おもしろい! - 『十三人の刺客』

幕府の権力をわが物にするため、罪なき民衆に不条理な殺りくを繰り返す暴君・松平斉韶(稲垣吾郎)を暗殺するため、島田新左衛門(役所広司)の下に13人の刺客が集結する。斉韶のもとには新左衛門のかつての同門・鬼頭半兵衛(市村正親)ら総勢300人超の武士が鉄壁の布陣を敷いていたが、新左衛門には秘策があった。


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今さらながらの感想。いやー面白かった!近年の三池作品はまったく興味なかったり、いざ観てもつまらなかったりだったので、久しぶりに「三池監督最高!」と思いました。


大勢の方がおっしゃってるように、まずは稲垣吾郎演じる松平斉韶の極悪非道ぶりがすごい!演技で見せてるというより、素で演じてるようにしか見えないのがすごい。MTV Movie Awardsみたいに「ベスト悪役賞」とかあったら、間違いなく彼が受賞するよ!


例の「みなごろし」シーンや、転がる○○○などの三池監督ならではの悪趣味演出も全開でこちらもすごかった。ところどころ笑えない悪のりギャグ(伊勢谷のあんなことやこんなこと)もあるにはあったけど、それでも個人的には問題なし。


役所広司の安定した存在感のおかげで、脱線したり中だるみしそうな場面でも緊張感を持続できたのも良かった。役所さんには今後も三池作品に出ていただきたい。オススメ。


(その他)
・侍は切腹が好きすぎる。サッカーの人達も侍名乗るんなら負けたら切腹とかすればいいのに。
・屋内がほとんど自然光に近い状態で撮られてるのが良かった。
・吾郎ちゃんトコには今色んなオファーが来てるんじゃなかろうか?『アウトレイジ2』とか。
・侍という職をなくした役所広司たちが、手に職をつけようと奮起する『十三人の資格』というスピンオフ作品は既出ですか?
山田孝之はいい役者と思うんだが、江戸時代の人にしては眉毛が整い過ぎてて気になった。

未来は僕らの手の中 - 『パンドラム』

西暦2174年、地球は滅亡を迎えようとしていた。そんな中、ある惑星へ移住するため、6万人の人類が宇宙船エリジウムで出発。やがて、二人の飛行士が冷凍睡眠から目覚めるが、二人は記憶を失ってしまっていた。そして、船内にいるはずのない恐ろしい何かが存在することに気付き……。


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評判のいい『パンドラム』を観に行きました。主人公(とおぼわしき人物)が冷凍睡眠直後ということで記憶障害を起こしているという設定なわけですが、ほとんど情報を入れずに観に行ったので主人公と同じ立場で混乱しながらの鑑賞となりました。


そして、もつれにもつれた記憶の糸を辿っていくことで徐々に全貌が見えてくる...という展開になるハズなんだが、事態はより複雑に曖昧になっていきいつまで経っても混乱は収まらず。自分の読解力の低さを棚に上げて言うが、肝心な部分のセリフや説明が大雑把過ぎてよく分からんかった(DVDだったら数回止めて巻き戻してた)。


物語のキーであり、タイトルでもある『パンドラム』とは「長期間宇宙航海を行う副作用でクルーがクルクルパーになる」(超訳)という病気らしいんだが、この架空の病気をもう少しキチンと明解にして欲しかった。誰でもかかる病気なのか?治療する方法はないのか?とか。別にセリフで語らせなくても、『ブレードランナー』みたく、オープニングでテキストにするとか、もうちょっとやりようがあったと思う。そこが曖昧なせいで、「その結果××が××しました」と聞いてもあまりピンと来ない。


良いところもいっぱいあって、暗い密室空間での攻防とか恐ろしくてドキドキしたよ。主人公が特に強くもないところも良かった。藤子Fテイストなラストのオチもお見事。SF好きな人にはオススメ。


(その他)
横浜ブルク13に初めて行きましたが、内装が豪華でびっくり。でも人が少なかったので『シャイニング』のホテルみたいで超怖かった。
・つか、これってテレビゲームの世界だよね?記憶を失った<自分>が手がかりを探しながら、正体不明の敵と戦いつつ何かしらの目的を行うためにある場所へ移動をするってヤツ。
・冷凍睡眠後に記憶障害を起こすことが分かってるなら、「起きたらこれやる事」みたいなメモ残しときなさい。
・静の『月に囚われた男』、動の『パンドラム』とか考えた。いやそれだけですけど。
・上に置いたポスターで興味を持ったんですけど、こんなビジュアル出てこないんだぜ。