2012-02-04
TRASH-UP!!にて
2月4日発売、
「TRASH-UP!! vol.11」
http://www.trash-up.com/news/20120128002324.html
にて赤坂太輔さんの聞き書き原稿
「赤坂太輔が語る『果てなき路』と映画の2011年」
構成やりました。
発売中「モンテ・ヘルマン語る 悪魔を憐れむ詩」(これもカプリッチか……)と併せてぜひ!
- 作者: モンテヘルマン,エマニュエルビュルドー,樋口泰人,松井宏
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2012/01/14
- メディア: 単行本
- クリック: 36回
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- 出版社/メーカー: 株式会社トラッシュアップ
- 発売日: 2012/02/04
- メディア: 雑誌
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甘えることは許されない
「〜してはならない」と自律を促す施設の訓示は、障害者への無関心から来てるんじゃないの?というテーマがあるけど、困難に耐えながら生きてる君たちは美しい!なナレーション(亀井文夫譲りの戦略か?)のおかげで見てるとやや解釈に迷う。最初30分くらいまで監督のスタンスは「働く障害者を応援する」だと思うし、たしかに働くための場所としてその施設は存在する(検索したらまだ運営してた……改善されてると思うけど)。クライマックスの彼の姿は美しい...。しかしそんな彼を見ずに訓示を垂れる連中は、給料を手渡しする瞬間でさえ徹底して映されない。
@napo_ooooooo さんのつぶやきを読んで思ったが、着替えを延々撮ったラストは「甘えることは許されない」という施設側の発する紋切り型な訓示を、施設側だけでなく見ているこちらにも切り返す力があった。撮る側の甘えを許さないハードなものだったと思う。
ラストカット、殺風景な室内での青、白、黄の色彩感覚に強く惹かれる。
糸の切れた凧
井川耕一郎監督、渡辺護主演『糸の切れた凧 渡辺護が語る渡辺護』の試写に呼んでいただいた。
渡辺護への自宅でのインタビューが中心。初監督作『あばずれ』を完成させるまでの遍歴を語る。
結核で亡くなった兄に始まり、『あばずれ』の冒頭での父の自殺をめぐる井川耕一郎監督の指摘など、そこかしこに「死」や「血縁」について、渡辺護と井川耕一郎それぞれの特色が反映されている。
俳優経験を振り返りながら、何度も出て来る「昔の俺はかっこよかった」話、中でも「扶養」のエピソードがおかしい。だが実際、この映画の渡辺護の仕草は今でもかっこいい。特に彼にとって最初の強烈な映画体験である『雪之丞変化』と、『あばずれ』でのアクションシーンを身振り手振りで再現する姿は、自宅のこたつに座ったまま上半身だけで動かしているのに、とても様になっている。
そんな「俳優」渡辺護の最も映えるシーンは、『あばずれ』で主演女優をしごいたエピソードに続き、現時点での最後の劇映画『喪服の未亡人 ほしいの…』のメイキングにある。渡辺護はマキノ雅広同様、自ら演技の模範をして俳優を動かそうとするが、渡辺護の動きは『喪服〜』での異様な仕草のひとつひとつを本当に自分のものにできていて、しかも早い。それと向き合わなくてはならない女優はどうなるのか。まるで監督と俳優どころか、ふたりの俳優が対決している劇を見せられてるような、そんな向き合い方をしている。彼は女優に「なんだこのやろう」と睨み返すような眼つきを要求するが、その「眼」はフィルムも失われた『あばずれ』のオープニングを、『雪之丞変化』と『あばずれ』に通じる「復讐」について熱く語るインタビューシーンを思い出す。
詳しくは書かないが「OK」を出しながら激高する渡辺護の姿と言葉を聞くと、自分に人を演出する事なんかとてもできない……と思う。インタビューをする井川耕一郎の声も終盤、場所を映画美学校に変え、真剣味を増すのだ。
渡辺護の俳優から睨み返される瞬間、それは『あばずれ』の自殺した父からの視線について尋ねる井川の声によって、彼の出生をめぐる冒頭部と結びついていく。


