西村真吾氏の暴言についての朝日社説に思う

9月17日付の朝日新聞の社説に「「狙撃」発言 口に出すおぞましさ」と題する文章が載りました。民主党の国粋派議員として知られる西村眞吾衆議院議員小泉首相について「あれは狙撃してもいい男なんです」と発言したことを批判する文章です。


西村氏ならいかにも言いそうなことなので、私は暴言自体は特に気になりませんでした(すぐに撤回していますし)。しかし、記事中の次の部分が引っかかりました。

 それにしても解せないのは、西村氏が民主党にいることだ。小沢一郎氏の率いた旧自由党に属し、後に合流した経緯はわかる。しかし、民主党はアジア重視の外交を唱え、岡田代表は首相の靖国神社参拝に反対している。

 一方の西村氏は靖国参拝に賛成したうえ、日本の過去の戦争は自存自衛のためであり、侵略戦争ではないと断言する。

朝日新聞のみならず、2ch辺りで西村氏の国家観に賛同する人の中にも「西村氏はなぜ自民党に行かないのか」と不思議がっている人がいます。


私は全く不思議だと思いません。西村眞吾氏と自民党の右派の人たちは、確かに靖国観や国家観は共通していますが、経済政策に関する考えは全く異なります。


巷の保守ブログや2chの書き込み等を見ると、靖国観や国家観で同意できるか否かで政治家を判断する人を少なからず見かけます。しかし、それだけで政治家を「右」「左」に分けて支持不支持を決めてしまうのは如何なものかと思っています。経済政策観での右派(小さな政府主義)や左派(計画経済主義)も存在するからです。


そういえば、先の総選挙で堀江貴文氏が事実上自民党の支援を受けて立候補した際、「何故天皇制に疑問を持つような人物が自民党なのか? 民主党の方が近いのではないか」という意見もありましたが、これも堀江氏と自民党の経済観に共通点があったからでしょう。


小泉首相自身は靖国神社に思い入れのある人。一方、私は靖国神社が嫌いです*1。にもかかわらず、私は小泉首相を支持しています。その他の諸政策では概ね合意でき、実績もそれなりに評価しているからです。仮に国益を損なわないような配慮が可能であれば、首相が靖国神社に参拝しても構わないと思っています。


特に靖国問題は個人の思想感情に強く依存する問題なので、拘りたくなる人の気持ちは分かります。でも、財政再建構造改革が急務とされる日本の政治状況では、敢えて思想的な拘りをある程度封印して判断することも必要ではないかと考えます。

*1:この点についてはメインブログのエントリ高橋哲哉『靖国問題』感想を参照してください