不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

小説と漫画二冊

 岡映里『境界の町で』(リトルモア。『想像ラジオ』とは全く違う形、内容だけど、まぎれもない震災後の作品。小説なのかノンフィクションなのか、現実と虚構の境界線上に立って、そこから様々な境界を越えて行こうとする。見たもの感じたものだけを描写し、そこにいる人たちの生活や息使い、曝け出すことで暴き出す誠実さ、傷つき傷つける覚悟や正直さが見えて、響いた。重いけど、軽やか。話を全体に広げず、あくまで個から(個を)見る視点もよかった。

境界の町で

境界の町で

 オノ・ナツメACCA13区監察課』2巻(スクウェア・エニックス。話が動き出した。ハードボイルドな政治劇の中、飄々としている主人公がいい。風呂敷をどこまで広げて、畳んでいくのか、楽しみ。そういや『COPPERS』はもう描かないのかな。 ニャロメロン『濃縮メロンコリニスタ』(マイクロマガジン☆コミックス)。ネットで時折り見かけていた4コマ漫画を集めたもの。勢いだけやら、やたら不条理やら、時にはちゃんとした起承転結もあったりして、ネタまみれの一冊。タイトルがオチになっているから一番下に置かれている。ずっと読んでいると、なんだか不安な気持ちになってしまう。作者はどんな人なんだろう……。