2012-01-18 富士山 ワイヤレス12誘導心電図伝送システム
スマホ 心臓病患者救え
2012年01月16日 アサヒコムにて掲載
心筋梗塞(こうそく)など緊急処置が必要とされる心臓病の治療に役立てようと、県立総合病院(静岡市葵区、神原啓文院長)が、スマートフォン(多機能型携帯電話)などを使った心電図送受信システムを開発した。救急医療現場や医療過疎地で従来より素早い心臓病治療が可能になるとして、開発者らは「配備が進めば画期的」と期待している。
■県立総合病院がシステム開発
このシステムは、文庫本サイズの「ポータブル心電図」とスマホやタブレット端末などを近距離無線通信でつなぎ、心電図の画像をスマホなどを通してリアルタイムで病院のパソコンへ送信するシステム。心電図の画像はスマホなどに無線で送られ、スマホからは電子メールに添付する方法でパソコンへ送信することができる。スマホやタブレット端末は、基本ソフト「アンドロイド」を搭載しているものであれば、アプリケーションを無料でダウンロードして使えるという。
ハンガリーの医療機器メーカー「ラブテック社」と共同開発した同病院院長代理の野々木宏医師は、このシステムを「富士山(ふじやま)」と命名。川根本町の診療所などに配備し、すでに実証実験を始めているという。
システム最大の利点は「正確な診断を素早くできる」こと。心筋梗塞(こうそく)の診断に不可欠とされる「12誘導心電図」は大型で高価なため、これまで救急車などへの配備は進んでいなかった。医師法の制限で救急隊員は現場で診断はできず、患者を病院に運んでから医師が心電図を使って診断していたため、治療開始まで時間がかかることが問題となっていた。
現場から心電図が送られれば、病院側が前もって受け入れの準備や治療チームの招集ができるようになり、野々木医師は「心筋梗塞の治療時間を30分は短縮できる」と胸を張る。
ポータブル心電図やスマホの配備は救急車や診療所を中心に進めなければならないため、普及には行政の後押しが不可欠。野々木医師は「我々としても働きかけなければならない」というとともに、「心筋梗塞の治療問題は世界共通なので、ゆくゆくは世界に広げていきたい」と話している。(後藤遼太)
心電図:スマホで直送 救急隊員が測定、現場から医師へ 県立総合病院、実証実験開始 /静岡
◇一刻争う診断に寄与
県立総合病院(静岡市葵区)は11日、救急現場で測定した心電図をスマートフォンを使って電子メールで医師に送る新システムを開発し、実証実験を始めたと発表した。病院に患者を搬送するまで待たなければならなかった心電図による正確な診断を早めることが可能だといい、同病院は「一刻を争う診断、治療が必要な場面で役に立ち、救急体制の強化につながる」と期待している。
新しい伝送システムの名称は「富士山(ふじやま)」。同病院の院長代理、野々木(ののぎ)宏医師がハンガリーの医療機器メーカー、ラブテック社と共同開発した。
文庫本サイズの小型ながら、病院で使うのと同等の12種類の波形を記録できる本格的な心電計を使う。計測した心電図は、アンドロイドという基本ソフトを搭載したスマートフォンやタブレット端末に無線を使って送信。そこから電子メールに画像として添付され、医師のパソコンに送られる仕組みだ。
現在でも救急車には簡易型の心電計が配備され、救急隊員は現場で患者の心電図を測ることができる。しかし医師の資格のない救急隊員は診断することができず、患者を搬送中など病院外で測った心電図はおおまかな波形を電話で医師に伝えるだけ。一方、搬送先で待機する医師は実際の計測結果を見られない。心電図を病院外から伝送すれば、患者と離れたところにいる医師の重症度の判断や正確な診断に役立てることができる。
野々木医師によると、新システムは大がかりな装置やサーバーが不要で既に普及しているスマートフォンを使うので、比較的安価に整備でき導入しやすい利点がある。野々木医師は、「救急医療の現場だけでなく、在宅医療や、往診などにも応用が可能になる」と話している。【平林由梨】

