朝、5時に起きて水晶が流れてくる沢を遡る。
水量はかなり多くて、長靴に水が入る。
天気は曇り時々晴。

20分も遡行すると、ナメが多く出てくる。
そのうち、ナメ滝の連続になった。
足場がすべる。

沢は、シラカバとクマザサの林。
深い山の中。
転石を見ていると、水晶が混じっている。
長さ3cmを上限とする太い水晶の柱面。
透明なものが多い。
石英塊というものはない、水晶だけが落ちているのだ。転々と。
これを供給した脈(たぶん脈性)は、かなり大きいものだろう。
母岩から剥がれ落ちているので、母岩もよくわからない。


1時間遡行して、石英脈が走る露頭を見つけた。
幅2cm。
これじゃあない。


2時間遡行するも、転石に含まれる水晶の割合はほとんど変わらず。
どうやら、相当上流から流れてきているようだ。
磨耗具合からもそんな感じ。


沢は標高差をがんがん稼ぎ、小さい滝の連続になった。
登れないものはないが、ルートファインディングの実力が問われる。
右、左、直登のいずれもある。
沢の藪にはマタタビが小さな実をつけている。

この間カミさんと「マタタビの新鮮なツルで買い物籠を編んだら、猫がついてくるだろう」という話をしていたのを思い出す。
でも、めんどくさいのでもって帰らない。


4時間遡行。標高は2000m近くになった。
産地がわからない。

露出が悪い。転石もほとんどなくなった。
沢沿いに露頭があるのではなく、斜面を水晶がころげ落ちてきているのか?
あたりは今にも熊の出そうな笹林。


雨が降り出し、雷も近くに落ちるのでそろそろ引き返す。
もう一度、斜面や露頭や転石をチェックして下りるが、やはり見つからない。
しょうがない、あきらめよう。
長年気になっていた場所だったが、もう採れないことがわかったということも収穫のうちだろう。
もう、ここには一生こないだろう。
水晶の素性は良いので、かなり残念。


車まで戻り、カップラーメン(チゲ)を食べ、紅茶を飲んで冷えた体を温める。


次の産地に向かう。
来た道を戻ってもいいのだが、この先の林道を突っ切った方が距離が短い。
露頭に沸石でも出ているかもしれないし。
この先の林道は、総延長15km。完全ダート。
しばらくがたごと走ってみる。
かなりでこぼこ。最低地上高15cm以上ない車じゃないとつらい。
雨で、ぬかるんでいるのもいやな感じ。
ふと気がつくと、ハンドルがやけに取られる。
バリバリ走行音がする。
やはりパンク。
あーあ。
ジャッキアップしてスペアタイアに変える。
中のチューブ(チューブタイア)が裂けてないといいけど。


林道走行とタイヤ交換に時間を取られ、目的地にたどり着けなかった。
付近の沢に入り、大き目のワサビを取ってくる。
なんでワサビの葉っぱだけ虫が好んで食べるのだろう。謎。


温泉に入って汚れを落とし、寝る。
深夜、むっくりと起き出し、ドライブ。