励磁電源

励磁電源です。製作法を簡単にご説明します。
まずはこれ。

ケースを欲張らなかったら3000円以内で製作できるはずです。


トランスって数千円しますからこれを省けるメリットがあります。


各々のスピーカーユニットには図中のresistorの値を変えて出力電圧を調整します。


まず、フィールドコイルの抵抗値 R をテスターで調べます。
もちろん最初から R 、さらに動作電圧 V が判っている場合その必要はありません。
V=I×Rから、Iが判り、上記回路中のResistor値が下の式3から、すぐに求まります。

試行錯誤する必要のなよう、極力動作電圧をネット上などで調査した上で回路設計しましょう。


動作電圧が判らない場合、大体フィールドコイルの消費電力は6W〜18Wくらいです。
20cmなら6W、30cmで10W、38cmで18W・・・
これは私の持っているユニットの実例であり、他にも例があるかもしれません。


Resistorの決め方ですが、適当に消費電力 W を仮定した上、

W=I^2×R・・・・・・・・・・・・・・式1

から回路に流れる電流 I を算出します。

さらに

V=I×R ・・・・・・・・・・・・・・・式2

から欲しい出力電圧 V を求めます。

式1と式2から求まった I と Vとを式3に代入すれば
Resistor値が求まります。


V=100×√2-I×Resistor ・・・・・・・式3


ここで100は家庭用電源電圧の100Vの事です。これからブリッジ整流すると、
√2倍の電圧の直流(脈流?)が得られるの意です。


実際にフィールドコイルをつないで発熱状況を手で触って確認し、
熱くならない程度の電圧になるようResistor値を調節しましょう。


抵抗、ダイオードの容量は動作時の3倍程度を見ておきましょう。
コンデンサの耐電圧は1.5倍、その容量は3〜100μF程度と大雑把でOK。


この回路、経済性は良いのですが、ケースを触るとピリピリ来ます。
感電するのです。
さらに恐ろしい事に、他の家電と電気的に接触した場合、相手もトランスレスだった場合、
いわゆるショートが起こって家が燃えちゃう可能性があるのです。

ですから、この回路を用いる場合には、ケースはプラスチックに
するのが吉です。


そこで次の回路。
トランスが入ります。これで感電、火災からの恐怖から逃れられます。

ちなみにこれはコイル抵抗700ΩのJENSEN F12Nおよび1400Ω前後の独逸製20cmフィールド兼用です。
さらに動作条件が判らないユニットを手に入れた場合に
電圧を細かく調整できるようになっています。


トランスの電流容量(AC)は上図のようなブリッジ整流だとほしいDC電流の1.5倍みてください。

私が使っているトランスは、リンクリストに載せてある春日無線の特注トランス(一番小さいサイズ)です。
一次側二次側端子をセレクトすることで、3×4=12通りの電圧を楽しめます。
一次側に90V端子、110V端子があるのはこれらも家庭用100Vにつないで切り替える事により
二次側に発生する電圧を0.9倍したり、1.1倍したりするためのものです。


心配しないでください。これでもコミコミ1万円以内で製作できます。

微妙に電圧を変えると音が変わるのかと思ったのですが、
微妙に変えたくらいでは、私の耳レベルではあまり変化ないです。低音の量感が変化します。
本質的な部分はフィールド型であるか、それ以外であるかの差の方が大きいです。


話を戻して、上図ではチョークコイルを使ってますが適当な抵抗でもOKです。
チョークの電流の余裕は1.2倍程度でも良いでしょう。
抵抗の電力容量なら3倍ですよ。熱くなって気分が悪いですから。
電力容量は
W=I^2×Rから求めてくださいね。

巷では定電流電源が良い、その他いろいろ定説めいたものがありますが、
とにかく一度、フィールドコイルスピーカーの音を自分の部屋で従来のシステムと
比較してからお金をかけたらどうでしょうか?



右がフィールド電源初号機。トランスレスです。
左が初号機で試したF12Nの音に気をよくして作ったトランス付。