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蛭子ミコト:ブログ版

2012-07-11

コーラから発ガン性物質?の真偽(修正しました 2回目)

先日、2ちゃん関連ブログ痛いニュースにこんな記事が。

日本のコーラから発ガン性物質検出…カリフォルニア州で売ってるコーラの18倍
http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1720186.html

「NPO法人 食品と暮らしの安全」の協力団体であるアメリカの公益科学センター(CSPI)は、 6月26日、日本を含む世界各国で含まれているコカコーラには発ガン性物4-メチルイミダゾール(4-MI)が含まれていると発表した。この発ガン性物質は、カラメル色素を製造する過程で、砂糖やアンモニア、亜硫酸塩が高圧・高温下で化学反応を起こして生成される化学物質である。
CSPIの調査は、「NPO法人食品と暮らしの安全」を含む、世界各国の消費者団体の協力で行われた。発ガン性物質4-MIのレベルは、各国で異なり、ブラジルで販売されているコカコーラが最も汚染されていた。日本のコカコーラは、355ml換算で72マイクログラムで、カリフォルニア州で販売されているコカコーラが4マイクログラムだったのに対し約18倍も多い。



これの元になったのは、NPO法人 食品と暮らしの安全(旧名:日本子孫基金)のこのサイトのようです。
http://tabemono.info/report/report_9_3.html

さらに元を探ると、アメリカの公益科学センター(CSPI Center for Science in the Public Interest)です。
http://www.cspinet.org/new/201206261.html

実は、3月にも同様の報道がされています。
http://www.tax-hoken.com/news_1eIORwmx4.html


さて、抜きだした文章だけを見ると、コカコーラに発ガン性物質が入っていて危ないものという印象を受けると思います。


危険だの安全だの言う前に、まずは情報を整理していきます。

・4−メチルイミダゾール(以下、4-MeI)が検出されたのはコカコーラ
・なぜコーラから検出されたのか?
 →コーラの黒い色は、着色料のカラメル色素で色をつけている。そして、カラメル色素には不純物として4-MeIが含まれているものがある。
・つまり、コーラから4-MeIが検出されるのはカラメル色素が原因である。

ということで、カラメル色素そのものについて調べてみました。

カラメル色素は製法により4種類に分類され、それぞれカラメルカラメルカラメルカラメル犬汎本では呼ばれる。

・そのうち、カラメル兇脇本では使用実績がないので、現実には機↓掘↓犬裡骸鑪爐里Δ舛い困譴が使用されている。

カラメル色素には規格が設定されており、4-MeIは規制されている。
 カラメル気納村0.025mg/g未満、靴0.30mg/g、犬1mg/g以下 (すべて固形物換算)です。

カリフォルニア州コカコーラからは4-MeIが4μg/355mL検出され、日本のは72μg/355mL、アメリカでもワシントン州のでは144μg/355mLであった。
ニュースの文章では、一番低い数値を基準にしているから一見日本製が高く見えるが、アメリカの他地域および他国と比較すると少ない。(むしろ半分以下)
(なぜ355mLなのかは、元の調査が12 fluid ouncesを単位としているから)
(とりあえずカラメル犬竜格限度値である1mg/g入っているカラメル色素を使用したと仮定すると、コーラ355mLあたり約14gのカラメル色素を使用していることになる。あまり意味のない計算であるが)


で、ここまで色々書きましたが、そもそも根本的な問題として…

「4−メチルイミダゾールは発ガン性物質なのか?」

おそらく日本で入手できる詳しい資料として、食品添加物公定書解説書第8版からカラメル色素、関連項目で4-MeIの毒性について調べてみました。

・4-MeIは、糖とアンモニアの加熱によっても生成される。

カラメル気茲蝓特定の神経作用との関連はないが、マウスに大量に与えるとけいれんを起こす。
カラメル靴茲蝓4-MeIはウサギマウス及びニワトリにおいて360mg/kg b.w.の経口投与で痙攣を起こす。

・・・なんか、4-MeIが発ガン性だという文章出てこないんですけど・・・

また、試薬でも4-MeIは販売されていますが、化学物質や化学物質が含まれる原材料などを安全に取り扱うために必要な情報が記載されているMSDSを見ても発ガン性って項目はないのですよね・・・。
例)和光純薬工業株式会社のMSDS 
http://www.siyaku.com/cgi-bin/gx.cgi/AppLogic+ufg280smsds_pr.ufg280smsds_disp?cls=1&msds_no=JW131120&m=s.c

どうやら、問題としたはずの発ガン性そのものがないようです。
(後日、文献等で情報が入手できたら追記します)

2012.7.12追記
はてなブックマークTwitter上で情報が集まりましたので追記します。
結論からいうと・・・ごめんなさい<(_ _)>
4−メチルイミダゾールは発ガン性物質(Group 2B)でした。


2012.7.18追記を青文字にします。

まずは、情報元を列記します。

情報元リンク(全部英語です)
IARCモノグラフ Vol.101で追加された物質 IARC Monographs on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans Volume 101 (2012)
そのうち、4-MeIについて http://monographs.iarc.fr/ENG/Monographs/vol101/mono101-015.pdf
英語版Wikipedia http://en.wikipedia.org/wiki/4-Methylimidazole
その中から、注釈8のAbstract(これがたぶん一番読みやすい)
http://ntp.niehs.nih.gov/index.cfm?objectid=9B956B07-F1F6-975E-79BBCDCCD57001C8
元論文(というか報告書?)
http://ntp.niehs.nih.gov/ntp/htdocs/LT_rpts/tr535.pdf

7/11に書いた時点での情報源は食品添加物公定書解説書第8版(2007/12発行)なので、2007年以降の最新データまでは書かれていなかったとはいえ・・・
ここで訂正し、謹んでお詫び申し上げます。そして、これらの情報を提供してくれた皆様に感謝します。

さらに追記
IARCの4-MeIについて http://monographs.iarc.fr/ENG/Monographs/vol101/mono101-015.pdf
この文章をよーく読んでいくと、6.Evaluation(評価)のところにこう書かれています。ちょっと意訳しますと、こんな感じ。
6.1 人に関しては、(評価に)利用できるデータがない
6.2 実験動物に関しては、発ガン性の十分な根拠がある
6.3 最終判定 4-MeIはGroup2Bに入れる。このグループは日本語に訳すとすると、”発ガン性が「あるかもしれない」”

6−1,2,3を整理すると、現在の知見では発ガン性物質とは呼べない、という状態です。

なお、カラメル色素そのものも毒性試験は行われていますが、発ガン性は認められていませんFDAEUでも同様の解釈です。

カリフォルニア州がなぜ4-MeIを発ガン性物質としているのかは…
一応何らかの根拠はあるのでしょうが・・・正直わかりませんでした。
2012.7.12追記
上記の論文が根拠ですね。
そして、取り上げたときの文書がこちらです。
http://oehha.ca.gov/prop65/crnr_notices/admin_listing/requests_info/pdf/ABPkg32_012508.pdf

様々な動物実験の中には、発ガン性を疑わせる結果の論文もあるでしょうが・・・
発ガン性の有無は、信頼出来る様々な実験結果を基に、投与量・実験動物の種類に依存する特徴、代謝経路等々色んな結果を総合的に解釈するものですから・・・
カリフォルニアのように一つの州だけ違うとしたら、科学的解釈とは別の謎のものさしで判断しているのだろうなぁ、と考えます。

2012.7.12追記
・・・上記三行は、見え消ししません。
そう考えた理由をこれから書きます。

それは、発ガン性物質の有無にかかわらず、濃度や実際の摂取量も考慮する必要があるからです。

もう一度、Abstractの結果表を見てみます。
http://ntp.niehs.nih.gov/index.cfm?objectid=9B956B07-F1F6-975E-79BBCDCCD57001C8

ざっとみて、影響が出たと考えられる濃度の1250ppmで考えてみます。
一方、コカコーラから検出された濃度はというと・・・とりあえず日本製のでいうと72μg/355mL。
ppmに換算すると・・・72÷355≒0.20μg/mL(=ppm)
同じ濃度単位に換算すると、6250倍の開きがあります。

さらに、マウス(体重約40g)やラット(体重約300−450g)と人間(小学1年の平均約21kg)では体重差がありますから、
体重あたりに換算するとその差はもっと開きます。

また、カラメル色素は別にコカコーラだけでなく様々な食品に使用されていますが…
動物実験みたいに1000ppm(別の表現をすれば0.1%)以上の4-MeIを含む食べ物だけをずっと食べ続けることは実質不可能です。

よって、IARCが4-MeIを発ガン性ランク:グループ2Bにしたとはいえ・・・
4-MeIが主原因でガンになることは、現実には考えにくいと解釈するものだと思います。

(蛇足:知ってる人は知ってるでしょうが、この発ガン性ランク:グループ2Bはコーヒー携帯電話など日常ありふれたものも含まれています)

uneyamaさんから、コメントに有用な情報がリンクされました。
http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20110309#p6

NOEALが80mg/kg/BW/dayと具体的な数値が出てきました。
NOEALについての説明はこちらを参照してもらうとして・・・

http://www.safe.nite.go.jp/shiryo/RA/about_RA4.html
4−メチルイミダゾールについては、このようになっているそうです。

NTPマウスがん原性試験でみられた発がん性は、4- MEIに遺伝毒性はないこと、B6C3F1マウスには肺胞/気管支新生物は高頻度に発生することなどから閾値があると考えられた。したがってこの試験での中間用量である625 mg/kg餌、すなわち80 mg 4- MEI mg/kg体重/日がNOAELとみなせる。


カラメル色素で最大限入っているとされるもので1mg/gですから・・・
体重1kgあたり80gのカラメル色素を食べても、4-MeIによる影響はでないと考えられます。
・・・体重40kgの成人女性で考えると3.2kgのカラメル色素を一日に食べる・・・
4-MeIの毒性がでない量ですが、この量を食べるのは物理的にも味的にも色んな意味で無理です!(爆)


また、食品安全情報ブログの記事中にある、カリフォルニアの規制値リストみたいなものですが・・・
http://oehha.ca.gov/prop65/pdf/2012StatusReportJune.pdf
記事中のこの言葉を引用します。
「Prop65ではカドミウムなんて(生殖発生毒性が理由)1日4.1microgだから0.4ppm(mg/kg=400microg/kg)のコメだと10g超えたら警告対象だけど。コーラの4-MIどころではないんですが。」

この記事を読んでいたからこそ、”カリフォルニアは別の謎の物差し”という表現を用いました。


というわけで・・・
今回のこのニュースは、そもそも発ガン性物質ではない物質の4-MeIを発ガン物質として扱い、
一応発ガン性物質IARCのGroup2Bにカテゴライズされてはいるけど実質問題ない量の4-MeIについて
必要以上に恐怖を煽り、分析対象であるコカコーラを貶める、悪質な報道だと判断します。



なお、この件については、食品安全情報ブログでも取り上げられていますので、こちらもリンク先含めて読んで頂けると幸いです。
http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20120705#p9
http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20120321#p20
http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20110309#p6
http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20110221#p18

おまけ:メーカーによるカラメル色素情報

仙波糖化工業株式会社
http://www.sembatohka.co.jp/about/about_mamekara.html
天野実業株式会社
http://www.amanofoods.co.jp/technology/tech06.html

uneyamauneyama 2012/07/13 16:04 こんにちは。
EFSAの評価書をみたほうがいいです。
http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20110309#p6
略語が4-MEIになっているので検索でひっかからなかったかも。「カラメル色素」のほうがいろいろな情報が出てきます。
発がん性はあっても遺伝毒性はないので閾値がある、とみなすのが「今は」普通です。
Prop65は社会実験として面白いのではないでしょうか。

ebi_j9ebi_j9 2012/07/14 17:45 uneyama さん>
コメントありがとうございます。
ブログをチェックしていたはずなのに、この記事を見逃してました(汗)
このコメントも参考にして、記事を再修正したいと思います。
どうもありがとうございます。

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