「エスクァイア」休刊のニュースに想う、雑誌は春のこない「厳冬の時代」に入ってしまったのか!?


海外雑誌日本版にも不況の波!                    「エスクァイア」日本版が休刊へ! さらにコンデナストの新雑誌も......(サイゾーウーマンより)


エスクァイア マガジン ジャパンが発行する情報誌「エスクァイア」日本版が休刊するという情報が入ってきた。
エスクァイア」は、1933年にアメリカで創刊された伝統ある雑誌。"世界初の男性誌"と言われており、87年には日本版が創刊された。以来、日本国内でも男性向け高級雑誌としての地位を確立してきたのだが、ここにきて関係者に休刊の報が通達されたという。


ちょっと前から、「エスクァイア 休刊」の検索で、当ブログに訪れる方がいたので、近いうちに発表があるのかと思っていたら、まだ正式な発表ではないらしいが、関係者には休刊の通達があったという。


エスクァイア」といえば、87年の日本版創刊の当時は話題になったし、かっこいい雑誌だったので、私も読んでいた時期があった。最近は書店で見かけることも少なくなって、手に取ることもなくなっていたが、休刊と聞くとやはり寂しい。


昨年6月に、「雑誌の休刊・廃刊はもう止まらない!?」という記事を書いたときに、男性誌の部数を調べたのだが、「エスクァイア」は日本雑誌協会のマガジンデータで部数を公表していなかったので、広告クライアント向けの媒体資料に公称部数6万部という数字を見つけ、それを書いた(最新の媒体資料には部数は見つけられなかった)。


その段階で、公称6万部ということは、その時点での発行部数はもっと少ないだろうし、その後も部数を減らしているはずだ。この部数では、都市部の大手書店を中心に配本するしかないので、一般的な街の書店では目にとまらないのもうなずける。


出版社の裏事情というのは、当事者が報道する側なのだから、当然表に出てこないので、業界外の人間には確かめようがないが、雑誌は、昨年前半まででも休刊が相次ぐような状況だったのに、リーマンショック以後の世界的な不況に続く、国内の急激な景気の冷え込みによって、業界を問わず広告の出稿量が激減していることは、業界外の人間でも想像はつく。一般企業が一番最初に経費削減するのは、宣伝・広告費だということも理解できる。


しかし、ただでさえネットの台頭により危機を迎えていた雑誌は、今回の「100年に一度の大不況」の波をかぶり、永遠に春がやってこない「厳冬の時代」に入ってしまったのか。


これからも雑誌は買い続けたいと思っている、雑誌世代の私としては、こういったニュースが続くのはショックだし、どうにかならないものかと思うが、生き残るための答えを見つけることは相当大変そうだ。


●ほんとほんやさんのはなしバックナンバー


追記:版元のエスクァイア マガジン ジャパンの親会社のレントラックジャパンは、TSUTAYAを擁するカルチュア・コンビニエンスクラブ(CCC)のグループ会社であることは、今回の休刊とはあまり関連性がないかと思って、昨日のエントリでは触れなかった。


しかし、よく考えてみると、2月12日に発表されたCCCグループの組織変更は、何らかの関連があるのか。また、2009年1月現在539店もあるTSUTAYAの書店全店でプッシュして売れば、1冊の雑誌を存続させることはできないこともないだろう。


ということは、「エスクァイア」のような雑誌はTSUTAYAでは売れない、売る意味がないという判断をしたということなのか。単なる雑誌単体としての編集・販売戦略および経営の失敗なのか、私には確かめる方法がないので、想像の域を出ない。


今後、エンタテイメント系やサブカルチャー系の雑誌や書籍、コミックへのTSUTAYAの影響力は増すばかりだろうから、TSUTAYAが雑誌というものをどう考え、どう売っていこうとしているのか、その考えがあれば知りたいと思うのだが。