不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

最近読んだ小説

 ピエール・ルメートル『悲しみのイレーヌ』(文春文庫、橘明美訳)。『その女アレックス』の作者だからとわりと構えて読んだのだが、まんまと出し抜かれ、ハマッて一気読みしてしまった。解説の杉江松恋氏の書く通り《脳がざわざわ》した。にしても、タイトルどうにかならんかったのかねぇ。これじゃあある意味でネタバレに(以下略)。『週刊文春』ミステリーベストの海外部門一位らしく、たしかにおもしろいのは間違いないけど、『アレックス』と同じく構造の妙からくるおもしろさだし(イレーヌの方が先だけど)、『アレックス』がよかっただけに、次はもっと違ったものが読みたいなと贅沢を言ってみたり。というわけで『天国でまた会おう』をいま読んでいる。

悲しみのイレーヌ (文春文庫 ル 6-3)

悲しみのイレーヌ (文春文庫 ル 6-3)

 深町秋生『猫に知られるなかれ』(角川春樹事務所)終戦直後の混乱極まる日本が舞台で、諜報機関の男たちの活躍という状況はたいへん魅力的だけど、その時代と背景を描くのに力を注いだぶん物語はちょっと中途半端で物足りない。分割された短編でなく長編で読みたかったかな。続きはあるのかしら。
猫に知られるなかれ

猫に知られるなかれ