本と映画と。

2012年01月14日 土曜日

[] 源氏物語 千年の謎 


鶴橋康夫監督。まだなんとか公開中。公式サイトこちら

源氏物語系の映画は何度か見て皆はずしているのだが(そもそも私は源氏物語ストーリーが好きじゃない)

やっぱり見てしまった。青海波が見たかっただけです。えぇ。

ストーリーは好きじゃないけど有職故実大好き。寝殿造りのお邸がみたかっただけです。えぇ。

衣装とか調度とか楽の音とか衣擦れの音(!)とか御簾越しのもどかしい視界(!)とかは

ばっちり堪能しました。

邸のお庭が若干狭いように感じてならなかったがそこはご愛敬


見るか見まいか迷ってあちこちレビューを見てから見に行ったのだが

私の感想としては、有職故実抜きにして言うのであれば、まぁ意外と不可はなかった。

式部の現在源氏物語世界ストーリーバランスも私としてはあれでいいと思えたし

まぁ駆け足っちゃ駆け足、テンポ悪いっちゃテンポ悪いけど

源氏の心の流れを反映した展開ではあると思う。源氏の心情を追う上では自然

御息所のおどろおどろしいシーンが長すぎ、なわりにそこに至る経緯が省かれ過ぎ、とか、

えー藤壺さん誘っちゃう派だったっけか? とかは思うけど。

言われるほど田中麗奈怖くなかったなー。

夕顔が一瞬過ぎて味気なかったなー。葵上も短すぎたなー。


生田斗真はがんばっていたが私のイメージではなかった。

葵上を失って気が抜けたような顔になるとこだけはこのひとじゃなきゃ、て感じだったけど。

プレイボーイ感というか口が軽くちょっと強引で情熱的みたいな感じがない。

女とみれば口説くみたいな、

歯の浮くような台詞も照れず気負わずポーカーフェイスで(或いは笑顔で)さらっというみたいな、

ある種なに考えてんのかわかんない詐欺師っぽい軽さというか。

まぁ源氏の苦悩に焦点を当ててるとこからすればそういうふうにはなれないかもだが。

式部さんはあまりにもにじみ出るものがなにもなさすぎで、

彼女修羅全然窺えなくってそこがちょっとなー。だった。

葵上とか御息所とかみんな、私のイメージではそうなんだけどな。

拒んで冷たいそぶりをしても彼が背を向けた瞬間からその背中を目で追ってしまう、みたいな、

そういういじらしさっていうかかわいくないかわいさみたいなのがある人たちだと思うんだけど。

いやちゃんと原作読んだわけじゃないんだけどさ。


私が源氏物語をおもしろいと思うのは、有職故実な平安世界と式部の辛辣で鋭い人間観だ。

源氏物語に出てくるひとたちは千年後の今でもリアルに感じるほどもっそいリアルだ。

カッコよさや強さだけじゃなくずるさや惨めさがある。

御息所のとこでクローズアップされるべきはおどろおどろしさではなくて

自分の矜持やプライドと嫉妬や恨みの狭間で揺れ動く、

そういう自分に対する惨めさや自己嫌悪なんじゃないかなーと思う。

から、わが身などどうなってもよい、というのと、すべてはあなたゆえでした、ていう台詞がよかった。


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2011年09月04日 日曜日

[] コクリコ坂から 


宮崎吾朗監督。公式サイトこちら

あんまり期待してなかったけど誘われたから見に行った。

ゲド戦記よりはマシ。でも相変わらずものすごい説明不足だと思う。

映画だけさらっと見た状態では、海ちゃんがなんでメルって呼ばれてるのかも、

海ちゃんが揚げる旗の意味も、

お母さんが何してる人なのか(つーか生きてるのか死んでるのかも私には途中までわからんかった)も、

カルチェラタンが何なのかも、

コクリコ坂ってどれなんだとかコクリコって何とかも、

なんで最初風間さんが飛び込んだのかもよく分からない。

状況説明をすべて台詞でするみたいなのは確かに私も好きじゃないけど

これは台詞でも絵でも何でも説明してない気がする。


あと、風間さんから真実(?)を知らされた時の海ちゃんの反応も私には変に思える。

他に手掛かりをもたない風間さんが鵜呑みにするのはわかるけど

実際の父母を知ってる海ちゃんからすれば、信じられない、と思うのが普通だと思うし

お母さんが生きてるならお母さんに確認するまで保留にするのが普通なように思う。

自分で確認もしないで鵜呑みにするかなぁ普通

風間さんはそういう可能性を想定して生きてきたかもしれないけど

家族愛情を受けてすくすく育った海ちゃんとしては

自分の恋心より父母への信頼の揺らぎのほうが大きく出ると思うのは私だけかなぁ。


この映画で唯一ぐっときたのは、海ちゃんの夢だった。

長女として、まだ若いのにひとりで切り盛りする女の子としては

本当はこどもでいたい甘えともろさがあるのは当然だと思う。


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2011年05月12日 木曜日

[] ブルーバレンタイン 

デレク・シアンフランス監督。公式サイトこちら

私はひとつ時間軸に他の時間オーバーラップさせるようなのに弱い。

「500日のサマー」とか。

あとライアンゴスリングが見たくて見に行きました。

彼の禿げは本当の禿げなのかフェイクなのか非常に気になります。


ラースと、その彼女」を見た時には気付かなかったけどライアンゴスリングは意外とハンサムだった。

あと、この映画見てると「レボリューショナリー・ロード」が思い出された。

そして「レボリューショナリー・ロード」と同じく奥さんにはあんま共感できなかった。

つーかわりかしいい旦那だと思うけどなぁ。

娘はかわいがるし奥さん好きだし稼ぎは悪いが(そしてそれをだいぶ引け目に感じているようだが)

無神経つーか鈍感つーかそーゆうとこはあるが

(家の片付け奥さんに任せきりどころか出かけようとしたりとか

奥さんが疲れてるのにゆっくりさせてあげようみたいな気遣いに欠けてたりとか

その上でオレは悪くない正しいみたいなとこがちょっこり垣間見えたりとか)

悪気はない。

奥さんが言えばまだ持ち直すかもしれないレベルな気もする。

彼女はあまりにも遠回しすぎる。


彼女はたぶん、彼の現状に甘んじる感じとか鈍感さがいやなんではないかという気がする。

彼は幼稚すぎる。全部私が世話しなきゃなんないわけ忙しいのにみたいな。

彼の稼ぎが低いことは並列の理由のひとつかおまけくらいなものだと思うが

彼の中ではそれが彼女のトップの理由なのだと勘違いしてる節がある気がする。

なんかこのひとたちはコミュニケーション足らない気がする。

彼女のいらつく感じとか嫌いになるとすべてが嫌になる感じとかは共感できるが

こういうことして欲しいとか許せないとかありがとうとかごめんとかつらいとか

そういうのをもっとオープンにしてたらもそっとどうにかなってた気がする。

つーか私は酒屋で偶然会った人のことを旦那に話すシーンの彼女の気持ちがいちばん理解できん。


子供とじゃれあうとことか投げ捨てた指輪を探しちゃうとことか

むしろ微笑ましいと思ってしまう私は一般的じゃないのかなぁ。

つーか子供のことを思えば

彼が楽しげに彼女と一緒に遊んでるのを見るだけで泣けてくるけどなぁ。


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2011年01月14日 金曜日

[] スプライス 


ヴィンチェンゾ・ナタリ監督最近見ました。公式サイトこちら

この監督さんのCUBU(キューブ)って映画が好きだったので、このひとはわりと追いかけてる。はず。

NOTHING見たしスパイかなんかの映画も見た。

語り方のうまいひとだと思う。おもろかったのは断トツキューブだけど。

ただしこれはちょーグロい。お話映像も。

心理的な追い詰め方はうまいと思う。理屈じゃなく追い詰められる感じとか突き進んじゃう感じとか。

だけどオレならあの場面であーゆうことはしないと思うけどな。

衝撃の展開とラスト、といううたい文句にも惹かれていたのだがあんま衝撃ではなかった。

エイリアンとの類似性を指摘するのをちらと読んだけど私はエイリアンは未見。

よって私が思い浮かべたのはパラサイト・イヴだった(映画じゃなく小説)。

あの小説、というか瀬名さんは、

じわじわな展開とか盛り上げ方とか語り方がとてもうまいと思うけど

最後でもっそいアクロバティックな飛躍と着地をするので

物語としては面白いけど置いてかれる人もいると思う。


私は血とかは全然平気なタイプだがこの映画はグロかった。

新種な生物の形状的グロテスクさもそうだし、お話の展開がー。

やめろーやめろーと心の中でうなってしまう。なんでそう危ない方向へ進んでしまうのこの人たち。

彼女の自信やコントロール欲は私にはよくわからなかった。

思い通りになることなんかない。

というか、想定外のことが起きる危険を十分考えて常に先回りすべきではないのか。

特に科学者ならば。


この監督さんこの先も追いかけようかなーどうしようかなー。


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2010年10月15日 金曜日

[] 「夜行観覧車」 湊かなえ 

夜行観覧車

夜行観覧車


湊かなえだったので気になって読んでみた。

んー、「告白」のほうが面白かった。


なんというのか、出てくる人たち人たちみんなやな感じ。

人間決していい面ばかりじゃないというのはよくわかる。よくわかるけど、

ここまで自分しか見てない人たちばかりというのもあまりない、と、私は思っている。

なんつーか全員ナルシスト、という言葉がいちばんしっくりくる。

繊細。言い訳がましい。みんな理詰め過ぎる。

もっと理由もなく感情で動いてそれに気付かない生き物だと思うなぁ人間て。


対面を気にするとか他人の顔色を窺ってしまう、というのは分かるけど、

普通は、だからこそ、親切ごかしにわかったような顔をするものだと思う。

机にマジックで「人殺し」みたいな幼稚な嫌がらせ学生と一部の幼稚な人限定じゃないのか。

だってふつーはそれやってる自分に対する羞恥心とか自己嫌悪とかもたない?

そこまで自分正当化できるほど無邪気な自信をもった人間がそんなにいるか?

もし家庭内で殺人が起きたとしたら、まずその犯人の心の闇とか裏の顔みたいな話が出て、

その家族に対しても心の闇とか裏の顔みたいな話が出て、

あぁかわいそうな人だったのねとかやっぱりねぇとか陰でこそこそ言うのはやるにしても

マジックで「人殺し」はないだろ。


事件が起きた時に、否応なくそ関係者になってしまった人が、

知りたくない、て思うのはまぁ当然の心理なのかもしれないけど

同時に、きちんと事実を知りたい、て思う人だっていると思う。つか私は知りたい派だ。

いやー目を塞いだからって何になるのよ。

ていうか知りたい事実か知りたくない事実かすら、確かめないことには分かんないじゃん。

そして、自分が大事で自分のために何でもするのは当然かもしれないけど、

他人によろこんでもらいたいとか、卑劣と思われたくないとか、カッコ悪いのはやだとか、

単純に親しい人が心配であるとか、そういう気持ちだってあると思うのだがどうか。

卑怯なこと、情けないこと、惨めなことをして自己嫌悪を感じない人間

あんまりいないと思う私はしあわせすぎるだろうか。

自己嫌悪を隠すためにさらにひねくれていく人はいると思うけど

あーオレって最低ーっていう気持ちはいちばん嫌な感情ひとつだと私は思うのだが。


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