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drakiti63の日記

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2017-10-01

入院中につき、お休み

全治2週間

私の好きな

中傷ならぬ

軽症のため

臨時休業です

2017-09-28

韓国短編小説「夕立」後編第2部

”まるで

 藤の花みたいだわ

 ソウルの私たちの学校に

 大きな藤の木があってね

 あの花を見ていると

 藤の木の下で遊んでいた

 友達を思い出すわ”

少女は静かに立ち上がって

斜面になった所へ行く

ツボミが沢山ついた枝を

取って切り始める

なかなか切れない

思いきっり力を込めると

そのまま滑ってしまう

くずのつるをつかんだ






少年が驚いて

走って行った

少女が手を差し出した

手を握って引き上げながら

少年が自分が

折ってやれば良かったのに

と後悔した

少女の右膝に

血の滴がしたたり落ちた

少年は思わず擦り傷に

唇をもっていって

吸い始めた

そうして

何を考えたのか

フッと立ち上がり

あっちの方へ

走って行った





しばらくして

息を切らして

戻って来た少年は

”これを塗れば治るよ”

松脂を擦り傷に

擦り込んで塗って

駆け足で

くずのツルがある場所に

降りて行き

花が沢山ついた

何本かの枝を

歯で噛み切って

上がってくる

そのようにして

”あそこに子牛がいるよ

 そっちへ

 言ってみよううよ”

黄色っぽい子牛だった

まだ花輪も

通していなかった




少年が牛の紐を

短く持って

背中を掻いてやる振りをして

ヒラリと飛び乗った

子牛がピョンと回る

少女の白い顔が

ピンクのセーターが

藍色のスカートが

抱いている花と

一緒になって入り乱れる

全てが一つの

大きな花束のようだ

めまいがする

でも

絶対に降りないぞ

誇らしい気分だった

これだけは少女が

真似することのできない

自分だけが出来ることなのだ







”お前達

 ここで何してるんだ?”

一人の農夫がススキの間を

登ってきた

子牛の背中から飛び降りた

幼い子牛に乗って

腰が傷ついたらどうするんだ

と叱られるような気がした

ところが

頬髭の長い農夫は

少女の方に一度目をやると

そのまま子牛の紐を解きながら

”早く家に帰りなさい

 夕立が来るぞ”

本当に

黒雲の一片が

頭の上に来ていた

突然

四方が騒々しくなった様だ

風がサーと

音を立てながら

通り過ぎる

あっという間に

周りが

紫色に変わった

山を降りて来ると

柏の木の葉から

雨の滴り落ちる音がする

大粒の雨であった

首筋がゾクゾクとした

すると途端に

目の前を

塞ぐ様な雨筋






雨の霧の中に

見張り小屋が見えた

そこへ行って

雨を避けるしかない

しかし

見張り小屋は

柱が傾いて

屋根も

ボロボロに裂けていた

それなりに

雨が漏らないところを

選んで少女を

入れるようにした

少女の唇が真っ青になった

肩をしきりに

震わせていた





木綿を重ねた

上着を脱ぎ少女の肩に

掛けてやった

少女は雨に濡れた目で

一度見つめただけで

少年がするまま

じっと黙っていた

そして

抱いてきた花束の中から

枝が折れて

花が曲がって折れた

花房を選び

足元に捨てるのだった

少女が入って

立った所も

雨が濡れ始めた

もう

そこで雨を凌ぐことはできなかった





外を見ていた少年が

何を考えたのか

キビ畑の方へ走っていく

積んで置いたキビ束の中を

探ってみた

そこから

こちらへ向かって手招きをした

キビ束の中は

雨は漏らなかった

ただ

暗くて狭いのが悪かった

前の出て座っている少年は

雨に

当たらなければならなかった

そうしている

少年の肩から

湯気が立ち上った

2017-09-24

韓国短編小説「夕立」後編第1部

土曜日であった

小川へつくと

数日間、見えなかった少女が

向こう側の水際に座って

水遊びをしていた

知らない振りをして

飛び石の橋を

渡り始めた

暫く前に

少女の前で

一度失敗しただけで

今まで広い道を

通るように渡っていた

飛び石の橋を

今日は注意深く渡った




”ねえ”

聞こえない振りをした

土手の上に登って立った

”ねえ、これ何という貝?”

自分も気がつかないうちに

振り向いていた

少女の澄んだ

黒い瞳と向かい合った

素早く少女の手のひらに

目をおろした

”絹貝”

”名前もとても綺麗だわ”





分かれ道に来た

ここから少女は

下道の方へ

約三里くらい

少年は反対に

約十里近い道を

行かなければならない

少女が歩みを止めて

”ねえ、あの山の向うに

 行ったことある?”

野原の先を指差した

”ないよ”





”私たち、行ってみようか?

 田舎へ来ると一人ぼっちで

 我慢できないの”

”あんな風に見えるけど

 遠いんだよ”

”遠いと言っても

 どれくらい遠いのかしら?

 ソウルにいた時は

 ホントに遠い所まで

 遠足に行ったわ”

少女の瞳が

今にも

”馬鹿、馬鹿”というような

気がした

田んぼのあぜ道に

入って行った

秋の稲刈りをしている

側を通っていった




案山子が立っていた

少年は案山子の綱を

振らした

雀が数羽

飛び立った

”そうだ

 今日は早く家へ戻って

 近くの田んぼの雀を

 見張らなければならないんだ”

という思いがあった

”まあ、面白いわ!”

少女が案山子の綱を

つかんで

振り回した

案山子がしきりに

揺ら揺らしながら

踊りを踊った

少女の左の頬に

静かに

エクボができた





あっちの方にも

案山子がまた立っていた

少女がそちらへ走って行った

その後を

少年も走った

今日のような日は

早く家に戻って

家事を手伝わなければ

という思いを

忘れてしまおうとでも

するように




少女の側を

掠めるように

ただ走った

バッタがピシッと

顔にぶつかる

藍色に思いっきり晴れた

空が

少年の目の前で

回っている

めまいがする

あの鷲め、あの鷲め

あの鷲の奴めが

グルグル回っているからだ





振り返ると

少女はいま自分が

通り過ぎて来た

案山子を

揺らしていた

さっきの案山子よりも

揺れていた

田が終わった所に

小川が一本流れていた

少女が先に

飛び越えた

そこから山の麓までは

畑があった

キビの束を積んでおいた

畑の先端を

通り過ぎた




”あれなあに”

”見張り小屋だよ”

”ここのまくわ瓜、おいしい?”

”おいしいよ

 まくわ瓜の味も

 いいけど西瓜の味は

 もっと美味しいよ”

”一つ食べて見たいな”






少年はまくわ瓜の苗床に

植えた大根畑に入って

大根を二本根元を

抜いてきた

未だ根元が

未成熟だった

葉を捻って

投げ捨てた後

少女に一本渡した

そして

このように食べなければ

いけないというように

先に大根の頭を

一口かじってから

手の爪で

グルッと皮を剥いて

がぶりとかんだ






少女もその通りにした

しかし

三口も食べられず

”あっ

 辛くて

 肥やし臭い!”

と言いながら

投げ捨ててしまった

山が近付いた

紅葉の葉が

瞳に染みた






”やあー”

少女が山に向かって

走って行った

今度は少年が

追いかけては行かなかった

それでも

たちまち少女より

ずっと多くの花を手折った

”これ野菊

 これ萩の花

 これ桔梗花・・・・・・・・”

桔梗の花が

 こんなに綺麗だとは

 知らなかったわ

 わたし紫が好きなの!

 ・・・・・でも

 この洋傘の形をした

 黄色い花はなあに?”

”女郎花(おみなえし)”




少女は女郎花を

洋傘を差すようにしてみせる

ちょっと

上気した顔に

微かにエクボを

浮かべながら

再び

少年は花を

一束折って来た

生き生きとした

花だけ選んで

少女に手渡す

しかし

少女は

”一つも捨てないで”

山の中腹まで

登って行った





向う側の沢の方に

寄り添うように

草葺の家が

数軒集まっていた

誰が言い出した

わけでもないのに

岩に並んで

腰掛けた

やけに辺りが

静かになったようだった

暖かな秋の陽射しだけが

乾きかけている

草の匂いを

振り撒いていた

”あれはまた

 何と言う花なの?”

相当に斜面になった所に

ツルが絡まって

花を咲かせていた

では、また、明日をお楽しみに

2017-09-22

臨時休業

体調不良のため

本日

予定の韓国短編小説の続きは

明日以降に

延期します

申し訳ございません

2017-09-21

韓国短編小説「夕立」前編

少年は小川のほとりで

少女を見ると直ぐに

ユン・チョシ家の

ひ孫のということがわかった

少女は小川に手を浸して

水遊びをしているところだ

ソウルでは

こんな小川の水を

見られないかのように




もう何日間も少女は

学校からの帰り道で

水遊びをしていた

ところが昨日までは

小川の岸で

遊んでいたのだが

今日は飛び石の橋の真ん中に

座って遊んでいた



少年は小川の土手に

腰掛けてしまった

少女が道を退いてくれるのを

待とうというのだ

幸いにも通りかかる人がいて

少女は道を

退いてくれた





次の日は

少し遅くなって

川辺に出かけた

この日は

少女が飛び石の橋の真ん中に

座って、顔を洗っていた

ピンクのセーターの袖を

たくし上げた

腕と襟首が

とても白かった

暫く、顔を洗っていたが

とても白かった

暫く顔を洗っていたが

今度は水の中を

じっと覗き込んでいる

顔でも映して

見ているのだろう

いきなり水を

しっかりすくい上げた

小魚でも

通り過ぎるのかのごとく




少女は少年が

小川の土手に

座っていることを

気づいているのか、いないのか

ただ

素早く、水をしっかりと握っている

しかし、その度に

徒労である

そうしているのが面白いらしく

しきりに川水をすくい上げる

昨日のように

小川を渡る人がいなければ

道を退けてくれない様子だ




そうしているうちに

少女は、水の中から

何かをつかみ出した

白い小石だった

それから、スッと立ち上がって

ピョンピョンと

飛び石の橋を

橋って渡っていった

全部を渡り終えると

フッとこちらを振り返りながら

”この お馬鹿さん”

小石が飛んできた

少年はわけも分からず

サッと立ち上がった




短い髪を

激しくなびかせながら

少女は、ひたすら走る

葦原の小道の中に

入って立ち止まった

後ろには

清涼な秋の日差しの下に

映える葦の花だけ

もう、あの辺の葦畑に

少女が、現れるだろう

とても長い時間が

過ぎたように思った

けれども

少女は、現れない

背伸びをしてみた

それからも

かなりの時間が

経ったように

思われた




ずっと向こうの

葦原の先端で

葦の花が

一握りほど動いた

少女が葦の花を

抱いていた

そして、今度は

ゆっくりとした

歩き方だった

とりわけ澄んだ

秋の日差しが

少女の足の花の先から

光っていた

少女ではなく、葦の花だけが

野道を

歩いていくようだった

少年はその葦の花が

本当に

見えなくなるまで

そのまま立っていた

ふと

少女が投げた小石を

見下ろした

水気は、乾いていた

少年は小石を拾って

ポケットに入れた




次の日から

もう少し

遅くなって

川辺に出かけた

少女の姿は、見えなかった

幸いだった

しかし、不思議なことがあった

少女の人影が

見えない日が

続くほど

少年の胸の片隅には

どこか

虚しさが

忍び込んでいた

ポケットの中の小石を

いじくる癖が

できてしまった





こうしていたある日

少年は、前に

少女が座って

水遊びをしていた

飛び石の橋の真ん中に

座ってみた

水の中に手を浸した

顔を洗った

水中をのぞき込んだ

黒く日焼けした

顔がそのまま

映っていた

嫌だった





少年は両手で

水の中の顔を

力を込めて、掴んだ

何度も、掴んだ

そうしているうちに

急にはっと、驚いて

立ち上がってしまった

少女がこちらの方に

渡ってくるではないか

”隠れて僕が、やってること

 のぞいていたな!”

少年は、駆け出した

踏み石を踏み違えた

片足が水の中に落ちた

もっと走った



身を隠す場所があってくれたら

良かった

こっちの道には

葦原も無い

蕎麦畑だ

前には、匂わなかった

蕎麦畑の花の匂いが

ツンと鼻を刺したと思った

眉間がくらっとした

少し塩辛い液体が

口の中に

流れ込んだ

鼻血だった

少年は、片手で

鼻血を拭きながら

そのまま走った

どこからか

”馬鹿、馬鹿”

という声が

しきりに

追いかけてきているようだった

  明日へ、続く