大学では経済学専攻ですが、ここでは政治や文化などについても織り交ぜつつ雑多な感じで。
ちなみにtwitterもやってます。duy@duy77
2011-12-22
イギリスの労働時間は羨ましい限り
人間は、実際に体験したことや直接目にしたことでないと、信じたり想像したり、受け入れたりすることが難しいとよく言われますが、自分のことを振り返ってもまさにそうだなあと思っています。
ちょっとニュアンスが違うかもしれませんが、「賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ」という言葉もありますしね。
それは多分イギリスの人も同じことで、日本の公共交通の質の高さやサービス業の対応の柔らかさなど日本の卓越した点を説明しても、いまいちピンときていない反応をされることが多々あるのですが、多分彼らも一度日本で暮らしてみれば、日本のすばらしさをわかってくれて、イギリスでも少し見習おうとしてくれるような気がしています。
もちろん、自分もイギリスで暮らしてみて初めて経験し、そこから感じ入ったことはたくさんあって、イギリス人ができていてなぜ日本でできていないのか、と残念に思うことも数多くありますよね。
今日はその中でも、日本の労働環境の問題について、書こうと思います。
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日本の労働者の労働時間の長さ、特に残業の長さと有休消化率の低さ、さらに言えばサービス残業の多さは世界随一ではないかと、いろんな人の話を聞く度に気分が重くなってしまいます。
例えば、これは極端な例かもしれませんが、先日国家公務員として働いている知人に話を聞いたところ、震災の影響で仕事が忙しく、最近は「残業月280時間」だとか言っていて…絶句してしまいました。平均すると一日8時間働いた後に、深夜の3時ぐらいまで働き、さらに土日も毎日出勤するような感じでしょうか…しかももちろん手当ほしさに無駄に残っているのではなくて、本当に仕事が多すぎて時間が足りないようなのです。
ほかにも、地元の北海道で働いている友人に話を聞いても、サービス残業は当たり前だし、有休も全然取らせてもらえない、ような環境が結構普通らしく、やっぱり日本全国未だにそうなんだと感じています。
それがイギリスだと、例外はあるにせよ一般的には残業というものはあまり無いようで、確かにお店も郵便局もあっさりと時間が来たら閉まりますし、大学の事務もそんな感じです。
イギリスの主要産業である金融業や小売業の人々も、また日本で長時間勤務の例として有名な国家公務員にしても、一部の地位のある人は別かもしれませんが、日本ほどの残業をしているという話は聞いたことがないですし、おそらくサービス残業などがもしあれば、日本以上に強力な労働組合(≒労働党)が大々的に動くという点も見逃せないと思います。
なので、クラスメイトに日本の残業の話をすると、えてして本気にされなかったりします(苦笑)
しかしながら、イギリス人が日本人より優秀すぎるので少ない時間で世の中を回せる、ということは無いと信じているので、おそらく何か社会の問題があって、それで日本の労働環境が悪いままにあるのではないか、と考えてしまいます。
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もちろん、日本が本当に悪い労働環境にあるのかということについては、データなどを見て客観的に考える必要があります。
例えば、よく引用されるOECD作成の労働時間各国比較データでは、意外なことに日本の労働時間は年々下がっていて、アメリカを下回りイギリスにも近づく勢いだとされています。
ただ、このグラフには問題点が指摘されています。それは、この調査は労働時間をカウントしているらしいので、基本的には法定労働時間やそれに加えて企業が申告した労働時間がベースとなっていることです。ということは、法定労働以外の残業、特に企業が賃金を支払っていないサービス残業については集計に入っていない可能性が高く、本来はもっと長い時間労働していると考えられるのです。
その点について、下記の研究ではその問題点を整理した上で、生活時間調査から日本人の労働時間が依然長い(実質的に減少していない)ことや、睡眠時間が減少傾向にあることなどを課題として指摘しています。
また、下記の研究では、日本・イギリス・ドイツの労働環境について調査し、日本の長時間労働の要因の一つとして、長期雇用や企業内人材育成の重視といった日本的雇用システムが影響している可能性について示唆しています。
このように見ていくと、日本の労働環境が悪いのは、やはり個人の能力の問題と言うよりはむしろ、大きな社会システム全体が残業をしないといけないようにできていることが一つの大きな問題点ではないか、と感じられます。
そして、そのシステムを変えることができるかと言えば、多数の国民、特に影響力のある立場にある人々(経営者、政治家など?)が改善できると信じて団結することができれば変わるのかもしれないけど、そこで大きな障害になると思うのが、みんなそんな社会が実現できると信じることができない、すなわち想像力が追いつかないのではないか、ということです。
それはこの文章の最初に述べたように、いままでそういう社会が日本に出現したことが無いので、経験に学ぶことができないからなのかもしれません。もちろん、自分のその例に漏れず、イギリスで暮らしていてもどうやって社会を残業無しで回しているのか検討がつきませんが…
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ただ、だからといってその問題を当たり前のこととして諦めてしまうことも、そろそろ限界だと思います。
このような労働環境が、日本の自殺率の高さや最近の精神的疾患の多さにも繋がっているかもしれないし、なにより、イギリスのゆとりある生活を見てしまうと、日本人だって可能なら誰もがもっとゆとりある生活を実現したいと願っているはずだと思うのです。
それに、仕事に時間を取られすぎるということは、家族や生活のゆとり・あるべき姿を奪うだけではなく、地域のことや国のことについての勉強や情報収集、さらには会合への参加や示威活動などの政治的活動ができなくなる状況、すなわち民主主義国家でありながら実質的な政治への参加を制限され、国民が力を発揮できない状況を生み出しているのではないか、とも、昨今の政治閉塞を見るにつけ考えが飛躍してしまいます。
その結果、結局は民意が低いとか、社会参加が少ないとかになって、専門家に任せっきりになって……結局、仕事によって国民が足かせや手かせ、目隠しをされている状況なのかもしれません(政治家や官僚自身も長時間勤務によりその呪縛に陥っている?)。
そう考えると、イギリスが長期間にわたって議会制民主主義を安定して運営できている要因の一つは、何も特別なことではなく、単に国民が十分な時間を持っているからなのかもしれないですね。
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なので、労働時間の問題を単にワークライフバランスの問題や労働生産性など個人の資質・教育の問題、あるいは企業経営・文化などビジネスの問題といった個別分野でとらえるのではなく、日本社会全体の活力の向上という大きな枠の中でとらえて、危機感を持って対処してくれる政治家が出てきてくれることを期待しています。
また、経験から学ぶという面では、どこかの自治体で先駆的な取組が成功したり、国会や役所から率先して残業を減らすという話が現実的になってくれば、世の中の流れも少しずつ変わっていくかも、なんて思いますが、どうなのでしょうかね。
個人的にも、イギリスにいる間にその辺のことをなんとかもう少し見聞きして、経験として日本社会に持ち帰れればいいと思っています。
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- 4 http://ezsch.ezweb.ne.jp/search/?sr=0206&query=TPP 考え

