transition不在の組織

病院にはいろんな職種がいます。
医師、看護師、コメディカル(薬剤師・臨床検査技師放射線技師・臨床工学技士、歯科衛生士、視能訓練士理学療法士作業療法士言語聴覚士、管理栄養士...etc)、そして事務。
百歩譲ってこれらの組織が縦割りなのは仕方ないとしよう。いくら「チーム医療」を叫んだとしてもだ。
最近痛感するのはこれらの縦軸方向に分割されている組織が更に横軸方向にも分割されている。例えばヒエラルキーとか、個人的にウマが合う合わないとか。それが顕著すぎる。
さながらマトリックスだ。いくらアクションを起こそうとしても横方向はおろか縦にも繋がらない。そう、シナプス不在の脳神経細胞のように。
ま、そんな一般的なことを書いても仕方がないので少し工学的に書くとしよう。
ここ数日私がいる現状を客観的に見て、「繋がらないニューラルネットワーク」ではないかと思考をめぐらせていたのだけれど、もう少し本質的に言えることに気が付いた。トランジション不在のペトリネットだと。

ペトリネットについてはこれを見て欲しい。
ペトリネット
状態の変化
簡単に言うと、「何か(Place)」と「何か」が「!」になったらそれを感知する役目の人(transition)が他の誰かを「!」にさせる仕組みである。
導火線が2つある花火を想像する。ここの花火は2つある導火線から火が入らないと打ちあがらない。
導火線に火がついていないのが最初の状態で、2つのplace(導火線)に火が入り(firable)最初の状態変化を起こし、transition(花火)が発火(打ちあがる)することで、更に状態が変化する。
この打ち上がった花火が他の導火線になっているとするとき、状態は更に次の段に変化していく。
このように状態ベクトルが変化することで連鎖的状態遷移が起こっていくことについての数学的概念をペトリネットという。正確な言い回しではないけど。
(ベクトルなのは、導火線→発火・打ち上げ→他の導火線へという風にそれぞれに向きがあるからである)
 
論理的にはPlaceがfirableであればtransitionは発火する。いわゆるAND回路(0×1=0だけど1×1=1)だ。極めて単純。
 
しかしながら人間社会では論理的ではない。
firableなヤツを発見し、上手に発火し、他の誰かをfirableさせるtransitionという役割を担う人材が本当に少ない。故にこのtransitionの役割は重要だ。
 
私の置かれている職場環境では、transitionたりえるのはたった1人だけだ。残念ながら平社員な彼だが、その才能でPlaceのfirableを敏感に察知し発火する。更に彼は語彙力を持っていて、わざと空気を読まないふりをしているので、特に立場が上な人間に対して歯に衣を着せない物言いをする。よほど鈍感でない限り彼自身が発火していることは伝わっているはずだ。
でも、伝わっているだろうにその先の状態に遷移しない。
 
そして、その他はfirableでないか、transitionが発火しない。すべからくだ。
 
単純なAND回路、OR回路で仕事をしたい。
そして、彼の発火が状態変化を起こしていくのを応援したい。
切に思う。