2010-03-03
■[美術]オペラシティにて、セシル・バルモンドの世界
初台
さて、東京は初台のオペラシティ・アートギャラリーで現在開催されている展示、「エレメント 構造デザイナー セシル・バルモンドの世界」を見に行ってみた。2010年3月22日まで。
セシル・バルモンド
建築構造家という肩書きを持つこの人物、セシル・バルモンドは、スリランカ出身の人物。結構有名な建築家との仕事を含めた建築関連の仕事をしつつ、構造や数学関連の研究や書籍の執筆などを行っているらしい。
脳への刺激
そんな、セシル・バルモンドの今回の展示は、テーマ的にいうと、脳への刺激とでも言えそうな気がする。実際には、構造デザイナーが様々なものの中にある構造を読み解きながら世界を再構築していくさまが展示されているというふうに捉えられそうなのだけれども、そうはいうものの、というか、そうであるが故に、とても、脳に刺激がくる展示になっている。
デザインや建築系の展示を得意とするオペラシティ・アートギャラリーですが、今回もなかなか面白い展示。
バナー
最初は、バナーと題された展示で、天上から垂れ下がる幕に写真やイラスト、言葉などが描かれていて、それを時に眺め上げながら、時にかき分けながら、鑑賞するスタイル。自然の写真が、そこでイラストへと変容しながら、そして、抽象的な文章へとさらに還元されていく。
この垂れ幕の森は、感覚に訴えてくる。そこに映し出されるものの変容と共に、区切られた狭い空間は、それぞれにそれぞれの雰囲気を作り出していて、そこの空間が、元はホワイトキューブであったと言うことは完全に忘れさせてくれる。イメージと言葉によって、右脳と左脳が交互に刺激されていく。
数学的面白さ
そのバナーの森を抜けると、不思議な記号が書かれたパネルが置かれていて、人々が、そのパネルを思考回路が働いている様子で眺めている。
そこには、数学の不思議が描かれている。例えば、9という数字の不思議さ。例えば、フラクタル的な永遠性。例えば、フィボナッチ数列の自然との関連性。脳が、謎解きをしながら混乱する。
H
そこをじっくりと眺めて、脳が活性した状態になったところで、靴を脱いでの鑑賞コーナーへ。そこでまずは、金属のプレートとチェーンで作られた隘路を抜けて行くことになる。それは、瞬間的には不思議さすら感じないほど自然に自立するチェーンとプレートによる空間。プレストレスによる復元力によって、そこに自立して、不思議な構造物である隙間だらけのその空間は、その前にみた例えば、フラクタル構造の中に入り込んだようでもある。冷静になりかけた脳が通りすがらにふと不思議に取り憑かれる。
フラクタル
そのフラクタルは、そして、最後に具現化されて再度提示される。それは、パッっと見は、3次元の構造体であるものの、しかし、内部が入れ子構造になっているが故に、分数次元をを持つ構造体であって、しかし、説明されなければ気づかないかもしれない風情でそこに、何気なくたたずんでいる。それは、単純化され、整数的な世界を装った不思議であり、つまり、自然の形態の中にある数学的構造を、なぞった表現とも言えるだろう。
そして、最後は、映像化された、何処までも繰り返される幾何学模様がビデオ上映されていて、終了。
脳が、刺激によって興奮している。
ワークス
メインの展示は、そんなところで、最後は通路にずらりと並べられた彼のプロジェクトのパネル。
イメージの還元と構築
というところで、イメージとそれのイラストへの変容からテキストへの還元にはじまり、そして、そこから数学的な記号の世界を経由して、整数次元では表現仕切れない空間構造物を最後に提示するという作品展開は、それは、ある物体をまさしくエレメントまで還元しきった上で、そのエレメントから再度構築するという意味での構造デザインという、構造デザイナーの頭の中で起こっている一連の展開を具現化したような展示で、とても面白く感じ取れた。
絶賛
抽象的世界や幾何学的な世界を愛する一方で、しかし、自然への憧憬をも持ち合わせるような感性の人間にとっては、これほど興味深くて、刺激を受ける展示は無いと思います。
図録
ちなみに、私が行ったときは、まだ図録が販売になっていなかったのだけれども、もう販売になっているのだろうかと、出来れば購入したいところです。

関連リンク:
「エレメント」構造デザイナー セシル・バルモンドの世界|東京オペラシティアートギャラリー
dLINKbRING.Labo.dicmulsearch.セシル・バルモンド
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