
[記事一覧] [政治] [歴史] [靖国] [天皇] [極東] [欧米] [反日] [売国] [社会] [報道] [科学] [読書] [音楽] [雑感] [資料]
2005-12-28
■[社会][欧米] 「日本的経営」を潰したのは誰か
昨日の朝、テレビを見ていたら、誰かが「仕事は会社のためではなく、自分のためにするものである」と言っていた。そりゃ、まあそういう面もあるだろうし、私なんかも偉そうな事を言えないが、「組織よりも個人」という価値観をことさら素晴らしいことであるかのように言い立てる風潮はいったい何だろうかと不思議に思う。
誰だって放っておけば他人より自分の事優先になるだろうし、組織のためより自分勝手に生きようと思うだろう。だからこそ、「自分のために生きろ」などという事をふりまくよりも、責任感だとか義務だとか、そういうものを大切にするべきだと思うのだが。身勝手な人間が増えている最近においてはなおさらだと思う。
このような個人主義が蔓延しやすい一つの土壌として、戦前・戦中は個人が国家のために「犠牲になった」ことに対する過度の反省があると思うが、そこへ来て、日本人のアメリカコンプレックスと、アメリカの戦略というこの3つの要素があると思う。
日本人がアメリカ人の真似をしてもアメリカ人にかなうはずがないのだから、日本の良さ、利点、強さというものをもういちど過去の成功から見直す必要があるのではないかと思う。
で、「国富消尽」をパラパラと見ていたら、最後に関連することが書いてあった。
- 作者: 吉川元忠,関岡英之
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2005/12
- メディア: 単行本
- 購入: 2人 クリック: 26回
- この商品を含むブログ (31件) を見る
◆集団主義的価値観こそ日本の強み・・・・関岡
(前略)
日米通商摩擦のころに読んだ米国人が書いた本のなかで非常に印象に残っている記述があります。「個人対個人なら、米国人は日本人に勝つことはわけもないが、集団対集団、組織対組織となると勝てない。なぜなら米国人は集団になると、誰もが内輪でリーダーシップを争い、あるいは功を競って足を引っ張り合い、気がついてみると集団で結束してことに当たる日本人に水をあけられている」と、その米国人は書いていたんです。おそらく米国は、そのことを日米通商交渉のなかで学習したのでしょう。そして日本人の集団主義に楔を打ち込み、個人主義という自分たちの土俵に引きずり下ろそうと考えたのではないか。
まあ、ここだけ読むと「陰謀論」と思われてしまうかもしれないし、続きも以下で引用します。
で、アメリカ人が優れていると思うのは、分析力だと思う。日本の「強さ」も日本人以上に分析して理解していると思う。で、その日本の強さがアメリカにとって脅威となりうるものならば、彼らは巧妙にそれを潰しにかかる。このやり方もまた巧妙である。日本人はお人好しでだまされやすいし、アメリカに対する強いコンプレックスがあるので、すすんで協力したりする。
「日本的雇用慣行を維持している」という理由でトヨタの格付けを引き下げた米国の格付け会社がありましたが、バブル崩壊の煽りでちょうど日本人が自信を失いはじめた時期、米国の経済ジャーナリズムや日本経済新聞などが中心になつて、終身雇用や年功序列といった日本的経営に対するネガティブ・キャンペーンが始まりました。その結果、日本的雇用慣行が崩れ去り、中高年のサラリーマンは年下の上司との人間関係に呻吟したり、リストラである日突然、街頭に放り出されるようになりました。
さらに日本企業は、米国系コンサルティング会社のセールス・トークに踊らされ、こぞって「成果主義」という米国流の人事評価制度を導入しました。成果主義では、チームワークではなく、あくまで個人の貢献度が競わされます。
こうして日本の組織や企業社会がゲマインシャフト的なものからゲゼルシャフト的なものへと激変していくなかで、日本人の会社への忠誠心や帰属意識は急速に摩減していきました。(中略)若い人々もそうした風潮を敏感に察知して、フリーターからニートへと、集団へ帰属することを忌避して「個」のなかに引きこもるようになつています。
まあ、このような流れなのだろう。上で日本経済新聞の話がちょっと出てきているが、この新聞、朝日新聞とは別の意味で反日的とすら言える(朝日と同じ意味での反日色もあるが)。「バブル」「IT革命」「成果主義」「中国経済」を無責任にあおってきた。
- 作者: 東谷暁
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2004/11/23
- メディア: 単行本
- 購入: 2人 クリック: 75回
- この商品を含むブログ (22件) を見る
で、そのような、アメリカとアメリカかぶれの日本人によって繰り返されてきたプロパガンダによって、現状はどうなってしまったか。アメリカ人は日本人の良さを取り入れているのに、日本はその強みを自ら捨ててしまったと言って良い。以下驚きの世論調査結果・
そしていま、わが国の現状は、まさに惨憺たるありさまです。2005年5月13日付の朝日新聞で紹介されている米国の世論調査会社ギャラツプの調査結果によると、会社への帰属意識や忠誠心や仕事への熱意は、調査が行なわれた一四カ国のなかで、何と米国が世界最高、そして日本が世界最低だったそうです。目を疑うような結果ですが、これは単に日本の国際競争力などといった産業や経済のレベルにとどまる話ではありません。未曽有の国難といっても過言ではない、国家の浮沈に関わる事態です。
日本人が個人主義へとどんどん傾斜していき、その最大の強みであった集団への一体感と忠誠心を失っていく。いかなる集団へも帰属意識を持てない、孤独な個人が刹那主義に陥り、世の中の出来事に対する当事者意識を失い、外資に支配されて何が悪いという、誇りなき時代精神を醸成している。今日の日本の国力の衰退の真因は、まさにこの一点にあるのではないでしょうか。
この惨状から立ち直るには、米国的価値観への迎合から決別し、われわれの父祖たちが築き上げてきた歴史と伝統の価値を再発見し、日本人が自信と誇りを取り戻す以外にありません。まだまだ勉強不足ですが、私自身これからそういうことを突き詰めて考えていきたいと思っています。
で、ここで書かれている集団主義についてはいろいろと定義や反論もあるかもしれないが、少なくとも「日本的経営」というレベルでみれば、それははっきりしているし、グローバルスタンダード(これはウソ英語らしい)なるものとは違う日本独特の形態であったのには違いない。それについては、「■[政治] 構造改革とは何か?」で西部邁の「無念の戦後史」から引用したが、さらに手短に抜き出して引用する。
技術革新にたいするものを含めた旺盛な勤労意欲と堅実な勤労態度、オイル・ショックを乗り超えさせたのは(当時の)この国民的な資質であった。
強い勤労意欲と良い勤労態度をもたらした原因は何か?
日本の歴史的な産物である日本的集団運営法が日本の高度経済成長および高質技術発展を支えたのです。この歴史的な勝れ物が持っている性質を「終身雇用、年功序列賃金そして企業内組合」の三点セットで表すのが普通です。
その三点セットは、人々の集団を「目的の共有」と「役割体系の確認」の面で強化して、「組織」に仕立て上げるための手立てであったのです。
勤労・労働の発揮のされ方の長期的な見通しをを少しでも確かなものにすべく組織が形作られるのです。
組織において「人間」が「長期」にわたって雇用されるということは、それらの組織構成員のあいだで、「価値」が共有され、「慣習」が普及され、「権力」が承認されるということなのです。つまり、価値という(意思疎通の)媒体を通じてコミュニティ(共同体)が、慣習という媒体を通じてソサイアティ(社交体)が、そして権力という媒体を通じてポリティ(政治体)が、経済の基底に横たわるということになります。
経済は、表面ではマネー(貨幣)という媒体をめぐるエコノミー(経済体)とみえるでしよう。しかし根底では、文化、社会、政治のすべてにかかわるコムプレックス(複合体)なのです。
![]()
- 作者: 西部邁
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/08/19
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 8回
- この商品を含むブログ (21件) を見る
社員は会社に帰属意識を抱き、会社の側は「三点セット」を持ってその意識に応えることにより組織が長期にわたって維持・存続可能となり、そしてまた組織が強固なものになり、会社は安定的に存続し、拡大・発展してきた。それなのに、社員の意識の側からは個人主義の浸透によって、また会社の側からは「三点セットの放棄」つまり日本的経営の否定によって、共同体としての会社を、契約で一時的に集まっただけのバラバラの個人の寄せ集めに変えてしまいつつあるという事だろう。
ともかく、最近の個人主義の風潮はかつての日本人の価値観とはずいぶん違ったものである。この「個人主義」にしたって、徹底しているのはアメリカくらいで、それが特別普遍的な価値ではないと思うのだが。どうもアメリカ人の徹底した個人主義というのはプロテスタンティズムと関係しているのではないかと思うが、ちょっとそのあたりは調べてみたい。
ともかく、この「国富消尽」という本、読みどころ満載であるし、かなりインパクトある内容だ。郵政民営化や小泉構造改革に賛成の人も、どうかこの本を読んで、そして説得力ある反論を展開していただきたい。でなければ、私の最終判断は、やはり郵政民営化は、より良い民営化のしかたがあったかもしれないという可能性は別にして、先に通過した郵政民営化法案による民営化は間違いであり、そして小泉構造改革路線のその先に待ち受けている日本の将来は、破滅とまでは言わないまでも、衰退への道に通ずるとしか思われないのである。ん?なんか文章がおかしくなってきた。
あ、私がどう思おうが関係ありませんか。そうですか・・・。
いずれにしろ、この本と関連した内容を、しばらくは追ってみたいと思う。
↓クリックしていただけると書く意欲が増します。
- 作者: 吉川元忠,関岡英之
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2005/12
- メディア: 単行本
- 購入: 2人 クリック: 26回
- この商品を含むブログ (31件) を見る



















