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辺境の歌〜音楽・映画・小説・漫画・ゲーム等の殿堂

2011-01-06

[]橋本治『窯変源氏物語』(1991-1993年/日)

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高校まで行くと必ず古典で苦しめられる。

有り居り侍りいまそかりとか知らんでも、すらすら読めて、男が読んでも面白くてエロい古典は無いのか?

あるぜ、ここに。

というわけで本日は橋本源氏のご紹介です。

誰もが知ってる源氏物語にフランス心理小説をイメージして重ねたという本作は、一言で言うと、美しい。古典から離れた新しい解釈の小説として見事に息を吹き込んでいます。

恐るべしはその言語センス。

思えばみんな浮ついてた80年代初頭、作者が『桃尻娘』でデビューした以降の頃って、その突っ走った口語体の作風(今で言う舞城王太郎みたいな作風ね。)のイメージとも合まって、正当な評価を得られてなかったんだな、とつくづく思います。

愛憎絡む源氏の世界が進行するにつれ、様々な男女の情交や化け物じみた怨念みたいなのが出てきますけれども、本来絵巻のような平坦さを持っている筈の古典に彼が文章を添えたことで広がった奥行きが凄い。おおくぼひさこによる写真もイメージに華を添えます。RCサクセション思い出すなあ。RCもそのうち。

橋本治という人もやはり化け物だな、ということを感じさせられる大長編です。

日本人としてこういうのが読めることは幸せな事なんで、興味のある方はぜひ挑戦してみていただきたい。世界に通用する日本がここにあります。

2011-01-04

[]土田世紀『俺節』(1991-1993年/日)

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間が空いた上に、漫画の紹介を1回抜かしてしまいましたね。はい。

今回はこの冬に祝!復刻ということで土田世紀の『俺節』を取り上げてみたいと思います。俺節はねえ、そのうち古本屋で集めようと思ってたら、いつのまにか近くの店では絶版&中古在庫なしになってた記憶があります。それでこのたびめでたく太田出版から定本俺節として出版されたので買いましたよ、と。

物語は津軽です。演歌です。北島三郎です。それが日本の心です。

演歌を知らなくても楽しめますが、作中の曲を数曲知っているとさらに楽しめると思います。

今回掲載のインタビューにもありますが91年当時のスピリッツにあってさえ、演歌と津軽弁は異質。絵は上手くてタッチは古い。それが津軽弁で吠えて挑みかかってくる、という漫画でしたね。

演歌自体80年代以降は衰退。その中で全く外から来た刺客、の印象を当時受けました。

2010年のM−1で言うとスリムクラブ的な。

自分は特に作品の序盤が好きですね。

メジャーどころで演歌の漫画つーと、あとは後発で『演歌の達』の高田靖彦とかでしょうかね。この人もいつか絶対紹介したい。いい加減『塩浜電工バレーボール部』を出せ。太田出版でいい。頼むから。

んで、何が言いたいかと言うと、『ギラギラ』と『ギラギラ2』を書いてるのはこの2人なんだなあ、と。スペリオール繋がりとはいえ不思議な感じですね。

今もってなお精力的に新作を書くその姿は大御所、もしくは”オヤジ”。

寒い冬にこそホットな魂の土田世紀を是非ご覧下さい。

2010-11-07

[]DS/PSP スターフィッシュ『エルミナージュII 〜双生の女神と運命の大地〜』(2009-2010年/日)

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えー、今回のオススメはいまだに中古で価格が下がらない、一部で根強い人気の本格クラシックダンジョンRPG『エルミナージュ2〜双生の女神と運命の大地〜』のご紹介です。

本作を勧めてくれた友人が”ウィザードリィにめちゃめちゃプラグインぶちこんで自由度更に広げた感じ。”と言ってましたがまさにそんな感じ。

序盤から選べるダンジョン。クリアーは簡単、でも1周目では到底極められない奥深さ。

これを遊ぶならある程度極めたと思うまではWIKI見ないでやって欲しい。そんでWIKI見た時にまだまだ極めていないことを知るという・・・。

それくらい遊ぶ人間にプレイスタイルを考えて貰う為の仕掛けが随所に。久々に400時間超えちゃったよ。

テキストも面白いですよ。妙にキャラの立ったシナリオもさることながら、モンスターやアイテム図鑑の文章の密度は豊か。コストをかけずにこれだけやっているというのを大手は見習って欲しいなあ。プログラム・グラフィック・音楽以外の全てを担当した小宮山大介という人物を是非覚えておくべきだと思うのですよ。

あ、それと前作プレイしていなくても背景がだいたいわかりますので大丈夫。

PSP版とDS版がありますが、後発のDS版に追加モンスターとダンジョンがある程度なので好きな方でプレイしていただければと。

ウィザードリィ系初心者の方から上級者の方まで幅広く惹きつける本作。

皆様も是非自分で作ったパーティを誰かに自慢してみてはいかがでしょう。

2010-10-23

[]COUNTING CROWS "THIS DESERT LIFE"(1999年/米)

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お次のオススメは、アダム・デュリッツ率いるアメリカンロックの良心的存在、カウンティング・クロウズのご紹介です。

日本では有名とは言えない彼らですが、幾度かのメンバーチェンジを経ながらも90年代からコンスタントに良質のアルバムを出し、20年近いキャリアを誇る実力派。本作はその中でも名盤と言って良い一枚です。

特徴はバンドとしての楽しい音。60年代や70年代から続いてきたアメリカンルーツロックの基本を押えつつも独特のメロディアスな展開が加わって、基本のドラム+ベース+アコギ+エレキ+ピアノに加え、シタールやパーカッション、オルガン、メロトロン等の楽器をいい意味で隙のある親しみ易い音楽に仕立てています。

そして何よりもデュリッツのヴォーカルとして、ソングライターとしての存在感が際だちます。コードの中でもがくデュリッツのメロディセンスはかなりの凄さ。まさに捨て曲無し。

日本で言うと初期のサザンオールスターズとかを思わせる展開が随所に。西海岸らしいスコンとした現代風民謡となっております。

探せば結構在庫あるし、安い!

今のうちに是非カウンティング・クロウズをどうぞ。

2010-10-17

[]セリーヌとジュリーは舟でゆく(1974年/仏)

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正直これを見るまでヌーベルヴァーグの監督達を甘く見ていました。ゴダールとかは実験性と映像美、一瞬の表現に秀でた物を持っているけれど断片的すぎて発想のヒントにしかならないと。ところが本作品は予備知識なしに見るとどう見ても90年代以降の作品にしか見えない。これは驚いた。監督のジャック・リヴェットはヌーベルヴァーグの中心人物のひとりで映画批評家でもあります。

特色は万人の予想を裏切る展開と構成、動きの豊かなカメラワークで柔らかくその場へ引き込んでいくような映像。自然体で好感の持てる女優の選び方もひとつもポイントと言えそうです。

肝心のストーリーは・・・あれ?前回に引き続き伏せた方が良さそう。自分はコニー・ウィリスの小説『犬は勘定に入れません』とかを連想しながら観てました。ひとつ言えるのは最初の1時間は俺は今回ハズレたかなあと思って観てたってことです。いい意味で覆されました。長い映画だけど我慢して観ましょう。この人の映画は長いのよ(短編も撮るけど)。俺は観たことないですが『アウト・ワン』という映画は資料によると12時間40分!

蛇足になりますが、同監督の『北の橋』とかもユニークでしたよ。人によっては何じゃこりゃ、でしょうけど。ネタバレですが『北の橋』のヒロインの一人は空手をやってる設定。俺は映画の前半観ながら『ベスト・キッド』のミヤギさん(みたいな人)出てこないかなと思ってたら本当に出てきた(笑)。まあ『ベスト・キッド』の方が後発ですけどね。

ヌーベルヴァーグの作家は他にもアラン・レネとか優れた人がいますので改めてご紹介したいですね。

フランスの街角で起こる女性2人のちょっとした冒険。一風変わった本作を是非ご覧下さい。