不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

パワーレンジャー/アフタースクール・クラブ


 「はみだし者達の遠い夏の伝説が廃車置場で錆びついてらあ」なんて歌詞が頭に浮かぶ、TOO MUCHとは言わないまでも、「普通」から外れてしまったPAINを抱える、違う色の違う個性の者達による、採石場から始まる土曜日の伝説。
 もっとこうして欲しいとか、クライマックスにあと一味あればとか、多少の不満はあれど、戦隊モノのフォーマットを使ったティーンエイジムービーとして目配せも効いており、見応えあり、戦隊モノに思い入れはほとんどない私でも存外燃えた。変身と活躍が少なすぎると言われているが、個人的にはそこまでの助走こそ描きたいものであったと思うし、むしろもうちょいスクールライフパートが欲しかったくらいだけど、個々の問題は解決されないが、それに向き合う己を変えて再び立ち向かう姿勢になっていたのがよかった。ナオミ・スコットがかわいく、ベッキー・Gとの掛け合いがナイス。女性二人が一番早く行動し、戦闘的というのもいい。
 夏の大作映画はこれで決まり。朝の特撮の時間に本作のCMを流すべき。

皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ/何かあったらこの名を呼べよ


 廃車置場で錆びきったはみ出し者の伝説の始まり。日本産アニメのリアレンジとしておもしろいし、なかなかうまいけど、何だかもったりした映像だなぁ、まぁこんなもんかなと見ていたが、ラスト20分からそのもったりをガソリンにした、決して洗練されていない覚醒と戦いに存外燃えて(いささか展開が早急だとは思うけど)、挙句ラスト一分で全てを持っていった。愛を忘れて疲れ切った男と、愛を求めて壊れかけている女が、血で血を洗う無秩序な現実で、ジーグという嘘だけを頼りに歩いていく。あれほど痛々しいヒーローとヒロインのセックスシーンもそうそうあるまい。アンチヒーローからヒーローへ、あの瞬間を経てからの「ジーグになれる、おまえはジーグ」という歌詞が全てである。私達には物語が必要だ。
 どうでもいい余談だが、筋力アップしたのに走る速度は変わらないんだなとか、セックスの最中の力加減はどうなんだとかは、本作でも『パワーレンジャー』でも生活面で対応できているのか、なんて事は気にしちゃいけないんだろうな。