロースの赤字の部分が最後11じゃなくて10になってまする

doramaodoramao 2014/03/12 13:27 謎の物質を展開するとこうなるという赤字部分なのでスクロースでは無いためです。

はなはなそうるはなはなそうる 2014/03/14 21:04 つい4日前に砂糖は麻薬と言われました。どうやら某健康食品を勧める時にツカウようです。その場の空気、洗脳されてましたね…(笑)食育については善行とされるので反すると人でなしのような扱い受けました。でもその健康食品の成分自雑草レベル(笑)ちょっと調べればわかることなのになぜ疑問を抱かないのか…とても参考になりました。ありがとうございました!

青い猫青い猫 2014/03/22 02:14 なんでも過剰摂取すれば毒だし、少量なら問題無いですよね。砂糖依存症でイライラするのは、医者があまり気に留めない低血糖(血糖値の乱高下)の症状の一つであるとは思います。
教育マンガはヒステリックでつまらないのが特徴で、その馬鹿さ加減がむしろ面白い。

カイカイ 2014/04/15 04:04 とりすぎな程はとってないのに、ほとんどの症状が当てはまるので、恐らく関係してますね。自分は偶然に某動画サイトで知りましたがまた参考になりました!

oioioioi 2016/05/08 12:47 こういう怪しげな医師の監修本を見かけるといつも思う。
医師免許は1年毎の更新制にすべきだよねー。

nanashinanashi 2017/05/14 15:48 半年に一度でもいいくらいでは?

2013-09-02

「ニワトリって錬金術師なの?」とある医師の元素転換

| 20:31 | 「ニワトリって錬金術師なの?」とある医師の元素転換 - とらねこ日誌 を含むブックマーク 「ニワトリって錬金術師なの?」とある医師の元素転換 - とらねこ日誌 のブックマークコメント

布施純郎さんという医師の方がツイッターで発言した内容が最近よくTLに流れてくる。

天然のビタミンCと合成のアスコルビン酸は全く別であるとか、グルタミン酸ナトリウムは甘みを呈する物質であるなど色々と興味深い内容の発言が多い。

■微生物で元素転換?

最近は、微生物による放射能除洗関連で元素転換がおこると述べたところ*1、について、そんな事は起こらないとの反論があり、原素転換*2が起こることについて徐々に認められつつある*3と、再反論を行っている。

その論拠として示した例が、どらねこにとってとても馴染みのあったもので、思わず「ギョッ」としてしまったのだった。


https://twitter.com/Drponchi/status/374478191110262784より

@tasketss こういう実験が明らかになりつつあります。「ニワトリにカルシウムを全く与えないと、殻のない卵を産むようになったが、カルシウムは遮断したままカリウムを与えると、カルシウムの殻に包まれた卵を産むようになった。ニワトリの体内で原子核融合が行われている。」

■無双原理

この「」で囲まれた部分は、どらねこが再三にわたり批判してきたマクロビオティックをうみだした桜沢如一氏の著作に酷似したエピソードを見ることができる。

桜沢如一著 無双原理・易 p198より

その実例(一)カルシューム不足のため、カラのない卵しか生まなくなり、ノイローゼになったニワトリに、雲母を少し与えるとニワトリは生まれて初めてお目にかかつた雲母をまたたく間にたべつくし、二十四時間後には立派に固い殻のある卵を生む。ニワトリの血液が原子転換能力をもつている証拠である。雲母の主成分たるKやCaに転換したのである。

これは桜沢氏が世紀の大発見として非常にプッシュしたルイ・ケルブラン氏の生体内元素転換エピソードの一つであるが、ケルブラン氏の業績を日本語に翻訳したのもまた桜沢氏である。

彼の主張が本当であれば、エネルギー問題や資源の問題など全て解決する物理学の根底を揺るがす大発見であるが、その報告から数十年経った今でも、まともに再現された事もなく、一部界隈で散発的に話題になるぐらいである。しかしながら、「明らかになりつつある」*4としつつも数十年ぐらい前に既出の例を持ち出してくると謂うのも少し寂しい話ではある。

これについては、拙エントリトンデモ化学方程式の謎で言及しているので興味のある方は参考にして欲しい。

一般論ではあるが、常識をぶち壊すような驚くべき発言については、発言者にソースを求める事が大事であるし、そのソースが何処から持ちだされたものかも吟味する必要があるだろう。もし、それが十分に検証できないような場合には、常識と外れているものほどそのまま信用せずに判断を保留*5することが大事になるとどらねこは思うのです。

これも一般論だが商売の鉄則は、早く早くと急かせたりするところにあるのだから・・・

*1https://twitter.com/Drponchi/status/374465194946097153

*2:元素か原子と思うが氏のツイートではこう表記

*3:こちら参照https://twitter.com/Drponchi/status/374477426971000833

*4:ソースは船瀬さんだから、自分が確認したわけでは無いと述べるかも知れないが

*5:例えば、誰かからきいたエピソードとして、それが誤りであると指摘された場合、自分の発言じゃないからと述べるのは自由であるが、誤りである事が分かったのなら、そうした誤りが多い人の発言を信用しなくなる若しくは周囲に広めなくなると謂うのが誠実な態度と謂えるでしょう。そうした慎重さは情報の発信受信者双方に求められるものなのですね

mimonmimon 2013/09/02 22:15 カリウムがカルシウムになるのは、さほど珍しいことではありません。
ただし、元のカリウムが放射性40Kの場合で、大半がβ-崩壊を起こして40Caになるという意味です。
半減期は12億年ほどだそうです。

doramaodoramao 2013/09/03 20:42 崩壊せぬなら崩壊するまで待とうニワトリ・・・
長いきなことですね。

2013-07-19

マクロビ授業案

| 14:37 | マクロビ授業案 - とらねこ日誌 を含むブックマーク マクロビ授業案 - とらねこ日誌 のブックマークコメント

別の案件でTOSSランドの授業案を検索していたのですが、マクロビオティックを題材とした授業案を見つけてしまいました・・・

マクロビオティックの食事は子供に推奨できるものではありませんし、牛乳を忌避する教えなど学校給食の理念と合致しないものを授業で教えるという事自体に問題があると考えられます。

「食のバランス」http://www.tos-land.net/teaching_plan/contents/1400


コンテンツ概要より

マクロビオティックは,石塚左玄が提唱していたものと一致している。食べ物のバランスが歯の数と関係していることを教え,食事の大切さ気づかせる。

マクロビオティックはニセ科学です。そんなものを学校教育の場に持ち込まないで下さい。

2013-04-17

講習会でこんなはなし聞いてきたのだけど(後編)

| 16:15 | 講習会でこんなはなし聞いてきたのだけど(後編) - とらねこ日誌 を含むブックマーク 講習会でこんなはなし聞いてきたのだけど(後編) - とらねこ日誌 のブックマークコメント

(この記事はどらねこ日誌2009年07月23日掲載分に加筆・修正したものです)

前回の続きです。どらねこの専門分野外についても言及しておりますので誤りがあればどうぞご指摘下さい。


■病気の原因、つきあい方


Q:予防接種には水銀が含まれており、自閉症の原因となったり、健康を損なうおそれがある事を聞きました。母乳で育った免疫力の高い子供については予防接種を打たないで自然に病気に罹って免疫を獲得した方が強い免疫がつくのだと仰っておりました。健康な子には無理をして予防接種をする必要は無いと思うのですが。


A:なるほど、確かに自然に病気に罹ればしっかりと免疫を獲得できますね。それでは麻疹(はしか)を例に筆者の考えを述べさせていただきます。

まずは水銀ですが、ワクチンを安全に保存するためにチメロサールという物質が添加される事がありますが、これが水銀を含む化合物なのですね。アメリカは日本よりも予防接種の数が多く、予防接種からの水銀摂取量が多くなるため、その安全性について様々な議論がなされたそうです。水銀中毒と自閉症の症状が似ていること、予防接種実施率と自閉症の発症数増加に相関を見た研究者が自閉症と予防接種に関連があるのでは?という仮説を発表しましたが、これが今現在も話題になるのですね。世界保健機関(WHO)のワクチン安全性委員会の見解では両者には因果関係を示す証拠はないとし、副作用のリスクよりも、予防接種の効果は遥かに大きいのだと発表しました。

そうはいっても、水銀摂取は少ない方が良いと考えるのは当然ですよね。現在のワクチンは低水銀化、もしくはチメロサールをなるべく使わないようにする方向に向かっております。

次に麻疹を考えてみましょう。麻疹は戦後まもなくは毎年数千人単位が死亡する重大な感染症の一つでした。現在は10人〜30程度の死亡者数となっております。これだけ減らすことができた背景には衛生状態、医療体制、栄養状態の向上などがありますが、その中でも予防接種の貢献は大きいものと私は思います。国立感染症研究所感染症情報センターが公表する資料を読みますと、麻疹感染者の多くは予防接種を行っていなかった人であることが見えてきます。


http://:title=国立感染症研究所感染症情報センター:麻疹2008年]より

患者は男6,426人、女4,581人と男性が多く、年齢分布は、0〜1歳と15〜16歳に2つのピークがあり、0〜1歳と8〜27歳で各年齢 200人以上の報告があった。ワクチン接種歴は、未接種4,910人、1回接種2,933人、2回接種131人、不明3,033人であった。0歳児はほとんど未接種者であった


もちろん、副反応などのを心配する気持ちもわかりますが、麻疹は死ぬおそれもある重篤な疾患です。副作用よりも実際に罹った場合の危険性が遥かに大きいと考えられます。

では、感染をしても大丈夫だと彼らが主張する健康な子供については接種する必要が本当に無いのでしょうか?これについては、引用文中にあるように0歳児予防接種未接種者の麻疹感染が多い事を考えて欲しいと思います。予防接種対象年齢に達しない0歳児の麻疹感染を予防するためにはどうしたらよいのでしょうか、それは麻疹流行の予防ですね。

自分が大丈夫ならそれで良い、これはあまりに無責任な考え方ではないでしょうか。予防接種は自分だけの為でなく、なんらかの理由で予防接種を受けたくても受けられないリスクのある人たちの感染防止にも役立つのです。是非、その事も考えていただきたいと思います。


予防接種とそれに関係する不安なことについては以下の記事で論じております。参考にして下さいね。

さらばMMRワクチンと自閉症の関係性そして残されたモノ

http://d.hatena.ne.jp/doramao/20110112/1294753587

だれがとくをするのだろう

http://d.hatena.ne.jp/doramao/20120322/1332398491



Q:電子レンジで加熱すると遺伝子をこわして死んだ食品にしてしまうそうなのです。死んだ食品からは大切な栄養を十分に吸収できなくなると聞きました。やっぱり電子レンジはつかわないほうが良いのでしょうか。あと、電子レンジは放射線をだすのでガンなどの病気の原因になるとも聞いたのですが・・・


A:この場合の遺伝子が何を指しているのかは不明ですが、DNAのことであるとすれば加熱によって確かに壊れるでしょう。しかし、それは電子レンジだから壊れてしまうというのではなく、例えば、茹でる事によっても同じように壊れてしまうでしょう。それをおそれるのであれば焼いたり煮たりする調理作業は全てダメになってしまいます。因みに人体でも膵臓で作られるヌクレアーゼという酵素によって口から食べた食品のDNAは分解*1されます。

放射線については全く心配はありません。電子レンジはマイクロ波と呼ばれる電波を発生して食品を温めるのですが、これは一般に放射線としておそれられる電離放射線ではありません。広い意味では放射線という事も出来るのですが、この理屈で言うと目に見える光やラジオの電波なども放射線になってしまいます。危険なのは電離放射線と呼ばれるx線やγ線などの放射線ですので同列に語ることはとても乱暴だと思います。

このように遺伝子(DNA)が壊されることは食品をダメにする事では決してありませんし、危険な放射線を発生させる事もありません。安心して使用方法を守り電子レンジを活用してください。



■その他


Q:産科医不足が深刻だとテレビや新聞は主張していますが、これは助産院や自宅出産を増やせば問題は解決出来るそうです。昔は産婆さんしかおらず家での出産が普通で、みんな健康に生まれてきたそうです。産科という不要な医療施設をつくって、健康な妊婦を病人に仕立てあげて病院での不自然な出産したツケがいろいろなところにまわってきて子供の心の問題にも発展しているのだとおっしゃっていました。これは戦後アメリカ日本に牛乳を売り込むために母乳育児を勧める産婆が邪魔になったからこの方式を導入したのだそうです。このはなしは少し乱暴とは思いますが、なるほどと思うところもあるのですが。


A:自然は何となく良いイメージで人工はなんとなく悪いイメージ、それが影響しているのかも知れませんね。

まず、出産を医療の管理下におこうという動きは明治時代からあったようです(医制)。この規則はそのまま実施される事はなく、地方の規則が適用されたそうですが戦後アメリカ主導で突然に導入された考え方では無いことが分かります。大正年代には都市部などでは施設内出産が行われていた事も知られております。

ところで、自然なお産と不自然なお産と言いましたがコレを、『母子ともに健康が望める出産』と『リスクは高いけれど満足度の高い出産』と言い換えたらどうでしょうか?リスクの指標として妊産婦死亡率を例に挙げてみましょう。

戦争前の昭和年代では妊産婦死亡率は出生10万対200〜300程度でした。近年は一桁台で推移しており、概ね4前後*2ですね。

当時はだいたい400回に1回は死んでしまうリスクです。一人が出産する回数の多かった事も考えると自分の死も覚悟しながらの一大事であった事が想像できます。

出産はどんな方法で産むかという事よりも、母子ともに健康に無事に終わることができるのが第一ではないでしょうか? 筆者であれば、人工的であっても安全な出産を望みます。母子ともに無事な出産よりも優先される事とは何でしょうか。産科が不要な医療施設であるという言説は、それこそ無責任な発言であると私は考えます。




Q:お米の摂れない寒い地方は仕方なく麦を主食にしていて、その麦ですら水分が少なくて30%ぐらいでパサパサしているのだとか。それに対して日本の麦は水分が豊富で非常に良い小麦だからうどんやそうめんお好み焼きに向いているのだそうです。水分の少ない小麦は仕方がないからパンやパスタにしているのだと聞きました。

日本はお米の採れる豊かな国なのだからよその国の真似をしてパンやパスタを食べるのはおかしいのだそうです。パンはパサパサしているので食事中に水や牛乳が必要になりそれが健康を損ねる原因だと聞きました。ご飯は60%〜70%が水なので食事中も飲み物なしでも安心なのだそうです。保母さんが目を離している隙に園児がパンを詰まらせて死亡した事件や中学生が給食の早食い競争でコッペパンを喉に詰まらせて窒息死した事件を例として紹介しておりました。これは水分の少ない小麦を使ったパンに原因があるのだそうです。だからパンではなくお米を食べなさいという事だったのですが、そんなにパンやパスタは危険な食品なのでしょうか?



A:ちょっと聞いていて不思議に思った事があります。不勉強にして、麦の水分含量までは分からないのですが、穀物というものは長期間保存できる事がとても大切なので貯蔵するために乾燥させるのですね。ですので、小麦では10〜13%、お米で15%前後の水分量になるよう調整され保存されるのです。パンがご飯に比べて水分が少ないのはその調理法によるものです。小麦の質が悪いからではありません。パンやパスタはたんぱく質の多い小麦が向いており、うどんやすいとんにはたんぱく質量の少ない小麦粉が向いているのです。どちらが劣っている優れているという問題ではないのですね。因みにヨーロッパでもたんぱく質量の少ない軟質小麦は生産されておりますよ。

ところで、パサパサしたパンでは窒息事故がご飯よりも多いのでしょうか。

消防本部および救命救急センターを対象として、平成18年1月1日からの1年間。消防および救急センターからの事故報告のうち、原因を特定できた消防と救急の合計してみました。するとご飯は89例でパンは88例という結果になりました。ご飯はパンに比べると分母が大きいためリスクはやや低いかも知れませんが、パンもご飯もともに窒息のリスクが高い食品だと言えそうです。ご飯やパンそしてお餅は粘着性の高い食べ物です。高齢者や子供ではその危険がとても大きくなることが知られておりますので、パンだけでなくご飯も危険だと言うことを忘れずに十分な注意をしていただきたいと思います。

※データは厚生労働省発表「食品による窒息の現状把握と原因分析」を参考にしました。


■おわりに

前回、今回とQ&A方式でお送りいたしましたが、如何でしたでしょうか。このような講演会ではやさしそうであったり、熱意のある専門家とされる方が、平易な言葉で簡潔に断言をなさりますので、「あ〜なるほど〜」とつい納得してしまうんですよね。一度信用してしまうと、周りは危険ばかりと恐怖を感じてしまい、より深いところに入り込んでしまう切っ掛けとなってしまいます。こうした誤った言説でも、お金をかけたり周りの人に薦めてしまったりすると、他の方がそれはおかしいですよ、と説得しても受け入れて貰う事はとても難しくなることが知られております。(サンクコストやコミットメントと一貫性などと説明されるようなものです)

では、深みにはまる前にオカシサに気がついて貰いたいのですが、簡単でわかりやすい直観的なデタラメな説明に比べ、理路を示しての説明は、それだけで敬遠されてしまうなど受け入れて貰うのが難しかったりするように思います。

なんとか興味をもって頂きたいと思い、実際の講習会を参考としたQ&Aをつくってみたのでした。今後も、なるべく多くの方に伝わるような記事を考えていきたいと思っております。

*1:簡単に説明すると分解されてヌクレオチドになり更に分解されヌクレオシド→五炭糖、ピリミジン、プリンとなり、プリン体は尿中に排泄される

*2:厚生労働省人口動態統計で計算すると、平成22年が4.5、平成23年が3.8でした