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2012-01-04

大学が育てるウェブ上での学びの担い手

| 02:14 |

MITのOpen CourseWareからOpen UniversityUniversity of the People、そしてKahn Academyなどに至るまで、ウェブ上での学びを促進する取り組みが多彩に広がりつつあります。例えば、Marc And Angel Hack Lifeというブログには、1年ほど前のエントリですが、無料で学びに利用できるウェブ上の素材として100以上のサイトへのリンク先を上げています(こちら)。その一方で、欧米の大学では近年、こうした学びを形作る側の人材育成も本格化してきているように思えます。遠隔地教育や教育におけるテクノロジーの活用などを先行する修士課程があちこちに生まれてきているのです。今日はそんな話を書いてみます。

こうしたプログラムには、「E-learning」や「Technology in Education」といった名称が付けられています。中には全てのカリキュラムをオンラインで提供しているコースもあるので、そのいくつかを紹介します。

エディンバラ大学「MSc in E-learning」

オープン・ユニバーシティ(イギリス)「MA in Online and Distance Education」

コロンビア大学「Online Masters in Computing in Education」

ミシガン大学「MA in Technology in Education: Global Program」(夏に3週間ジュネーブでの実地研修あり)

ブリティッシュ・コロンビア大学「Master of Educational Technology」

受講対象は、教師向けから、広く教育産業でカリキュラム設計に関わる人、企業やNPOなどでのトレーニングやアウトリーチ活動に携わっている人など、プログラムによってさまざまです。いずれも、受講生がウェブ上の学びの仕組みやデザイン、効果的な進め方を、自らオンライン講義の受講生として学ぶという興味深いシステムになっています。

同種の課程は、オンライン限定にしなければ、もっと多くの大学で提供されています。これらのプログラムを修了した学生の多くは、公的な教育システムの内か外かに関わらず、何らかの形でウェブを使った教育や学びに関わっていくはずです。梅田望夫さんと飯吉透さんの著書『ウェブで学ぶーオープンエデュケーションと知の革命』](2010)に、ウェブ上のオープンな教材や教育ツールは、それを使いこなすための教育的知識やノウハウがあってこそ生かされるといったことが書かれていましたが、彼らこそ「知識やノウハウ」の部分を担っていくことになるのではないでしょうか。

ウェブ上で既に公開されているコンテンツの質を判断し、利用方法を考える目利き役、新たに必要となるコンテンツの調達役(コンテンツの制作自体は、自身で行うことも、その道のエキスパートに委託することもあるでしょう)、それらを組み合わせて一貫性のあるコースを組み立てるデザイナー、さらには、そのコースを利用者が途中で投げ出すことなくフルに活用してくれるように気を配る調整役etc。こうしたスキルを持つ人材の必要性は、今後ますます高まってくることでしょう。そうした人材を制度的に育成して行こうとする、速やかな大学の動きは、注目に値するものだと感じます。