不発連合式バックドロップ このページをアンテナに追加

August 29(Mon), 2016

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 ブレイディみかこ『THIS IS JAPAN――英国保育士が見た日本』(太田出版。日本の貧困の現場ルポで、奥まで入り込んでいるというほどではない浅さではあるが、「外からの視線」でクールに見つめている。中でも本職でもある保育の現場は、読んでいてうんざりしてしまう。どうにかせんと、本当に。

 著者が再三書く「反緊縮でユナイトし立ち上がろう」はわかるんだけど、日本だと結構難しいのでは。著者も指摘するように経済=金の話は何故か避けがちだし、貧困経済問題以外にいろんなものがくっついてきてしまう。いまなら安保とか、原発とかね。「それはそれ、これはこれ」と問題を分けられないのが日本的イデオロギーではないかなと思う。敵味方ではっきり分かれすぎと言えばいいか。

 また、あくまで現場のルポなんだけど、イギリスに対しては現場と政治二つとも見ながら論じているのに対し、日本は政治へのまなざしがちょっと少ないように思えた。もうちょっと突っ込んでほしい。《アベノミクスが明らかに機能していない》とあっさり書くけれど、その「明らかに機能していない」はどこからの考えなのか。反緊縮という立場でいえば、アベノミクスは同じはずでは。問題点があるなら示さないと言いっぱなしで終わる。そして、結局俺がいつもイギリスものを読んで感じる疑問は、やはりここでも残ってしまったな。反緊縮、社会保障、その果てにあるものは? 

 最後にこれは蛇足ですが、草の根から変えていこうというのは、著者が師と仰ぐジョン・ライドンではなく、(俺が何度もここで引用している)彼(というかパンク)の限界を諭したポール・ウェラーの考えだよなとも思ったりしました。

 内澤旬子『漂うままに島に着き』(朝日新聞出版。いろいろなものから離れていった著者が、今度は東京から離れて小豆島に住むまでの顛末記。変わらぬ鮮やかかつドライな感覚で身軽になっていく様は、見ていてうらやましくなる。なるなら自分でもやればいいわけだが、結局は覚悟と行動だ。「身体と心のいいなりになって、私が私でいられるところに着いた。あなたもそうしてみたら?」と背中を押してくれる一冊で、自分も身体と心の漂うままにしたくなる。というか、していいはずなのだ。そうじゃないとおもしろくない。これは内澤さんなりの「東京論」でもあるなと思った。

漂うままに島に着き

漂うままに島に着き