聖書の言葉 幼稚園保護者向け

2023年3月までの文章は菊池牧師、2023年4月からは小林美恵子牧師による文章です。

2018年 3月

「あなたの未来には希望がある。」  エレミヤ書31章17節                               
 先月、幼稚園でも行いましたが、時々、キリスト教関係だけでもなく、色々な集まりからお話を、とお願いされることがあります。本当に感謝なことです。そのような時によく話をさせて頂くのは、人生には四つの生き方があって、「マイナスからマイナス」、「プラスからマイナス」、「マイナスからプラス」、「プラスからプラス」の四つですと話します。

マイナスからマイナスの生き方は、今もダメだけれど、明日もダメだろう。今日もダメだけど、将来もダメだろう。という生き方です。とてもネガティブで、否定的な生き方です。実は私は、キリスト教を知る前にはこのような生き方をしていました。難しい言葉で言うと「刹那的」な生き方といいます。生まれてきて良いと思えたことは一つもなく、現在も良くなく、将来にも希望がない。生きていても楽しくなく、なぜ生きているのかさえよくわからない。そんな経験をしない方が良いと思いますけれど、時として思春期から青年期にかけて、このような生き方をする人がいます。将来に希望がないと思うと、周囲も自分もどう生きて行けば良いのかわからず苦労の連続です。二つ目は「プラスからマイナス」の生き方です。今は大丈夫だけど明日には希望が無いという生き方です。今はなんとかなっているけれど、将来はわからないと考えてしまうと希望を失っていきます。「お金持ちの頭の中には、中、長期的な自分の人生の展望と計画がある」という文章を先日読みましたが、なるほど!と思いました。私にはそんな展望も計画もありませんから、お金持ちではないのかと、勝手に(笑)納得していました。けれど、将来に展望がありませんと、今は良くても、希望なしの人生は虚しいものになるのでないでしょうか。それよりも、三つ目の「マイナスからプラス」の生き方は良いように思われます。今はダメだけれど、明日はより良くなると思って生きる生き方です。頑張り屋さんや、自分に自信がある人などは、このような傾向があると思います。では、何が良くないのかというと、今はダメと思う所です。今とは、「今」「この時」「現在」のことです。実際のところ、私たちは過去でもなく、将来でもなく「今」に生きていますから「今」がダメだと、このダメがずっと続くことになるかもしれません。だから、大切なことは四つ目の「プラスからプラス」の生き方なのです。「今」も良いけど、明日も良い、明日も良いけど、将来も良い、大切なことは「今」をプラスとして受け入れることです。私たちが悩むのは、実は「今」のことです。過去のあのこと、このことが悩みの種になっているとしても、その悩みは過去にあったのではなく、今も継続して悩んでいるから悩みなのです。だから「今」をどう生きるのかがいつも問われているのだと思います。

 エレミヤという旧約聖書預言者は、紀元前630年〜580年頃、イスラエルで活躍した人です。この頃のイスラエルは、敵国のバビロンという国との戦いに敗れ、国は崩壊し、既に国の機能を失っていた時代に生きた預言者です。イスラエルの最も苦しい時代であったといえるでしょう。将来が全く見通せず、自分の命さえもどうなるかわからない状態でした。けれどエレミヤは、主なる神の御言葉をイスラエルの民に伝えるのが役割ですから、必死になって御言葉を話しました。その一つが「あなたの未来には希望がある」という御言葉です。雰囲気としては「マイナスからプラス」のようにも受け取れますが、今をプラスにしなければ、本当の力が与えられません。あなたと、あなたの子孫の将来は「今」にかかっている、だから今を大切に生きていきなさい。と必死にエレミヤは人々を力付け励まし続けました。私たちも、私たちと私たちの子どもの将来は「今」にかかっているのだと思います。「今」を、心を込めて大切に生きていきましょう。