モデル化して売上計画を作る

今回は実践編ということで、事業計画を立てるときの売上計画の作成法について考えてみたいと思います。たとえば・・・ということで今回はこんな事例で考えてみましょう。

ホールフーズ社はサプリメントを輸入販売している企業。これまで好評だった「ナチュラルケア」というブランドにグルコサミン配合の新商品が出た。この新商品の事業計画を立てるにあたり、売上高の予測をしていきたい。
ナチュラルケア」ブランドではこれまで3つの商品群があって、それぞれ年商3億円、2億円、1億円の商品に成長しているが、今度の新商品はそれらを上回りそうな勢いを感じている。
ナチュラルケア」ブランドは、消費者が実感しやすいという特徴を持ち、一度使ってもらうとかなりの確率でリピート購入してくれていた。これまでの実績値で言うと、サンプル利用者の30%がトライアル購入をし、またトライアル購入者の50%がリピート購入している。この率は業界では特筆すべき好成績である。
さて、一体この商品の3年間の売上はどのようなものになるであろうか。

ここでガッツで作った適当な数値を放り込んで後で大変になる、ということは結構あります。ここで言う「適当」とは、過去一番好感触だから5億円は行くだろう、とか、これまでのトレンドを引っ張って今後数年は年率○○%で成長する、なんてのも含みます。まあ、希望的観測としてはいいですが、それはあくまでも目標値であって計画ではない。

売上高というのはアウトプットであり、単価や顧客数、さらにそれらを分解した一つ一つのインプット要素の積み重ねでできあがるわけです。いくら売上高10億円を目指そう!と意気揚々に言ったところで、所詮アウトプットに直接影響を与えることはとっても難しい。僕ら人間ができることは一つ一つのインプットに効く打ち手を考えて、その結果としてアウトプットがどう変化するかを考える事。これを僕らは「売上高をモデル化して考える」なんて言ったりします。

今回のケースでモデル化すると、おおよそこんな感じになるでしょうか。

見ていただいてお分かりの通り、新商品の売上高を3つの顧客層別に分解しています。すなわち

売上高=新規客による売上高+リピート客による売上高+ロイヤル顧客による売上高

と分けて考える。さらにそれぞれの売上高の内容も「顧客数」と「単価」とに分解し、さらに顧客数も構成要素に分解していく。いわゆるMECEに(モレなくダブリなく)分解していくわけですね。あとは、この各要素(今回は薄い青に色付けした要素)に数値を当てはめていけば、最終的な売上高計画を立てることができる、というわけです。

どうですか?ざっくりと「年商5億円!」なんてやるよりも、具体的にどの要素の数値はこれくらいを目標にして、そのためにはこういう施策を打って・・・とやったほうが具体的に目標を達成させるイメージがわいてくるんじゃないですかね。もちろん、計画ですからこの通りに行くことのほうが少ないですが、実際にやってみて当初計画とギャップが出たら、その構成要素を見て、もともとの数値と大きくかい離しているものが何かを把握すると、より的確な問題分析・問題発見ができるようになります。新しい施策を考えてそれを実行した時に、売上高がどのように変化するか?なんていうシミュレーションもこのモデル式を使うとできるようになりますよね。いいことづくし。修得しない手はない。

動画では上記の考え方に基づいて、具体的にエクセルシートで計画を作る工程について説明しています。シートの修飾法も含めてご参照してみてください。今回作成したエクセルシートはこちらからダウンロードできますので、合わせてご参照ください。sales_simulation_1.xlsx 直

二つ目の動画では、月次で集計した売上高をSUMIF関数を使って年次でまとめる方法、およびライフタイムバリュー(LTV)の考え方を使って「顧客一人獲得するためにねん出できるコストの算出方法」などについても説明しています。ちょっと説明がグダグダですので、わかりにくければフィードバックください(この辺がすでにグダグダ・・・w)