『密室に向かって撃て!』東川篤哉(光文社文庫)★★★★☆

 烏賊川市シリーズ第二作。ギャグが格段になめらかになっています。

 今回の事件は盗まれた拳銃による殺人事件です。拳銃によるホームレス殺害発生。やがて食品会社社長宅で鵜飼が狙撃され、仮面の狙撃者が崖の先に逃げ去るのが目撃された。ボディガードが追いかけたが、数発の銃声が聞こえ、うずくまるボディーガードと、訪問客の死体が見つかり、犯人の姿は消えていた――。

 という準密室状態の謎と、盗まれた銃弾数との齟齬の謎をめぐる、驚くほどに端正な謎解きものです。

 Aだと見えたものが実はBだった――というのは意外性と騙された爽快感が気持ちよい、ミステリならではの味が味わえるところです。砂川警部が推理をもとにおこなった行為から、鵜飼探偵が別の推理を組み立てて真相を確信する場面は、補助的なものながら鮮やかな部分でした。

 烏賊川市警の失態で持ち逃げされた拳銃が、次々と事件を引き起こす。ホームレス射殺事件、そして名門・十乗寺家の屋敷では、娘・さくらの花婿候補の一人が銃弾に倒れたのだ。花婿候補三人の調査を行っていた《名探偵》鵜飼は、弟子の流平とともに、密室殺人の謎に挑む。ふんだんのギャグに織り込まれた周到な伏線。「お笑い本格ミステリー」の最高峰!(カバー裏あらすじより)

  


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