博士課程院生のフランス留学

2007-11-25 特別研究員DCの在外研究

[][]「研究指導の委託」って?

特別研究員DCが海外において在外研究をする場合(PDの場合はまた別です)、「資料収集」か「研究指導の委託」のどちらかによるものでないと、認められないことになっています。

「資料収集」は短期の在外研究にはいいと思いますが、私の場合は長期で留学したかったので、「研究指導の委託」の方法を採ることにしました。


この場合、所属研究科からその承認を受けた旨の証明書と、海外渡航届を、渡航の1ヶ月前までに学振に出すことが必要となっています(2007年の場合)。

※注:この「海外渡航届」には、所属研究科長の印ではなく、所属大学総長の印が必要なので、お間違いなく!


「研究指導の委託」というのは、この件で初めて知りましたが、何も学振が作り出したものなのではなく、日本の大学院であればどこでもあるはずのれっきとした制度みたいです。

そこで、うちの大学院研究科規則を調べてみたところ、教授会の承認があれば、所属院生を海外の大学院で研究させることができるとのこと。

ということで、大学の事務(学事係)に相談したところ、


フランスの受入教授による受入れ承諾書

・「研究指導の委託」を申請する趣旨を説明した文書


を出すようにとのことでした(※あくまでも私の大学院の場合です)。

そこで、教授会に提出する用に、申請の趣旨を説明した「『研究指導の委託』による在外研究承認願」なるものを自分で作成しました。

様式なども、それらしく見えるように学振のその他の文書等を参照しながら、自分で作りました。

ここには、申請をする手続的な理由(DC2との関係で必要)と、実質的な理由(なぜフランスで研究をしたいか)の両方を書きました。


それから、特に求められてはいなかったのですが、主に事務の方に対してお願いするために、「研究指導の委託承認証明書交付願」というのも作成して、事務に提出しました。

ここには、学振に提出する用の日本語の証明書1通と、私が行くことになるフランスの大学に提出する用のフランス語の証明書1通を交付してもらうようにお願いしたい旨を書きました。


4月の半ばにこれらの書類を提出したところ、5月の教授会で無事に承認をいただき、5月半ばに、証明書も入手することができました。

[][]フランスの大学での身分は?

「研究指導の委託」の場合、よく分からないのは、フランスの大学で一体自分はどういうポジションになるのか?ということです。

これは、取得するビザの種類(学生ビザ研究者ビザか)と、フランスの大学での手続(Master2に登録するのか、Doctoratに登録するのか、日本でいう研究生として所属することができるのか)に大きく影響するので、非常に重要なポイントかと思います。


特別研究員DCの規定によれば、海外の大学で学位をとる目的の留学はできないということになっています。

手がかりはこれだけ。

私はこれを読んで、フランスの大学の学部やMaster2には登録してはいけないのだと解釈しました。

ではDoctoratに登録することはできるのか?

でもDoctoratだって博士の学位をとることを目的にした課程なのでは?そもそもフランスの大学に正規に登録をしてはいけないのではないか?


よく分からなくなってきたので学振に電話をして問い合わせたところ、


学振側では、渡航先の大学でのポジションについては関知していない。

・取得するビザについても特に学生ビザ(あるいは研究者ビザ)でなければならないといった条件はない。

・渡航先の大学や大使館からの指示に従うように。


とのことでした。

でも、「渡航先の大学」からは、「あなたはどういったポジションで留学したいのですか」と聞かれるわけですから、結局は、自分がどういうポジションで留学したいかによるというわけです!

つまり、自分で決められるということ!!


私は以前、フランスの受入教授から受入れ承諾をいただいた際に、その先生から

「Master2に登録しますか?それとも自由聴講生(auditeur libre)として留学しますか?自由聴講生でも研究室や図書館は使えますよ。」

というお話をうかがっていました。

私はかねてから、日本でいうところの「研究生」の立場で留学したい(研究に集中できるし、出ようと思えば授業にも出られるし、指導教授との面談もあるし)と思っていたので、この「自由聴講生」がいいと思ったわけです。

(※ちなみに、この「自由聴講生」というのはれっきとした独自の身分で、登録料も支払う必要があります。)

なお、そのときに、「Doctoratに登録しますか?」という選択肢は提示されなかったので、おそらくMaster2のDiplomeを持っていない私では難しいのだろうと思って問い合わせなかったのですが、今から思えば、Doctorat登録の可能性も探ってみてもよかったのかもしれません。


では、「自由聴講生」でと思ったところ、それではビザ取得の際に問題があることが分かりました。

「自由聴講生」では、フランス大使館から学生ビザを発行してもらえないとのことです。

そこで、私が行くことになっているフランスの大学の留学生課に、登録(inscription)はしないけれども研究留学をすることはできるか?、その場合、ビザはどうなるのか?(研究者ビザか、学生ビザか?)と問い合わせてみました。

その担当者によると、登録なしの研究留学は可能とのこと。

そして、ビザについては、わざわざそれを管轄している警察庁に彼女が問い合わせてくださいました。

警察庁の回答は、奨学生であるならば、学生ビザとしての扱いが可能とのことでした。

奨学生かどうか・・・

特別研究員がもらっている研究奨励費って、厳密には、奨学金ではなくて「給料」だということになっているけれど・・・そんなことはとやかく言われないだろうと思って、「奨学生です」と返事をし、学生ビザを取得するための手続に入ることになりました。

[][]ビザ申請

必要とされた書類は以下の通りです(2007年7月時点)。


・長期ビザ申請書

・証明写真(カラー・背景白、35×45弌顎から頭までの長さが写真全体の70~80%以内のもの)2枚

・受け入れ先機関の入学許可書 原本1部+コピー2部(氏名、受講期間、6ヶ月以上の学校登録期間と週20時間以上の受講時間が明記されているもの)

奨学金証明書(英文または仏文) 原本1部+コピー1部

パスポート原本+パスポートの証明写真ページのコピー(1部)

・最終学歴を証明する書類(私は英文のものを提出しました) 原本1部+コピー1部

履歴書(仏語か英語)

フランスに行きたい理由を具体的に綴った動機書(仏語か英語)

フランス語レベル証明書(ある場合)(大学の成績表、語学学校の在籍証明、ない場合は動機書にどのように、どのくらいの期間勉強してきたか説明)

・600円切手を貼った返信用封筒(パスポートが入る大きさ)

ビザ料金7000円前後(現金支払い)

・アンケート用紙

※原本は返してもらえます。


東京在日フランス大使館に直接出向かないといけないので、書類は入念に揃えていったほうがいいと思います。

意外に盲点なのが、「パスポート(原本)」。

私が申請した日には、パスポートのコピーは持ってきていたのに、パスポート自体を持ってくるのを忘れて、脱力して泣きそうになりながら帰っている人がいました。

たぶん遠方から来られたんだろうな・・・


あと、場所が少し分かりにくいです。

大使館の入り口の横にある、小屋のような小さな建物が、ビザ申請専用になっています。

想像以上に狭い場所で、座って用紙を記入できるようなスペースはなく、皆さん立って窓口に行列しています。

当日、待ち時間の間に記入すればいいかとかは考えず、事前にできるだけ記入して用意していくことをおすすめします。


で、肝心の申請ですが、特に留学先でのポジションについて質問されたりすることもなく、用紙を渡したらすんなり受領されたのでほっとしました。

奨学金証明書については、学振に英文での証明書の発行をお願いし(申請する際には所定の用紙が用意されています)、その証明書ですんなりOKでした。

受け入れ先期間の入学許可書については、私の場合、Lettre d'accueilというものを先方の大学の事務が用意してくださいました。

「週20時間以上の受講時間」なんてどこにも記載されていないものだったので、本当にこの文書で大丈夫なのかハラハラしましたが、これもすんなりOKでした。


ちなみに、Lettre d'accueilを取得するために必要な書類は、以下のようなものでした。

奨学金受給証明書(これも学振からの特別研究員の証明書で大丈夫でした)

・現在の所属研究科からの(留学承認の旨の)証明書

・留学中の事故、医療費、病気、本国送還等をカバーする保険加入証明書(←後からでもよい)

ビザ申請時に必要なので、早めに取得しておくと安心です。

私の場合、5月中旬にこれらの書類を先方に送付したら、5月末にはLettre d'accueilが届いて、フランス人とは思えない事務処理の早さに驚きました。


ところで、ビザの有効期限ですが、私は、ビザを申請したとき(あるいはビザが発行されたとき)から3ヶ月の有効期限なんだと思っていたので、できるだけ遅い時期に申請したほうがいいと思い、7月半ばに申請して、7月末にビザつきパスポートを受領しました。

でも、受領したビザを見てみたら、有効期限は9月〜11月となっていました!

申請時期は関係なかった?!

初めに、9月に渡航するということを伝えていたので、そのおかげかなと思います。

だから、渡航する月が決まっている人は、それをビザ申請時にきちんと伝えれば、ビザ申請のタイミングをそれほど気にしなくてもいいのかもしれません。


このときは、面倒な手続を経てビザを無事に取得できてやれやれと思っていましたが、この後もまだまだ面倒な手続が待っていました。それらについては、また日を改めて。

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