太田忠司『黄金蝶ひとり』
- 作者: 太田忠司
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/01/31
- メディア: 単行本
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太田忠司は少年を主人公にした作品を多くものしているが、それらの作品に共通するのは「保護者を描く」ことの巧さだ。本書でもそれは例外でなく、少年・洸を見守る祖父・義明の温かい視線が作品から感じられる。こういった大人と子どもの関係の表現手法はジュブナイルの王道といってもよいであろう。ただ、宝の正体や処理の仕方や作品全体に対する仕掛けが安易な感じがする。後者は作品そのものがミステリであるから、という性格によるものだろうけど、この作者は――とりわけジュブナイルものではそういったものを使わなくても十分勝負できる力を持っていると思う。