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Rowing to another dawn.

2008-11-26

ファイナルファンタジー(OVA)主題歌「風水紀行」

谷川雁の填詞、「白いうた 青いうた」について考えていてひとつ、頭の片隅でしきりに存在を主張する記憶に気がついた。

他人の曲に歌詞をつける形での作品は、実は「白いうた 青いうた」だけではなく、私の知っている限りでもう一つある。ゲームの知識が基本的にファミコンの時代で止まっている私でもタイトルだけは知っているあの有名RPG、超大作ファイナルファンタジーOVA版の主題歌「風水紀行」がそれで、谷川雁の最晩年の作品ということになる。

映像作品の方は見たことがない。Wikipedia情報だけ紹介しておく。

Wikipedia - ファイナルファンタジー(OVA)

阿字谷蹴人(あじや・けると)名義での作詩。作曲佐藤允彦ボーカルは木津茂理(民謡歌手太鼓奏者)、コーラス小川美潮。現在ではなかなか音源の入手も難しいと思うのだが、AMAZONのマーケットプレイスでは比較的安価に入手可能。これまたニコニコ動画音源があったので紹介*1

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1994年の作品なので本当に亡くなる前年。「白いうた 青いうた」と平行しての作品ともなれば、その成り立ちに興味がいくがCDブックレットに興味深い一節がある。

佐藤:主題歌作詞してくださった阿字谷蹴人さんの詩もまたユニークですよね。詩の中に東西南北、木火土金水を色と組み合わせて凝った作りになっていて『風水紀行』というタイトルも気に入りました。

多田:阿字谷さんって方は詩人として著名な方で、御年71才かな?正直言って71才の方が書いたとは思えない詩ですよね。主題歌メロディと素敵に調和しているし…。調和といえば、今作品は音と絵が見事なまでにタイミングが合っていますよね。

(オリジナルアニメビデオ ファイナルファンタジー「竜の章」「星の章」サウンドトラック ブックレット p.6)

主題歌メロディと素敵に調和しているし…。」というくだりに填詩の試みを読みたくなるが、どうだろうか。もう少し、谷川雁がとった填詩の方法についてしっかり理解していれば、作品を聞いただけで判断がつく(そうでなければ填詩ではない)だろうけれど、そのあたり斜め読みになってしまっているので自信がない。

そして、今このインタビューを読み返すまで「詩の中に東西南北、木火土金水を色と組み合わせて凝った作りになって」いることに気がつかなかった。谷川雁の作品だというだけで抱え込んでいて、そのまま埃をかぶらせていただけではないか…情けない。

「白いうた 青いうた」を、谷川が若いころ書いた詩と比べて子供だましと考える人もいるようだが、私は五十三曲の填詩を谷川雁の仕事の集大成ととらえている。一字一句の意味を、古事記の古代歌謡を解釈する時と同じくらい丁寧に解き明かすことで真価を現す深い詩だ。

(藍川由美,2008.11.11,「随想 -谷川雁からの宿題 奥深い填詩を教える-」,長崎新聞)

前回(id:duskTdawn:20081124#p2)、上記の藍川由美の発言を引用したときは半信半疑であったが、恐らくそうなのだろう。今の私には見えていないのだ。

その構成をつかむために、彼は古今東西神話童話を研究した。神話童話世界は単純そうに見えて実はとてつもなく深い。星や動物植物、登場人物の名前というものが何重もの意味を象徴する物語では、無限の解釈が可能となる。

(藍川由美,2008.11.11,「随想 -谷川雁からの宿題 奥深い填詩を教える-」,長崎新聞)

武装した言葉の鎧を一級品にまで昇華することと、その芸術的な武装を解いてみせることと、どちらがより困難な道だろう。晩年、その武装を解いてみせたふうな谷川雁が自覚的にことばの後衛にまわってつくりあげた詩世界があるという可能性を、これまではそんなこともあるかもな、ぐらいに思っていたが、今は確かにあるのだろうと思っている。

ところが、わかりやすく、共感しやすいことばでつづられたその世界の、なんと手強そうなことだろうか。

[追記]

確認すると佐藤允彦はラボ教育センターのライブラリー三本柱』でらくだ・こぶに(谷川雁の筆名)と競作していました。

ああ、自分がやってきたテーマ活動の記憶とこういうところで結びつくとは。

GT-10 「三本柱

http://bubio.com/miyata/gt-10.html

この項が一区切りするのに、あとひと記事必要とみる。

*1:ただし、フルコーラスではない。CDにはフルコーラス版も収録

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