不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

年始派再会日記

 うっかり寝過ごす。そろそろリズムを戻さないとな。
 銀座で友人M嬢に会う。前に会った時はガリガリに痩せていたので心配していたが、今は少し戻ったよう。健康面には気をつけて欲しい。彼女と会うと、俺も頑張らないとな、といつも思う。
 早めに帰宅。夕刊が来る時間に年賀状も来る。こんな時間に来るものなのか? 民営化したから? 返さないとなぁ……。
 夕飯は鳥鍋。ご飯炊くの面倒だったので餅を入れる。

つまらなくしたハリウッド映画

 柳下毅一郎『シネマ・ハント』読了。えらく面白い。この本はそれほどディープな作品は取り上げず、ハリウッド大作中心。柳下本としては入門書だろうが、気に入った。

シネマ・ハント (Eブックス・映画)

シネマ・ハント (Eブックス・映画)

 年末年始に読み終える事ができた唯一の本。あれこれに手を出してしまったからなぁ……。

SO SWEET

 エレファントカシマシ“笑顔の未来へ”を聴く。いいねぇ。“俺たちの明日”よりもエレカシの匂いが抑えられて、キャッチー。PVでは幼女と戯れる宮本先生が見られます。
 この曲もいいのだが、実は2曲目の“風に吹かれて(New Recording Version)”が素晴らしすぎる。鍵盤を入れたのだが、バンドと曲がこうやって年をとって熟していくのかと感動。名曲が神曲へ。何度も聴きたい。

笑顔の未来へ

笑顔の未来へ

NY中の電気を消して


 再会の街で鑑賞。監督・脚本、マイク・バインダー。出演、アダム・サンドラードン・チードル、ジェイダ・ピンケット=スミス、リヴ・タイラーサフロン・バロウズドナルド・サザーランド
 9.11の数年後のNY。ある歯医者が街角でかつてのルームメイトと再会する。彼はあの事故(事件)で家族を亡くし、精神を病んでしまっていた。
 それぞれの人物描写がちゃんとしていたのがよかった。主人公を含む登場人物達が、NYのどこかにいそう。そして会話が練られていて面白い。やり取りや端々にあるユーモアセンスがいい。中でも歯科医院の受付嬢の“天丼”が回を重ねる毎に笑いの強度が増していき、最後には職人芸のように見えた。
 オープニングが素晴らしかった。音楽に合わせてモーター付きスクーターに乗るアダム・サンドラー。夜のNYをすいすいと、流れるように走っていく。この光景が、ラストにまた繋がっていく。巧い。
 消した過去。痛々しく、思い出したくなくても、思い出してしまう。思い出してしまうから消してしまう。いや、消す事なんてできないとわかっているから、見ない振り。
 そんな時に出会う友人。話す。遊ぶ。話す。結局、彼らは何も解決していないし、どこにも行っていない。単に、自分の立ち位置を確認しただけ。とりあえず、それでいいんじゃないか。
 読んでの通り、9.11のトラウマがテーマである。アメリカは未だに9.11を自分の内で解決できていないのか、これがテーマになると大抵うまくいかない。変にアメリカの「正義」が顔を出したり、陳腐なストーリーとラストになる場合が多いからだ。
 この映画はまあまあよかった。宣伝とは違ってヒューマンドラマではなく、むしろコメディ映画である。ちゃんと笑えて、9.11で受けたショックも描いている。
 とはいえ、これが9.11ではなく交通事故などでも成立するような気もする。むしろ、9.11を絡めない方が「愛しい存在の喪失」がダイレクトに見えてくるかもしれない。本当に難しい。
 この映画は音楽がとても良かったのだが、そこに一曲、日本のバンドの曲を加えたい。それはエレファントカシマシの“友達がいるのさ”。


《東京中の電気を消して夜空を見上げてえな
 かわいがってる ぶざまな魂 さらしてみてえんだ》
《俺はまた出かけよう あいつらがいるから
 明日もまた出かけよう 友だちがいるのさ
 俺はまた出かけよう》