いーぐる後藤の新ジャズ日記 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2016-09-26

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・2016/9/24

いーぐる連続講演第597回

「ヨーロピアン・リズム・マシン特集(その過去と未来)」 選曲 山中 修


ヨーロピアン・リズム・マシン(ERM)

1968年に渡欧したフィル・ウッズ(1931-2015)のリズムセクションとして結成。

・結成時のメンバーは、ジョルツ・グランツ(pf)、ダニエル・ユメールds)、アンリ・テクシエ(b)

1969年ピアノがゴードン・ベックに代わる。

1972年フィル・ウッズの帰米によりERMは解散する。

・その後もERMのメンバーは欧州ジャズシーンの中核として活躍し、ユメールとテクシエは現在も現役として活動中。


1.ERM

<曲名> <リーダー> <アルバム名>

(1)Alive&Well <Phil Woods and His <Alive And Well

European Rhythm Machine> In Paris> 1968年録音

Phil Woods(as),George Gruntz(pf) Odeon

Daniel Humair(ds),Henri Texier(b) <3:36>

(2)I Remember Bird <同上> <At The Montreux

Phil Woods(as),George Gruntz(pf) Jazz Festival> 1969年録音

Daniel Humair(ds),Henri Texier(b) MGM

<10:15>

(3)Freedon Jazz Dance <同上.> <At The Franfurt

Phil Woods(as),Gordon Beck(pf) Jazz Festival> 1970年録音

Daniel Humair(ds),Henri Texier(b) Embryo

<13:30>

(4)The Last Page <同上> <Chromatic Banana>

Sans Melodie 1970年録音

Phil Woods(as),Gordon Beck(pf) Pierre Cardin

Daniel Humair(ds),Henri Texier(b) <6::38 >


2.Piano

・George Gruntz(1932-2013) スイスバーゼル出身、ERM解散後は自分のビッグバンド

 George Gruntz Concert Jazz Bandを率いて、作編曲家としても活躍した。

・Gordon Beck(1936-2011) 英国出身、ERM解散後は欧州全域で、

 スタジオセッションプレーヤーとしても活躍した。

(5)Suite No.5 <Gordon Beck> <jazz trio>

Ist Movement 1972年録音

Gordon Beck(pf),Ron Mathewson(b) Dire records

Daniel humair(ds) <8:16>

(6)Mike A Mouse <George Gruntz Trio> Serious Fun

George Gruntz(pf) Mike Richimond(b) 1989年録音

Adam Nussbaum(ds) Enja

<6:29>

(7)Wild Dance <George Gruntz Pourquoi pas?

solo Alexsander Sipiagin(fh) Concert Jazz Band> Why not? 2007年録音

Donny McCaslin(ts),Arie Volinez(eb) TCB

John Riley(ds) <10:16>


3.Drums

Daniel Humair(1938年生まれ)、スイスジェノバ出身、20歳でパリに渡りフランスのトップドラマーとなる。

 ERM解散後もフランスジャズ界の至宝として200枚以上のアルバムに参加、現役として活躍中。画家としても有名。

(8)Para <Daniel Humair> <Baby Boom>

Daniel Humair(ds) Mattiew Donarier(ts) Christophe Monniot(bs) 2003年録音

Manu Codjia(g) Sebastien Boissesu(b) Sketch

<6:31>

(9)Last Tango In Paris <Joachim Kuhn> <Live>

Joachim Kuhn(pfDaniel Humair(ds) 1989年録音

J.F.Jenny Clarrk(b) CMP

<8:48>

(10)Missing A Page <Daniel Humair> <Liberte Surveillee>

Daniel Humair(ds) Marc Ducret(g) 2001年録音

Bruno Chevillon(b) Ellery Eskelin(ts) Sketch

<10::52>


4.Bass

・Henri Texier(1945生まれ)、フランス出身、同国を代表するベーシスト

 ERM解散後は各地の民族音楽を研究して独自のスタイルを確立した。現在も現役として活躍中。

(11)Amir <Henri Texier> <Amiir>

Henri Texier(b,Violincelle Oud vo per fl) 1975年録音

JMS

<4:04>

(12)La Louisiane <Henri Texier Quartet <Paris-Batingnolles>

invites Joe Lovano> 1986年録音

Phillippe Deschepper(g) Joe Lovano(ts) Jacques Mahieux(ds) Lavel Bleu

Louis Sclavis(bcl) Henri Texier(b) <8:52>

(13)Skating Central Park <Henri Texier Trio> <The Scene Is Clean>

Henri Texier(b) Alain Jean-Marie(pf) 1991年録音

Aldo Romano(ds) Label Bleu

<5:54>

(14)Entrave <Henri Texier> <Mad Nomad(s)>

Sebastien Texier(as) Julien Lourau(Ts) Francois Corneloup(bs)l 1995年録音

Noel Akchote(g) Bojan Zulfikarpasic(pf syn) Jaques Mahieux(ds,per) Label Bleu

Tony Rabeson(ds,per) Henri Texier(b,oud per vo) <7:45>


5.ERM(再び)

(15)Stolen Moments <Phil Woods and His <Alive And Well

European Rhythm Machine> In Paris> 1968年録音

Phil Woods(as),George Gruntz(pf) Odeon

Daniel Humair(ds),Henri Texier(b) <9:38>

計 121分

2016-09-12

[いーぐる連続講演} 09:09 [いーぐる連続講演}を含むブックマーク [いーぐる連続講演}のブックマークコメント

● NEW ARRIVALS Vol.32  9月21日 水曜日 午後8時から10時まで

ロバート・グラスパーとその周辺』


今話題のロバート・グラスパーとその周辺人脈にスポットを当てた新譜特集です。これは聴き逃がせません!


【ノーチャージ、飲食代金のみでご参加できます・予約の必要はありません】


ユニバーサルジャズディスクユニオンの共同主催による、新譜紹介イヴェント。毎回話題の新作をていねいな解説付きでゆっくりとご試聴いただけます。お気に入りのアルバムをその場で購入することも出来ます。ジャズシーンの動向がいち早く知れる話題のイヴェントで、私も大いに参考にさせていただいてます。みなさま、ぜひお気軽にご参加ください。

*なお、試聴中はお静かにお聴きくださりますよう、お願いいたしておりますので、その旨ご配慮ください。

                 いーぐる



●第597回 9月24日 (土曜日) 午後3時30分より

「ヨーロピアン・リズム・マシーン(ERM)特集

1960年後半から70年前半にかけて、欧州に活躍の場所を移した米国サックス奏者のフィル・ウッズは、欧州の腕利きの若手ミュージシャン(ERM)を率いて衝撃的な演奏活動を展開しました。その当時の演奏は今も色褪せることがありません。

またERMはウッズが最も輝いていた時代のリズム隊というだけでなく、その後の欧州ジャズ・シーンを牽引する重要ミュージシャンたちを輩出したという意味でも重要な存在意義があります。

今回はウッズのERM時代の名演を聴いて頂くだけではなく、ERM出身ミュージシャン(アンリ・テキシェ、ダニエル・ユメール、ジョルツ・グランツ、ゴードン・ベック)のERM以後の様々な演奏を紹介させて頂き、この伝説のバンドの実像に迫ろうと思います。

ERMファンの方々、そして欧州ジャズに関心のある皆様の御来場をお待ちしております。

よろしくお願いいたします。

                                         解説  山中修



● 第598回 10月15日 (土曜日)

『ポーギー&ベス、聴きj比べ』

ジョージ・ガーシュウィンの傑作オペラ『ポーギー&ベス』は多くの名曲を生みました。それだけにインスト、ヴォーカルともにいくつのも名演・名唱がありますが今回はそれらを聴き比べてみようという楽しい企画です。

                                         解説 小針俊郎




● 第599回 10月29日 (土曜日) 今回に限り午後4時より 

『グアコ特集

べネズエラの人気バンド『グアコ』結成48周年を記念した来日公演を前に「el Pop」の石橋純さんをお迎えしてグアコの魅力を解説していただきます(詳細は追ってお知らせいたします)。

                         解説 石橋 純



● 第600回 11月5日 (土曜日) 午後3時30分より

『いま一度グレン・グールドを問い直す』

グレン・グールドが鬼才でありジャズファンにも訴えかけるものがあるジャンルを超越した稀有のピアニストであることは間違いないですが、グールドの神格化ばかりが先行して、特にバッハの音楽については限定的な聴き方がされすぎている傾向もあるのではないでしょうか。

あえて批判的な視点も交え、グールドとは全く違うアプローチによる演奏の聴き比べを行いつつ、グールドの何が素晴らしかったか、どこに限界があったか、彼の音楽の可能性を今一度問い直したいと思います。

                 解説 林田直樹



● 第601回 11月19日(土曜日)午後3時30分より 参加費600円+飲食代

レナード・バーンスタイン特集

一般にはクラシック指揮者として知られているバーンスタインですが、彼は『ウエストサイド・ストリー』など、ジャズでも採り上げられたミュージカルの作曲者でもあります。今回はミュージカルの世界に詳しい小針さんが、ジャズ側の視点からバーンスタインを解剖してみようという意欲的な講演です。

                         解説 小針俊郎



● 第602回 11月26日 (土曜日) 午後3時30分より 

『関口義人・新刊刊行イヴェント』

詳細は追ってお知らせいたします。

                   サラーム海上 × 関口義人

2016-08-31 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

8月27日(土曜日)

「全曲聴き」で知られた林建紀さんによる講演「ラウズは晩年を聴け!」、期待以上の内容だった。事前の林さんの告知にもあったように、一般ジャズファンは「ラウズと言えばモンク・カルテットのサイドマン」といった認識以上のものは無いようだ。しかしモンクを離れたラウズには、「一ハードバッパー」としての顔があって、それなりに聴き所があるのに、今まであまり話題にされたことはない。

今回の林さんの講演は、まさにその盲点にスポットを当てたもので、結果としてラウズの思わぬ魅力が再発見された。極論を言えば、仮にラウズがモンクのサイドマンにならないでブルーノートプレスティッジあたりでふつうに活躍していたとしたら、少なくともハンク・モブレイやブッカー・アーヴィン、クラスの人気は得られたんじゃなかろうか。

加えて彼もまた、いわゆる「ハードバップ・リヴァイバル」の恩恵を受けた組でもあるようだ。70年代以降、エレクトリック・ジャズへの反動から、オーソドックスなスタイルを見直す動きがヨーロッパレーベルを中心にして興り、ラウズもその波に乗ってかなり傑作をものしている。

しかし、そればかりではなく、アメリカ発の真っ黒レーベルストラタ・イーストに吹き込んだ『Two is One』が凄かった。このアルバムは存在自体知らなかったが、ラウズの知られざる一面が浮き彫りになった、まさしく隠れ名盤だ。聞くところによると、DJさんたちがこのあたりは掘り尽くし、中古盤価格はそうとうに高いそうだ。でも、これはちょっと欲しいなあ。

ともあれ、モンクの影に隠れた地味なテナーマンといった印象でソンをしているラウズに、キチンとした評価を与えることが出来たのは、とりもなおさず林さんならではの「全部聴き」の賜物だろう。世評に流されること無く、公平な耳ですべての演奏を聴けば、自ずと見えてくるものがある。

確かにモンクのサイドマンとしてのラウズは、悪くは無いけれど、だからと言って突出した個性を発揮していたようにも思えない。ところが、そうではないところでは、前述したモブレイ、アーヴィン、あるいはグリフィンといった名ハードバッパーたちに劣らない個性・味が明確にあるのだ。

とりわけ驚いたのは、今回のタイトルどおり、晩年になるほど音色も個性も磨きがかかってくるのだ。この辺り、晩年になって良くなったソニー・クリスと似ているようにも思える。今回の林さんの講演をきっかけとして、ラウズ見直しの気運が高まるのではなかろうか。だとしたら、こうした林さんの講演は、立派な「批評」足り得ているのだと思う。

林建紀林建紀 2016/08/31 20:15 早々にレビューしていただき、かつ過分のお言葉をいただきありがとうございます。はたから見れば「なんで?」と思われそうなジャズマンやジャンルに入れあげている身には励みになります。さて、明日からは大まかにしか聴いてこなかったユセフ・ラティーフの70〜90歳代の作品の再聴&謹聴に取り組みます。

2016-08-30

[連続講演選曲リスト} 18:40 [連続講演選曲リスト}を含むブックマーク [連続講演選曲リスト}のブックマークコメント

第596回 『ラウズは晩年を聴け!』 8月27日

選曲・解説:林建紀


●The Beginning and the End


01. OUR DELIGHT [2:56] / The Tadd Dameron Sextet

September 26, 1947, NYC. / The Fabulous Fats Navarro Vol.1 (Blue Note)

02. NUTTY [6:58]

October 10, 1988, Bimbo's 365 Club, SF. / Epistrophy (Savoy)


●Befor Monk Quartet (1944-1958)


03. CUBANO CHANT [6:33]

February 25, 1957, Hackensack, NJ. / Taylor's Wailers - Art Taylor (Prestige)

04. KNITTIN' [6:17]

August 29, 1957, NYC. / The Chase Is On (Bethlehem)


●During Monk Quartet (1958-1970)


05. YOU DON'T KNOW WHAT LOVE IS [6:26]

December 21, 1960, NYC. / Yeah! (Epic)

06. SAMBA DE ORFEU [6:15]

November 26, 1962, Engelwood Cliffs, NJ. / Bossa Nova Bacchanal (Blue Note)


●After Monk Quartet (1974-1988)


07. TWO IS ONE - 1st section [7:00]

1974, NYC. / Two Is One (Strata-East)

08. QUEIT PICTURES [4:03]

1976, NYC. / Brazil (Douglas)

09. TRUTH [7:52]

November 18, 1975, NYC. / Duke's Delight - Duke Jordan (SteepleChase)

10. WHEN SUNNY GETS BLUE [5:02]

October 19, 1977, NYC. / Jazzbrothers - Howard McGhee (Jazzcraft)

11. THE CLUCKER [5:01]

October 20, 1977, NYC. / Moment's Notice (Jazzcraft)

12. SOCIAL CALL [5:45]

January 22, 1984, Englewood Cliffs, NJ. / Social Call (Uptown)

13. BOHEMIA AFTER DARK [5:36]

June 6 & 7, 1988, Englewood Cliffs, NJ. / Soul Mates (Uptown)

14. RUBY, MY DEAR [7:48]

Same date, location and album as 02.

※ラウズ名義のアルバムはリーダー名を割愛

2016-08-14

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第595回 『ダニー・ハサウェイ、その表と裏・・・』 8月13日

選曲 高地 明    聞き手 佐藤英輔



1970年に黒人音楽名門アトランティック・レコードからデビューして(69年9月から録音開始)、最後のオリジナル・アルバムとなる73年の『エクステンション・オブ・ア・マン』までの4年をあっという間に駆け抜けたダニー・ハサウェイ。その栄光のアトランティックでの自己活動と並行する形で、あるいはそれ以前にも、プロデューサー、アレンジャー、ソングライター、ピアニストとして多くのシンガー、グループと関わり、ダニーだからこその素晴らしい作品、特にシングル盤のみで発売された逸品が数多く存在する。

そんな普段語れることの少ないもう一つの活動を通して、ダニーのまた新たな魅力を探り、楽しみたい。

1. Donny Hathaway : Little Ghetto Boy

(Atco 45-6880) 3:29

まずはダニー・ハサウェイを敢えて一曲選びたい。代表アルバムに挙げられることの多い1971年録音『ライヴ』のB面冒頭曲を。そのアルバムとは臨場感(会場ノイズ)が異なる別ミックスのシングル盤ヴァージョンで。

[ダニーがこだわったファンク・ビート]

2. Albertina Walker & the Caravans : Love One Another (Caritas 71B618) 3:00

1971年。地元シカゴの超大物女性ゴスペル・シンガーであるアルバティナ・ウォーカーのために書いた、ソリッドなビートが効いたゴスペルファンク作品。バンド・リーダーとしてアレンジとキーボード担当。

3. Voices Of East Harlem: Oxford Town

(Elektra EKM-45753) 2:56

1971年ボブ・ディランが63年にアルバム『フリーホィーリン』で発表した、ミシシッピ州オックスフォードにある州立大学での黒人学生入学拒否を問題にしたプロテト・ソング。それを若き世代に伝えるべく、ニューヨークのイーストハーレムの黒人少年少女合唱隊をファンク・ビートで煽って立ち上がらせた。

4. The Kats : Under The Covers (E&C 7717) 2:58

1969年シカゴジャズ/R&Bベーシストであるクリーヴラド・イートンがリーダーとなるグループ、ザ・キャッツの高速ファンク。アレンジとピアノで参加。

5. The Soulful Strings : Zambezi (Cadet 5654) 3:00

1969年シカゴの名門黒人音楽レーベルチェスレコードの名物企画だったストリングスファンキー・ビートを融合させたザ・ソウルフル・ストリングス。その音楽監督であり、有名ベーシストでもあったリチャード・エヴァンスと組んで作った、録音(1969/7/8)の直前のヒットであるニューオーリンズミーターズの「シッシー・ストラット」を無断拝借したファンク・ナンバー。

6. Bros. In Co-op :Listen Here (Bunky 7765) 2:45

1969年ジャズ巨匠エディ・ハリスの有名曲をアレンジ、変態バグ・パイプ・ファンクでかなり異常。


[地元シカゴソウル・シーンでの活動 男性編]

7. The Impressions : You'll Be Always Mine

(Curtom 1946) 2:40  

1969年。ダニーがプロの音楽家として活動を始めたシカゴで、その最初期に出合った一番の大物がカーティス・メイフィールド。そのカーティスが主宰するカートム・レコードでのアレンジャーとピアニストとしての仕事の一つが本作で、ダニー特有のアコースティック・ピアノの美しい響きもバッチリ。

8. Syl Johnson : Thank You Baby (Twinight 144) 2:35

1971年シカゴでの活動でもう一人の大物シンガー、プロデューサーであるシル・ジョンスンとの共同作業も重要だ。やはりアレンジャー、ピアニストとして関わったが、この二人の個性の相性は抜群で、シカゴソウルの傑作をいくつか生み出した。イントロのエレピの音からして、ダニーの持ち味全開。

9. Duponts : Always Be My Baby (Atco 45-6854) 2:30

1971年。ダニーが手掛けた男性グループは他にもあり(ユニフィックス、センター・ステージ等)、人気曲も多いが、メロディ自体がダニー節そのものとなる本作を挙げたい。プロデュースとアレンジ、作曲、ピアノを担当。ダニー自身も相当気に入っていたようで、人気シンガーのガーランド・グリーン版もシル・ジョンスンとのコンビで制作している。

10. Maurice Jackson : Lucky Fellow

(Candle Lite CR1938 / Lakeside LS-3101) 3:05

ここからの3曲は、シカゴのライター仲間によるヴォーカル作品を。

1971年。まずは人気ヴォーカル・グループ、インディペンデンツでも活動したモーリス・ジャクスンの本作にアレンジャーとして関わり、名作とした。本作のアレンジと女声コーラスはダニーの人気曲1973年「ラヴ・ラヴ・ラヴ」の原型ともなるものだ。

11. Gerald Dickerson : Heaven And Earth 

(United Artists UA-XW183) 2:48

1973年シカゴのクリエイションズというヴォーカル・グループの一員でもあったライターで、上記「ラッキー・フェロー」の作者でもあったジェラルド・ディッカースン。ダニーはアレンジとピアノを担当。ここでも女性コーラスが特徴的だ。

12. Emmett Garner, Jr. : Check Out What You've Got (Maxwell L-802) 3:10

1970年。上記「ラッキー・フェロー」のプロデューサーでもあったエミット・ガーナー。ダニーにしては珍しくモータウンも意識したダイナミックなサウンド展開のアレンジ。


[聴き比べ ダニー自ら作った2つのヴァージョン]

13. Woody Herman : Flying Easy

(from album "Heavy Exposure" Cadet 835) 3:10

1969年。白人クラリネット奏者、楽団リーダーとして名高いウッディ・ハーマンだが、黒人音楽名門チェスレコードでもアルバムを作っていた。本作はダニーの73年発表名盤『エクステンション・オブ・ア・マン』に収録された軽やかにスウィングする名曲として知られているが、元々はインスト・ナンバーとしてこのアルバムのために書き下ろしている。

14. Donny Hathaway : Flying Easy

(from album "Extension Of A Man") 3:11

15. Albertina Walker and the Caravans :

Mama Said Thank You (Caritas 71B618) 3:50

1971年。本日2曲目のシングル盤A面となる、ゴスペルアルバティナ・ウォーカー作品。ダニー自身のバンドがバックを請け負い、まるでアトランティックでのダニーのサウンドそのものだが、もともとは次に聞いていただくダニーのデビュー録音楽曲でもあった。

16. June & Donnie : I Thank You Baby

(Curtom CR 1935) 2:38

1969年。女性シンガー、ジューン・コンクェストとのデュエット作品で、ロバータ・フラックとの男女デュエットでも人気があったダニー、その原点ともなる?

17. King Curtis : Patty Cake (Atco 45-6720) 2:45

1969年。かつてリー・リトナーも取り上げてフュージョンの世界でも知られるスペイシーなスウィング感あるダニーのインスト名作「ヴァルデズ・イン・ザ・カントリー」だが、その原型となるのがダニーをアトランティックに誘ったニューヨークの大物キング・カーティスのこのシングル盤だった。ダニーはピアニストとしても参加し、ソロ・パートも与えられた。他のメンバーも、コーネル・デュプリーら、ダニーのアトランティック仲間だ。なお、5曲目の「Zembei」が収録されたソウルフル・ストリングスアルバムでも「ヴァルデズ・イン・ザ・カントリー」が演奏され、それはこのキング・カーティス作品よりも録音が一カ月程早いが、ここではダニーのアトランティック初セッション作品として本作を推す。

18. Donny Hathaway : Valdez In The Country

(from album "Extension Of A Man") 3:32

19. Roebuck "Pop" Staples : Tryin' Time

(Stax STA-0064)

1970年3月。この曲はもともとダニーがロバータ・フラックの69年デビュー・アルバム『ファースト・テイク』の収録曲としてダニーが書いたものだが、それをステイプル・シンガーズの長老ポップ・ステイプルズがダウンホームなブルース・ナンバーとしてスタックスで取り上げた。ダニー自らピアノで参加。

20. Donny Hathaway : Tryin' Times 3:10

(from album "Everything is Everything")

1970年5月。本作にはBooker T & The MG'sの名ドラマー、アル・ジャクスンが参加し、ダニーの作品の中でも最も重々しくブルースの匂いが充満する。


[ロバータ・フラックを差し置いて愛した女性シンガー/グループ]

21. Carla Thomas : Living In The City

(Stax STA-0061) 2:37

1970年メンフィスソウルの初代女王カーラ・トーマスが意外にもダニーのニューヨーク・サウンドと出合っている。聴き比べでかけたポップ・ステイプルズの作品と同時期に録音されたもので、ダニーはプロデュースだけでなく、ピアノとバック・コーラスでも参加。

22. Betty Everett : Why Are You Leaving Me

(Fantasy 652) 3:30

1971年シカゴを本拠地として活動した人気女性シンガー、ベティ・エヴェレット。64年名門VJレコードでの「シュープシュープ・ソング」のR&Bチャート6位、ポップ・チャート13位のヒットが有名だが、ここではダニーのアレンジとエレピで素晴らしく可憐でディープなソウル・バラードを披露。作者となる大物男性シンガー、ジェリー・バトラーのヴァージョンも同年にダニーのまったく別の味わいのアレンジで発表されている。

23. Patti Drew : I'm Calling 

(Capitol P-2989) 3:17

1971年。キャピトル・レコードでポップ・ジャズ系の4枚のLPを出している、やはりシカゴでダニーと交流を持っていた女性シンガー。本作はダニーが関わったシングル盤作品全3曲の一つで、アレンジとピアノで参加、上質なジャンプ・ナンバーに仕上げた。

24. Josephine Taylor : I've Made Up My Mind

(Twinight 122) 2:54

1969年。8曲目でシカゴソウルのシル・ジョンスンとの作品を聞いていただいたが、そのシルがプロデュースし、ダニーがアレンジとピアノを担当したもので、これもシカゴ女性ソウル傑作として名高い。

25. The Oncoming Times : What Is Life Without Love 

1969年シェリル・スウォープという女性シンガーを中心する女性ヴォーカル・トリオで、デトロイトでの録音。ストリングスが華麗なダニーのアレンジで、すこぶるキュートなガール・グループ作品が誕生した。もちろん、ピアノも。


[ダニーのブルース]

26. Freddie King : Yonder Wall

(Cotillion 44058) 3:20

1970年モダンブルース最高峰の一人となるフレディ・キングがキング・カーティスのプロデュースで発表したアルバムからのシングル・カット。このブルース・スタンダードはアップテンポで歌われることが殆どだが、ここではダニーによるぐっとスローなアレンジで、より重厚さが増したものとなった。ホーン・アレンジも、通常のブルースとは感覚が違い、独創性あるもので実に新鮮。ビートの要となるベースはジェリー・ジェモット。

27. Little Milton : Somebody's Changin' My Sweet Baby's Mind (Checker 1231) 2:55

1970年。やはりモダンブルース巨人となるリトル・

ミルトンシカゴチェスレコードからダニーのアレンジとピアノで発表した傑作。もともとダイナミックな

歌いぶりで人気を誇ったミルトンだが、これだけストリングスが豪快に使われたら、ミルトンも乗りまくるしかない、そんな素晴らしい出来栄えとなった。

28. Betty Wilson : Anything To Please My Man

(Dayco 2109) 2:58

1969年。ダニーが通ったハワード大学があるワシントンDCレーベルからの女性R&Bシンガー、ベティウィルスン作品。彼女は決してブルースばかりを歌ったわけではないが、これはダニーが初めて手掛けたブルースという貴重な記録として聴きたい。


[ダニーの粋と志] 

29. Donny Hathaway : Bossa Nova (Atco 45-6899) 1:47

1972年に公開された、ニューヨークのハーレムを舞台としたドタバタ・アクション映画『カム・バック・チャールストン・ブルー』のサントラアルバムからのシングル・カットで、二分に満たない小品だが、涼を感じさせる極上のインストとして、お聞き下さい。

30. Donny Hathaway : Put Your Hand In the Hand

(from album "Donny Hathaway") 3:42

 ダニーの個性ある取組みであった、ポップスやロック作品をダニーだからこその解釈でブラック・ミュージックとしたこと、その好例だ。カナダ出身の女性シンガー、アン・マレーがヒットさせたポップなカントリー・ゴスペルを、美しく高揚するブラック・ゴスペルで聞かせたこれを。71年のセカンド・アルバム『ダニー・ハサウェイ』の最終曲であり、シングル・カットもされた。最後に盟友コーネル・デュプリーのギターが我慢出来ずにクワイアに割って入る!