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蛭子ミコト:ブログ版

2011-12-08

粉ミルク、事実関係を整理し計算をしてみよう

まずはプレスリリースから。

明治ステップ(850g缶)」のお取り替えに関するお詫びとお知らせ
のたび、当社製品「明治ステップ(850g缶)」の一部の製品から、わずかながら放射性物質が検出されました。同物質の値は、食品衛生法に基づく乳児の飲用に関する暫定規制値(牛乳・乳製品で放射性セシウム134及び137の合計値200Bq/kg)以下で、22から31Bq/kgであり、毎日飲用されましても健康への影響はないレベルとされております。
しかしながら、当社としては、調製粉乳(粉ミルク)は乳児にとって極めて重要な栄養源であることから、乳児を持つお客様に安心してご愛用いただくことを最優先し、すでに対象製品をご購入のお客様で、お取り替えをご希望のお客様におかれましては、新たな製品と取り替えさせていただきます。

http://www.meiji.co.jp/notice/2011/detail/20111206.html

最大数値はCs134+Cs137の合計値で30.8Bq/kg。(Cs134が14.3Bq/kg、Cs137が16.5Bq/kg)

・きっかけ:NPO法人のTEAM二本松がNaI検出器で測定して検出され、その後明治乳業Ge半導体検出器で測定して今回のことがわかったようです。
http://team-nihonmatsu.r-cms.biz/


この件について、出来るだけ事実関係を整理してみようと思う。ついでに個人的なコメントもつけてみる。
Cs汚染の原因は?
”噴霧乾燥する際に使った熱風に一部放射性物質が混入したとみられる。”
http://jp.reuters.com/article/jp_quake/idJPTYE7B503C20111206

個人的考察:乳製品を加工する工場で簡単に外気が入り込むとは考えにくいのですが…
原発事故後1〜2週間は、頻繁に出入りしていたら放射線物質測定装置のバックグラウンドが高くなったとの話を聞いているので、ちゃんとした設備を持っていても放射性物質コンタミネーションを防ぐのは困難なのかもしれない。ただし、確定とまでは行かない情報だと思うので、さらなる追跡調査をしてほしい。


明治粉ミルク「ステップ」とは
”満9ヶ月頃からの乳幼児期に合わせて、離乳食からではとりにくい鉄分カルシウムビタミンなどの栄養素をバランスよく配合したフォローアップミルクです”
http://catalog-p.meiji.co.jp/products/baby_mother/milkpowder/040104/4902705100527.html?rnd=5f9c38b60a86921afc5119bfe2e6b6ad
個人的感想:つまり、メインで与えるミルクではない、ということですね。


・乳製品の暫定規制値は?:200Bq/kg
個人的感想:規制値以下である。明治乳業も「回収」ではなく「新たな製品と取り替え」という対応です。


・具体的にどのくらい摂取することになるのか?
これを飲んだ場合、どのくらい摂取することになるのか計算してみよう。

ミルクの作り方は、公式HPではイマイチわかりにくかったので、こちらを参考にした。
http://item.rakuten.co.jp/drugyutaka/4902705100527/

約28gを溶かして200mLにして、9−12ヶ月の時に最大目安量として700mL与えることになるらしい。

まずは粉ミルクの使う量。
200mLで28gだから、700mLでは3.5倍の98g。
98gg中に何ベクレルあるかというと…
元が30.8Bq/kgだから、30.8Bq/1000gなので…3.014Bqになる。

つまり、この今回の明治ステップを与えた場合、目安量を一番飲ませた場合で、一日に約3Bq摂取することになる。(細かく書けば、Cs134が1Bq、Cs137が2Bqになる)


・飲んだ乳幼児への影響は?
人体への影響はBqではわからないので、Svに単位を換算する必要があります。で、計算しようと思ったら、すでに食品安全委員会や日本産婦人科学会が計算していましたので、そちらを紹介します。

食品安全委員会
http://www.fsc.go.jp/sonota/emerg/cesium_powdered_milk.pdf

日本産婦人科学会
http://www.jsog.or.jp/news/html/announce_20111208.html

どちらも細かく計算されています。

とりあえずここでは、日本産婦人科学会の計算例を引用します。
”乳児の場合、1日に粉ミルク60gを消費すると仮定し、また汚染粉ミルクを4ヶ月間(120日)飲み続けたと仮定した場合、この粉ミルクからこの乳児が余分に受ける被曝量は以下のように計算されます(影響の大きいCs134が30Bq/kg含まれていたと仮定)。
mSv=30×60×120÷1,000×2.6÷100,000=0.0056
すなわち、5.6マイクロシーベルト(1ミリシーベルトは1,000マイクロシーベルトと同量)と計算されます。”
補足:なお、食品安全委員会は「食品による内部被ばくのみ」生涯の累積実効線量100mSvとしています。この数値と、5.6μSvを比較すると…とっても小さいです、はい。


・放射性ヨウ素131等、他の放射性物質もあるんじゃない?
個人的考察:理論的には0とは言えませんが、もはやGe半導体検出器でも見つけられないほどの量になるので、リスク要因として考えなくていいと思います。


・で、安全なの?危険なの?
日本産婦人科学会のコメントを抜粋。
”「通常の授乳期間、授乳を続けても、お子さんの健康に影響することはありません。」とお伝えすることが可能だと判断いたします。”

個人的感想:私もこれに同意です。




ちょっと解説・生物学半減期
これは、放射性物質半減期とはちと異なり、摂取した放射性物質が元の半分に減少する期間です。新陳代謝で外部に出ていくというイメージをして頂ければと。

先ほどの食品安全委員会の資料見てもらえばわかりますが、

0〜 1歳: 9日
 〜 9歳:38日
 〜30歳:70日
 〜50歳:90日

と、年齢が低いほど放射性物質の排出が早いことがわかります。



おまけ:今回の件で役に立つと思うページのURLを紹介していきます。

明治粉ミルク「ステップ」からセシウム、40万缶無償交換について
http://togetter.com/li/224240
同じように色々計算している方のTwitterでのまとめです。

乳児・幼児の被曝量の計算(趣味:科学)
http://flatfisher.blog68.fc2.com/blog-entry-398.html
こちらも計算しています。乳児と成人の換算係数の違いに気がつくのはさすが。

明治ステップから放射性セシウムが検出された件についての原田英男さんの解説
http://togetter.com/li/224077
経緯が詳しく書かれています。私が書いた内容に加えてこれを読めばさらに状況が把握できるかと。

乳児用粉ミルクは安全(食品安全情報blog)
http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20111207#p1
香港の食品安全センター勤務の博士のコメント紹介。

「検出」と「危険」じゃ意味が違う(粉ミルクの話) (アカチバラチの日記)
http://d.hatena.ne.jp/akatibarati/20111206/1323192061
詳しくは読んでもらうとして…頑張って計算したのが虚しくなるような内容が書かれてます。

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