『ニール・サイモン1 おかしな二人』ニール・サイモン/酒井洋子訳(ハヤカワ演劇文庫)★★★★☆

 ウォルター・マッソージャック・レモン主演の映画を見たことがありました。神経質なフィリックスを演じるジャック・レモンがあまりに適役すぎて、オスカーを演じるウォルター・マッソーに同情してしまい、それほど無邪気には笑えなかった記憶があります。

 今回はじめて原作を読んでみたけれど、映画はかなり原作に忠実な作品だったのだなと知りました。ビリー・ワイルダー作品や『ラブリー・オールドメン』に出演するジャック・レモンの演技を見ても、妙に細かいところがおかしいのを鑑みると、フィリックス役はまさに適役。原作の大きさは認めるうえで、映画版の印象にはあまりにはまりすぎのジャック・レモンの影響も大きかったのだなと感じました。

 そんなわけで本書、つまりジャック・レモン抜きの『おかしな二人』は、ほどよく神経質な(^^)フィリックスに、おおらかに笑える作品であったのでした。

 スピード、マレー、ロイ、ヴィニー、オスカーのずぼら五人組によるばかげた会話も、オスカーとフィリックスの噛み合わない会話も、テンポとセンスがよくてしかも下品じゃない。決して声も姿も登場しない奥さんの存在感もいい味を出している。こういうのをユーモアっていうんだな。

 『The Odd Couple』Neil Simon,1966年。

 今日もまた、オスカーの散らかし放題の家にポーカー仲間が集まった。そこへ仲間の一人フィリックスが妻に逃げられたとすっかりしょげて現われた。自殺騒ぎのあげく、やもめ暮らしのオスカー宅での同居が始まった。以来、部屋はきれいに片づき、うまい手料理が用意され、重宝この上ない。が、次第にフィリックスの潔癖症の一挙手一投足が気に障りだし……。ブロードウェイの喜劇王が放つ、軽妙なユーモア満載の傑作戯曲。(裏表紙あらすじより)
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