特注トランス

世の中の既製トランスは45,2A3,300Bなど入手しやすく出力も手ごろな直熱管または6.3V系傍熱管を用いた”ステレオ”アンプに適した+B電圧、ヒータ電圧が取り出せるようになっているものが多い。
上述以外の真空管、たとえば7.5Vのヒータを持つ10または50を用いると、ステレオシングルで7.5Vのタップが最低2つ必要になるが、市販品のトランスでそのような仕様のトランスは私の知る限りない。ただし、0−2.5Vと0−5Vのタップを直列につないでなんとか2つめの7.5Vが取り出せるようにしてあるのを見落としているかもしれない。

私の場合、既製品が不適合になる理由として、モノラルアンプしか作らないので既製トランスの+B電源容量が無駄に大きい。
そこで+B電源を必要十分な容量としてコストダウンを図り、必要なヒータ巻き線を持つトランスを特注すると、意外に安い買い物になるのだ。


今考えている真空管はプレート電圧が250Vと比較的低くかつバイアスがマイナス数Vからせいぜい-25V程度と浅いので、必要な+B電圧が260〜280V程度になるのだが、このあたりの電圧が作りやすい210V、230Vあたりのタップを持つトランスも少ない。

ヒータ電圧も4Vという、これまたなかなか安物の既製トランスでは採用されていない電圧を多用することになる。

話が長くなったが、テスティングアンプに最適なトランスを考えてみた。
+B電源用タップは210Vと230Vとし、出力管により多少+B電源電圧を調整できるようにする。
ヒータ電圧は欧州管に多い4Vと6.3Vとする。

トランス容量を計算してみる。
230(V)×2×0.05(A)=23(VA)
6.3(V)×2(A)=13(VA)
4(V)×2(A)=8(VA)
合計44(VA)となり、適合するトランスはO-BS100¥6400となる。



ほんとうは両方のヒータ巻き線から6.3Vを取りたいが、O-BS100標準では端子が12個なので我慢した。
もっとも特注なんだから1個くらいタップを増やしてもいいんですけど。この辺は貧乏人根性丸出しでした。